未成年者の性的人身売買などの罪に問われ、2019年勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告。その捜査資料、いわゆる「エプスタイン文書」が先月公開されて以来、 大きな波紋が広がり続けています。
26日木曜日、ジェフリー・エプスタイン元被告とその共犯者で元交際相手のギレーヌ・マクスウェル受刑者の犯罪捜査の一環として、ヒラリー・クリントン元国務長官が、下院監視・政府改革委員会での証言に応じました。
ヒラリー氏は公の場での証言を望んでいましたが、受け入れられず非公開となりました。ヒラリー氏は自身のSNSに冒頭陳述の文書を公開し、エプスタイン元被告と面識はなく、犯罪について知るよしもないと強調しました。また自身が女性の人身売買や性的奴隷などを無くすために尽力してきたことに触れ、被害女性たちを思い憤慨しているとしています。その上でこの委員会が機能していないと批判し、真実を究明するならば、トランプ大統領にも審問するべきだと述べました。
ヒラリー氏は非公開の証言を終えてメディアの前で審問の内容を語りました。
ヒラリー・クリントン元国務長官
「同じ質問を何度も繰り返し
まったく生産性がありませんでした
最後の質問はかなり異色で
UFOについてでした」
27日金曜日には、ビル・クリントン元大統領の審問が行われる予定です。公開された文書には、クリントン元大統領がエプスタイン元被告のプライベートジェットで女生と一緒に映っている写真やマクスウェル受刑者とプールにいる写真などが含まれており、証言が注目されています。
文書公開の波紋は、各界に広がっています。女性向けアパレル大手「ビクトリアズ・シークレット」の親会社エルブランズの創業者で元CEO、富豪のレスリー・ウェクスナー氏は、長年にわたりエプスタイン元被告に資産管理を任せていました。公開された文書にはウェクスナー氏の名前が1000回以上確認されました。下院委員会に召喚されたウェクスナー氏は、先週18日水曜日、およそ6時間にわたる審問に答え、エプスタイン元被告にまつわる犯罪への関与を否定しました。
レスリー・ウェクスナー氏 オハイオ州ニューアルバニー2月18日
「世界的な詐欺師にだまされたんです」
2028年ロスオリンピック組織委員会のケイシー・ワッサーマン会長(51)は、マクスウェル受刑者と誘惑的で親密なメールを交わしていたことが明らかになりました。ロサンゼルス市長などからワッサーマン氏の辞任が求められましたが、ロス五輪理事会の意向で役職に留まることになりました。
一方で、ワッサーマン氏がCEOを務める大手エージェント会社では、文書の公開をうけて、元アメリカ女子サッカー代表のワンバックさんを含む複数のアーティストやアスリートが所属を離れました。今月13日、ワッサーマン氏は会社売却手続に入ったことを明らかにしています。
投資銀行ゴールドマン・サックス最高法務責任者兼最高顧問キャシー・ルエムラー氏は、オバマ政権下でホワイトハウスの顧問も務めました。文書ではルエムラー氏の名前が8000カ所以上で確認されており、性犯罪に対する質問の答え方などをアドバイスしていました。2008年にエプスタイン元被告が有罪となったあとも、元被告を「兄」や「おじさん」と呼ぶ親しい間柄だったことや、高級ハンドバッグや毛皮のコートなど高価な贈り物を複数受け取っていたことが明らかになりました。これを受けてルエムラー氏は、今月12日、ゴールドマン・サックスを辞任しました。
他にも、エプスタイン元被告との交友関係が明らかになったノーベル科学賞 受賞者でコロンビア大学のリチャード・アクセル教授が、24日火曜日、大学の脳神経科学研究所・共同所長を辞任しました。
また、ハーバード大学で教授を務める元財務長官のラリー・サマーズ氏は、エプスタイン元被告と個人的な関係が明らかになり、25日水曜日、学年度末で教授を辞任すると発表しました。
影響は世界中に広がっていており、イギリスでは刑事事件に発展しています。
先週19日木曜日、チャールズ国王の弟、アンドリュー元王子が公職不正行為の疑いで逮捕され、その後、釈放されました。アンドリュー元王子は、貿易特使として公式業務で得た機密情報をエプスタイン元被告に渡していた疑いがあります。
イギリス政府は、アンドリュー元王子の王位継承権のはく奪を検討してしているということです。
イギリス財務長官 ジェームス・マレー氏(2月20日、ロンドン)
「国王も政府も警察の捜査が適切に
遂行されることを望んでいます 」
また23日月曜日には、元駐米大使のピーター・マンデルソン氏が公務上の不正行為の疑いで逮捕され、その後、釈放されました。マンデルソン元大使は市場に影響を与える可能性のあるイギリス政府の機密情報をエプスタイン元被告に送ったと見られています。
イギリスでは警察が捜査を進めている状態に対し、アメリカではエプスタイン元被告に関係した人物が次々と辞任しているものの 新たに刑事責任を追及する捜査が進められる様子は見られていません