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トシ・カプチーノ

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ToshiHeadShot_2014.jpegのサムネイル画像舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。



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レズビアン・ミュージカル

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日本では、おねえキャラブームがすっかり定着したとは言うものの、

女性の同性愛、いわゆるレズビアンのメディア露出はまだまだ少ない。

 

 

一方、NYでは日本と比べるとかなりオープン。 

レズの人向けの、バーやナイトクラブもある。 

街中では男装の麗人が闊歩し、

普通に女性同士が手を繋いだり、

キスしている光景も良くみかける。 

 

 

女優のジョディ・フォスター、

テニス選手のナブラチロワ、

上院議員のタミー・ボールドウィンなど、

同性愛である事をカムアウトした方も。  

 

 

ただし、

 

 

これはNYを含む先進的ないくつかの大都市限定の事情で、

保守的なアメリカの地方となると話は別。

 

 

さてさて今回、ご紹介する「ファン・ホーム」は、

そんな隠花植物とも言えるレズビアンを主人公に据えた

初のミュージカル作品として話題になっているのだよー。 

プロデュースは演劇界オフの名門パブリックシアター(「コーラスライン」「ヘアー」)。

 

 

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このミュージカルの下敷きになっているのが、

アリソン・ベクダル著「ファン・ホーム--ある家族の悲喜劇」という

アート系の漫画(グラフィック・ノベル)だって事!

 

 

物語の舞台は、アメリカ、ペンシルバニア州の田舎町。 

 

葬儀屋の長女として育てられたアリソンは 

 

物心ついたときから自分がセクシャル・マイノリティ(レズビアン)だって気づいている。

 

そして何と、彼女の父親もクローゼットのゲイ(隠れホモ)だったのさ。 

 

共にゲイである事には触れずに、しっくり行かない、父娘の関係。

 

一つ屋根の下、身近であるはずの家族間の秘密や欺瞞。

 

父親の死をきっかけに、アリソンは父親探しの心の旅に出るのですが、 

 

デリケートな物語が、注意深く、時に美しく描かれていくのです。

 

 

本作の何がユニークかってーと・・・  

前述の通り、いわゆる漫画本をミュージカルにしたところ。

 

 

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映画のミュージカル化したものはいつくもあったけど、マンガは珍しい。  

例えば、「ライオン・キング」、「美女と野獣」、「リトル・マーメード」、「シュレック」など、

みーんなハリウッド絡み。 

 

いわゆる、ヒット映画の舞台化って、

人物設定が希薄だったり、

筋立てが安直な事も多々ある訳だけど、 

本作の場合、登場人物のキャラが濃厚に描かれ、生命力に溢れてる。  

 

 

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主人公アリソンの見せ方もいいね。  

幼年期、青年期、そして成人した彼女の3役を設定。 

つまり3人のアリソンが劇中に出て来るってこと! 

演劇によくある手法なのだが、それが全く違和感なく観れる演出がいいのだよー!

 

 

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音楽を手掛けたのは、トニー賞の常連さん、ジャニーヌ・テソリ。

 

日本では、アンドリュー・ロイド・ウェイバー(「オペラ座の怪人」や

フランク・ワイルドホーン「ジキル&ハイド」のように有名でないけど、

創造力豊かでキャッチーな音楽を書く人なのよー!

 

 

 FUN5.jpg

 

 

まー、日本人好みの声をあり上げて歌い上げる熱唱系の歌はないから

「レミゼ」やウィーン産もののミュージカルがお好きな方には

物足りないかもしれないけど、スンバラシイ出来!

ちなみに、ブロードウェイではワイルドホーン系はウケないのよねー。

 

 

 

 

皆さんは、親御さんの事を深く深ーく考えた事ってありますか?

 

例えば、

 

自分にとって親ってどんな存在だったのか?

何を考えていたのか?

どんな人だったのか?

 

自分と正面向き合って考えることってなかなかないよねー。

でも、この作品を見たことで、

今まで深く考えたことのなかった

自分と親との関わり深さを再認識させられたー。

 

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本作品、人間の根本の部分でユニバーサルなメッセージを含んでいる

素晴らしい舞台芸術のひとつだと思う。

こんな作品こそ、多くの方が観るべき!

 

 

ブロードウェイ進出ってことも想定できるが・・・・

レズがテーマだとNYでもちょっと無理かと・・・。

内容的に難解だし、レズのストーリーが一般ウケするかと考えたら・・

どちからというとオフ向き!

映画化もいいかもしれない!

 

 できれば、日本人レズのためにも日本語上演は期待したいね!

.

.シアタークリエさん、お願いしますよー!

 

 

公演は12月29日まで延長された!

 

 

ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、  

ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった 素晴らしいものなんですよね!      

 

 

トシ・カプチーノ評:★★★★

 

 

Public Theater/Newman Theater

425 Lafayette Street

New York, NY 

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トシカプ情報

歌謡シャンソンSHOW、いよいよ来週末でんがな!

http://stage72.com/ai1ec_event/toshi-cappuccinos-cabaret-show-2013/?instance_id=879



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November 23, 2013 8:14 AMComment(0)



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