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トシ・カプチーノ

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ToshiHeadShot_2014.jpegのサムネイル画像舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。



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コメディ「SHOWS for DAYS」携帯取り上げ事件

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ひどい事故やスキャンダル

 

どんな批判や中傷、

 

さらに苛烈な醜聞も宣伝にできる、と言われる。 

 

 

 

とにもかくにも注目されれば

それで宣伝効果が期待できる。

耳目を集めたるが勝ち、だと。  

 

 

 

実は今回紹介する、

コメディ「SHOWS for DAYS」も、

舞台そのものではなく、

上演中のアクシデントが

ニュースで取り上げられ大変な話題となった!  

 

 

 

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オフ・ブロードウェイの

500席弱の小さな劇場、

役者からお客さんの動向が

手に取る様にわかっちゃう。 

 

 

舞台をガン無視して

携帯に夢中になっている観客を見て、

イラッとしてしまったのだろうね〜。

 

 

なんと

 

 

上演中に、

 

 

ブロードウェイ伝説の舞台女優、

 

 

パティ・ルポン様ったら

 

 

お客さんのその携帯電話を取り上げちゃった、

 

 

というのですから、さー大変。  

 

 

あ〜ぁ、やっちゃったよ〜。  

 

 

 

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この事件は、 

 

 

#携帯電話依存症患者の増加。 

 

#いくらお客様とは言え、最低のマナーを守るべき。 

 

 

など色々な問題を孕んでいるのですが、

 

もひとつ、重大な疑惑。 

 

 

 

わざわざ高額なチケットを購入して

 

観に来た芝居なのに、

 

携帯電話で気を紛らわせざるを得ないほど、

 

ヒドいお芝居だった疑惑!  

 

 

 

果たして、かのパティ・ルポンさんは、

モンスター観客に天誅を下す、

天晴女優さんだったのか???

 

 

それとも、

 

 

退屈な芝居を見せられたお客様の

小さな抗議行動が、

携帯電話だったのか?  

わたくし、その話題の芝居を観に参りましたのよ〜 

 

 

 

結果・・・このコメディ、正直言ってワケわかんなかった。 

 

 

これは私1人ではないらしく、

まわりの観客の反応もドヨヨ〜ン。 

1幕だけ観て中座するお客さんも5、6人。  

 

 

 

携帯の話題で注目されなかったら、

静かに消えたコメディだったのですゥ〜。トホホ・・・。  

 

 

 

 

IKKOさんならずとも、

 

 

 

 

どんだけェ〜? 

 

 

 

 

と言いたいヨ。    

 

 

 

 

それでは一つ一つそのイケて無さを、

ストーリーの面から検証してみましょう。  

 

 

 

物語の舞台は、現在と1973年の

二つのペンシルバニア州の街レディング。 

主人公である青年カーは、

十代の頃、通ったプロメテウス劇場を訪ねる。 

そして、カーは演劇人を目指した14歳の頃にフラッシュバック。 

最初はすべてが輝いて見えた演劇界であったが、 

脚本、演出家、舞台デザイナーとして

劇場を牛耳る女性アイリーンを通して見た

田舎町の演劇集団に徐々に失望していく。

 

 

 

脚本を手がけたのは・・・  

 

 

ダグラス・カーター・ビーン。  

 

 

コメディセンスを生かし、 

「シンデレラ」や「ザナドゥ」の

脚本を手がけ、ヒットに導いた立役者で、

「SHOWS for DAYS」は

彼の昔の経験を元に書かれた半自叙伝物語だとか!?   

 

 

 

彼はこの芝居を通して、一体何を伝えたかったのか・・・  

 

 

世界最高峰の演劇の聖地、

ブロードウェイが上から目線で

田舎町の住む演劇人を

揶揄してるって事だろうか!?

 

 

所詮地方の演劇人は、つまるところ 

才能がないから田舎町に留まっているわけで 

ま、ある意味負け犬なわけなのよー。 

端的に言いますれば、そんなコメディ。

 

 

こんなちとピンとこないコメディではあるけれど

そんな中で良かった所をあげてみると・・・ 

 

 

◎アイリーン役パティ・ルポン  

 

ミュージカル「ジプシー」のママローズは彼女の超当たり役  

しかし、ちとヤリすぎってほどオーバーな役創りで有名な彼女  

本作では普段の大袈裟な芝居を封印、

オーソドックスな演技に終始。  

至極真面目に、これぞビッチってな像を作り上げたんよ。  

 

 

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◎カー役マイケル・ユーリー  

 

とにかく、女の子のような可愛い

お目目にお鼻にお口が超印象的な俳優だが、  

日本で知名度を上げたのは

人気コメディTVドラマ『アグリー・ベディ』のマーク役?  

演劇界でも様々な作品に出演している若手の注目株。  

本作では、やっぱり超可愛いのだ!!   

 

 

 

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知名度とお芝居の技量、

どれをとっても申し分のない、

これほどの二人が出演しているコメディ。 

 

 

それだけでチケットは

連日完売でもいいはずなのだが、 

私が観劇した日も空席がチラホラ。   

 

 

それでは、わたくしのジャッジいっちゃいます。  

 

最大の問題は・・・・ドロドロドロロール

 

 

ダグラス・カーター・ビーンの脚本。  

 

 

まがりなりにもコメディだぜェ〜 

ボードビル的な大げさな笑いで

紋切り型のお笑い炸裂!!! 

笑取るとためになら命も惜しまない、

くらいの覚悟で腹括ってやって欲しかった 

もっと徹底したお笑いを期待していたのだけど・・・

 

 

肩すかしくらいました。  

 

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おまけに、途中で人生について

ミョ〜にリアルに語ったり、 

人間愛についてなど、

やたらセンチメンタルな部分が

ちりばめられていたりする。 

物語の軸を盛った割には、

どの要素もどっちつかずの超中途半端な台本なのだよ。 

しかも、エンディングは安いメロドラマのノリ。  

 

 

とにかく笑える、 超バカバカしい舞台を 

見たい人にはちとガッカリなわけさ。    

 

 

まー正直申し上げて、  

今回、私は、この芝居を見て、 

観客が携帯いじりを

やめなかった気持ちは

わかった気がしたわ!   

 

 

 

 

昔は酷い舞台に対して、

 

 

ブーイングで抗議したもんですが、

 

 

21世紀の観客はおもむろに

 

 

携帯を取り出し

 

キャンディー・クラッシュをやり続ける。

 

 

 

これで決まり!?

 

 

 

そんなこんなで、延長されるわけもなく、8月23日で閉幕しました。  

 

 

 

トシカプ評:★★           

 

 

ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、     

ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった  

素晴らしいものなんですよね!   

 

 

 



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August 23, 2015 3:02 PMComment(0)



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