舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
シェイクスピアのレパートリー公演を紹介した先週に引き続き、今週またしても交互公演もの。
2013年はシェー様で終わり、2014年もシェー様で幕開けの当ブログってなんかスゴい?
しかも、今回は、いま話題となっている不条理演劇!!
サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』と
ハロルド・ピンターの『誰もいない国』を紹介しまーす!
本題に行く前に、レパートリー公演をおさらいすると・・
「同一キャストが複数の演目を日替わりで上演する公演形態」
「おっ、どっかで見た事のある、いぶし銀のお二人さん!」
で、その不条理演劇って・・・
予定調和とは対極にある、不毛な人生、生死、
常識では割り切れない人の不条理さなどなどを問う演劇・・
なんて・・知ったかぶりしているワタシだけれど、
私自身もナンダカわかったような、狐に鼻つままれたような、
この微妙な塩梅こそがフジョーリってことなのかも!?
ここでまず簡単に作品の解説を
サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』
不条理演劇の代表作と言われる本作は、
ゴドーと言う何者かを待ち続ける二人の時間の経過の中で,
不安を払拭するため自分の気持ちを話続ける二人の脈絡のない会話劇。
そこから何を汲み取るかは、観る人次第。
見る側の思考を揺さぶる様な
抜き差しのならない驚きにも満ちているのさー。
一方のハロルド・ピンターの『誰もいない国』
アル中で孤独な老人の金持ちと貧乏な詩人の老人との
これまたとんちんかんな会話。
二人に共通していることはどちらもが、とっても不幸だって事。
愚痴、悔恨、自責の念なんかが、
難解なモダン・ジャズさながらに、
不協和音を奏でる様が見所の一つ。
「二人でお酒をのみ〜ぃましょぉねぇ〜♪」by 梓みちよ
注目の主演は・・
映画「「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ」で大ブレイク、
歳を重ねるほど魅力が増している名優イアン・マッケランと
TVシリーズ「新スター・トレック」で不動の人気を確立したパトリック・スチュアート。
映画『X-メン』で競演した実力派の二人の再競演に注目度は満点だー!
なんかね〜、散々人生の荒波にもまれ続けて来たご両人。
噛めば噛む程、旨味の滲んでくるスルメのような、
そんな二人の盤石の演技を観ていると、
ワタクシも渋み満載の味のあるオバサマじゃなくて、
オジサマになるべく頑張らなくっちゃ、なんて元気を頂戴仕りやした!
「ありがとぅ!」by 堀内孝雄風
「まー、見りゃ解るだろうけど、イアン・マッケランはRose Tribe、
つまりは「薔薇族」って事。きゃっ、古っるーい。」
他にもいくつも見どころが!
◎まるで吉本のお笑い芸人のようにボケまくり、こけまくり、どこかキュートな二人の演技。
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虚勢を張る人間の愚かな姿。
静寂を埋めるためだけに執心して喋る続ける無意味な会話。
確証がなにひとつない不安な精神状態。
まさに不安な現代人の心証している不条理の傑作。
いいよねー!
外国映画の字幕も面倒くさがる様な米国人だけれど、
こんな素敵な謎解きエンタメに熱狂する知識階級な人々がいるってところが、やっぱりNYC。
観客の顔ぶれを見て、そう思ったのだよー。
本作も「ライオンキング」観劇のノリで行くとくたびれちゃうかも?
でもね、でもね、たまには脳を活性化させてくれる、
前衛的な作品に触れるってのもブロードウェイの醍醐味さ。
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ソレが嫌な方は観に行かない方が懸命よー!
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まさに見る人を選んでしまう名作ですな、今回は!
好評を博して、公演は3月30日まで延長。
30ドルの当日券もあるよー!
NY生活で全てを見尽くし、味わい尽くしたとNYに辟易しているそこのあーた!
韋駄天走りで劇場へ向うべし!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですよね!
トシカプ評:☆☆☆☆
Cort Theatre
138 West 48th Street
New York, NY 10036
今頃盛り上がっているのでしょうねぇ〜
時差があるから! カプチーノさん、気持だけは応援してますからねぇ〜
歌声聴きたい!