舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
ブロードウェイに
一度でも足を踏み入れた事のある人ならば、
既にもう重々承知されている事と思うが、
名古屋の名物、"青柳ういろう"なみに
雑多なフレーバーを取り揃えたNYに於いても、
劇場の観客の大半を占めるのは、
富裕層の白人のおん方々。
アフリカ系、中東系の観客は言わずもがな、
近年
貯め込み放題
と噂される、
我らがアジアの友人?
の方々すら、まだポツリポツリって程度。
それがミュージカル「モータウン」や「ポーギー&ベス」などの、
非白人が主人公の作品ですらそうなんだから、
その見えざる壁
の様な物の存在は
未だ厳然たる事実でありまする。
見る方も見る方なら、
やっぱ演じる人だって、
自分と同じ白人さんがエエッとなるのも自然な流れか。
かくして、「ミス・サイゴン」みたよに、
アジア人の役に白人さんが抜擢されて、
物議をかもしたり、なんてのも今は昔。
じょじょにではありますが、
実力をもった、マイノリティの俳優が、
舞台の真ん中に立つってな場面も増えてまいりました。
んでんで、
大ヒットロングラン中で、
おフランスを舞台にした「オペラ座の怪人」に
配されましたるが、
アフリカ系ベテランミュージカル俳優、
ノーム・ルイス御大その人!
ノームと言えば、
最近じゃー、サァーマタァームぅ♬の「ポーギー&ベス」ポーギー役。
抜群の歌唱力はもちろん、ソフトな歌声で
アメリカ人のみならず、
日本にも女性ファンが多いんだよねぇー。
そんな彼をファントムに大抜擢したのが、
伝説の大プロデューサー、キャメロン・マッキントッシュ様だろう・・たぶん。
さすがやり手は違うねぇー。
その大胆な采配によって
「オペラ座の怪人」への注目度をググーンとアップ。
各マスコミは、黒人を初起用したことをこぞってニュースに・・
新機軸ってヤツですな・・・
さて、その今回のオペラ座の見どころは・・・
ご存知、落下する巨大なシャンデリア
作曲家、アンドリュー・ロイド・ウエイバーが手掛けた
甘美で繊細な音色の楽曲なのだが
今回何が何でも注目したいのが、
ノームの歌いっぷり!!!
オペラ畑の人じゃないから、
ちとハラハラドキドキする部分も・・母ココロ
が、
歌に愛と魂。
テクだの
声量だのを超えた、
なんかグググッとくる魅力が加わった感じ。
私、
ファントムの観劇で初・・・・・・・泣いチッチ
ノーム・ルイスの「オペラ座の怪人」必見よー!!
観劇後、本物のノームとご対面&しばしの談笑。
それが、超感じのいい人なのさー。
気配りができるつーの。
人間してとても温かいエネルギーを持った人。
余談だけど、ミュージカル「シンデレラ」にも
初の黒人シンデレラが誕生!
演じるのはキキ・パーマー。
9月9日から。
人種の壁を越えたキャスティングが、
いよいよもって当たり前田のクラッカーな今日この頃。(古ッルゥーッ!)
英語さえできれば、
日本人俳優のブロードウェイ進出も益々可能性を秘めて来たねぇー。
来年は世界のケン・ワタナービーが
ミュージカル「王様と私」で主役を張るし・・
日本人がファントムの白い半マスクを装着・・・
なんて日がくるかもカモーン・・・
日本人がファントムやるなら、この人!
エエエーッ、それマジホント、みたいな人が思いつかない・・・・
ブロードウェイ・ミュージカルって、
楽しいだけでなく役に立つ人生訓がギュっと詰まった、
素晴らしいものなんですよね!
トシカプ評:★★★★
Majestic Theatre
247 West 44th Street
New York, NY 10036
Facebookを利用してコメントする