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トシ・カプチーノ

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ToshiHeadShot_2014.jpegのサムネイル画像舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。



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奇想天外、カラオケ・プレイOFFOFF" KARAOKE PLAY"

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スシ

エダマーメ

ラーメン・・・

ゴーゴーカレー(笑)

 

 

 

日本発の食文化は太平洋を越えて、

 

今日もニューヨーカーの胃袋を直撃し続けとります。  

 

 

 

例えば・・・

 

 

 

スシ

 

 

 

やがて現地で変容を遂げ、

 

カリフォルニア・ロールだの

 

ドラゴン・ロールなんてのが、

 

総菜屋さんで当たり前のように売られてたり・・・。 

 

 

 

で、もうイッチョ・・

 

 

そのスシと変わらないほどの人気なのが   

 

 

 

キャラオーキ(カラオケ、笑)

 

 

IMG_1997.JPG

 

10年ほど前までのニューヨークのキャラオーキ屋は 

NY在住者の日本人や駐在員ばっかだったけど、 

今じゃ、キャラオーキ屋で歌っているのは8割方がアメリカ人。   

週末はバーを占拠状態。

 

 

 

行儀よく上手に歌おうとする日本人に対して

 

 

 

アメリカ人は・・・・  

 

音程やリズムなんか二の次。 

 

マイクが壊れるんばかりにがなり立てまくるぅ。 

 

 

 

同じカラオケでも、

場所と人が変わると、

楽しみ方も変わってくるんだねー !

 

 

 

いまや、欧米人だけで

商売が成り立つほどに成長した

カラオケビジネス。  

 

 

 

ただ歌うだけの娯楽だと思っていたカラオケを

今度は、なんとオフオフでお芝居にしちまったーてんだから、

やっぱアメリカ人は人を食ってるちゅーか、

 

 

 

奇想天外だよねー。   

 

 

 

この新種のカラオケ・プレイのタイトルは

 

 

 

 

「Dead Behind These Eyes」   

 

 

 

 

日本語にすると「脳死」とでもいえばいいのか?   

 

キテレツなタイトル・・・。 

 

 dead-behind-nologo.png

 

 

会場となるのは、通常の劇場でなく、

イーストビレッジのカビ臭い地下にある

カラオケ・バーの一室。  

 

 

 

カラオケ・プレイといえども、 

お客さんに、唄を歌うことを強要しない・・ 

歌好きのあたしゃ、ここで一曲自慢のノドを披露して、

なんて期待してたので、

 

 

 

ショボーン。  

 

 

 

本作は男性二人に女性一人の役者が 

ブリトニー·スピアーズ、プリンスなどを

カラオケで歌い、踊りながら進行するという、

 

実験的な芝居なのさ。

 

 02DEAD-master675.jpeg

 

 

本作の脚本は・・

劇作家ジョン・オズボーンの代表作

『怒りを込めて振り返れ』を材にしてるという。

 

 

 

いきなり、1956年のオズボーンの芝居なんて出されてもねー???

 

 

 

と調べてみると・・・   

 

 

 

『怒りを込めて振り返れ』は

密室の中の3人の反体制的な若者と階級闘争を描く、

リアリズムの作品で、ロンドンで1956年に初演当時は、

それまでの蝶よ花よの舞台に対する

過激なアンチテーゼとしてヒットしたのだとか・・・。

 

 

 

断片的な歌や踊り、そして流される映像の合間に、

このオズボーンさんによる台詞がちりばめられて・・・

 

 

 

という、シュールな展開。   

 

 

 

風変わりのは、これと言って必然性のない台詞を

役者同士でしゃべるのでなく、  

観客に向けてしゃべると言う突飛な演出。  

 

 

 

時にそれは質問であったり、

単なる独白であったりするんだけど、

それを振られた観客は、

一体どう返したもんか、

 

 

 

または無視すべきなのかも解らず、とぎまぎ・・・ 

 

 

 

なんか居心地悪ーい雰囲気なの。

 

 

 

 

このカラオケ・プレイなるものの

イギリス人演出家、キャサリーン・ハミルトンは 

若かりしのファラ・フォーセットばりのお美しいお方・・・   

 

IMG_2001.JPG 

 

観劇後、聞いてみた。

 

 

 

彼女曰く、カラオケルームでは、

誰もが自分の事ばかりにかまけて、

他人が歌っているときは全く無関心だったりする。 

 

 

そんなカラオケルームでの典型的な様相は、

自分以外の社会や政治に無関心な人達と同じ。 

 

 

だからカラオケを使い、現代人の空恐ろしい程の、

他者への無関心という、現状を描きたかったと・・・ 

 

 

 

 

たかがカラオケ、

されどカラオケ・・・  

 

カラオケから現代病理学的分析を試みるとは・・・

 

なんかすごーい・・・  

 

 

 

既成概念をぶち壊すNYならでは作品じゃーん!   

 

 

 

これは、同じ様に掟破りの着想で、

シェークスピアを無言劇にしちゃって、

秘かなブームになっている「スリープ・ノー・モア」に続く 

スマッシュヒットとなるか???    

 

 

と期待したいんだけどー !

 

 

 

10畳ほどのカラオケルームだもの、 

超至近距離で役者が演技しているので 

熱さはスゴーく伝わって来るのだけど、

無関心な人間の側面を問題提起にするのなら

他の手段もあったろうに・・・ 

 

 

 

20人も入ったら

満室ってくらいの密室感がスゴくて、

閉所恐怖症の方はアウト!    

 

 

 

あたいは、やっぱカラオケは歌うものだと思うのだよ!

 

あ〜ん、じれった〜い、じれったい〜♪    

 

 

 

 

なので、NYでしか成立しえない、

 

 

「私は誰、ここは何処?」的な、

 

 

ブッ飛んだ異様空間を

お望みの方以外には、

おススメできないわっ!

 

 

 

公演は、9月20日まで 

 

 

 

トシカプ評:★★

 

 

ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、

人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。   

 

 

 Sing Sing Karaoke - Avenue A 

81 Ave A  New York, NY 10009 

 

 

 

 

 

 

 

 



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September 9, 2014 10:31 AMComment(0)



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