舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
私のお父様は呑む打つ買うの三拍子がそろった典型的な九州男。
そんな無骨で粗野な父と、おママゴトとゴム跳びを好む様な私と馬が合わけも無く
反抗期が始まる中学時代から父が亡くなるまで、ほとんど口を聞くことがなかったのさ。
52歳とい若さで亡くなった父。
その当時、私は21歳。
後悔先に立たずだが、お酒が大好きだった父と
一度でもいも焼酎でも一緒に呑んで語り明かしてみたかった・・
というのが、私の人生の唯一の後悔さ。
さて、今週紹介するのは新作ミュージカル「ビック・フィッシュ」。
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これがまた、父の息子の相克と和解を描いたファンタジードラマなのです。
わたしなんて、そのプロットだけでなんか身につまされちゃう。
「ビッグ・フィッシュ」に出てくる父親のエドワード・ブルーム氏は、カプチーノパパと違って天真爛漫。
のべつ荒唐無稽なホラ話で周りを煙にまいてる様な、万年子供みたいな愛すべきおヤジさん。
日本で言ったら、バカボンのパパとか高田純次あたりの路線かな?
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息子のウィルは子供の頃こそ父親の大言壮語を素直に受け留めるが、
成人後は段々理解に苦しむ様になり、軽い侮蔑や疎ましささへ感じる様になってしまう。
果たして、病に冒された父親と息子ウィルは理解し合う事ができるのか?!
本作の下敷きになっているのは、ダニエル・ウォレス著『ビッグフィッシュ - 父と息子のものがたり』の原作と
映画『チャーリーとチョコレート工場』や『アリス・イン・ワンダーランド』などでおなじみ、
ティム・バートン監督の映画(03年)
タイトルが「ビック・フィッシュ」なら、
舞台裏のクリエイターも役者達も大物揃い!
演出・振付は、スーザン・ストローマン。
ミュージカル「クレイジー・フォー・ユー」(92年)の振付で大ブレイクした彼女は
その後、トニー賞を総なめにした大ヒットミュージカル「プロデューサーズ」の演出振付も手掛け、
今ではブロードウェイを代表する女性演出・振付家。
(下の画像、修正キツ過ぎ、まるで別人、っw)
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音楽は、アンドリュー・リッパ。
ミュージカル「アダムス・ファミリー」で注目されたベテラン作曲家。
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総勢27名の大所帯で主役を張るのは、二枚目からコミカルな役までこなす
トニー賞俳優、ノバート・レオ・バッツ。
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この三人がタッグを組めば、大ヒットしトニー賞間違いなしってほどの最強メンバーによって
制作された「ビック・フィッシュ」なのだが・・・
そりゃー確かに、ドエリャー金かけたのが一目瞭然
舞台装置は飛び出す絵本のような楽しさいっぱい。
そこにはエドワードの妄想の世界から飛び出したキャラクター達が
工夫を凝らした衣装を身に纏い、めくるめく特殊効果が続々登場。
まるで、ディズニーパレードを観ているような豪華さ。
金かかってるゥ〜&気合い入ってるゥ〜
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なのになのに・・・
エドワードのファンタスティックな創造の世界のヴィジュアルを
最大限に膨らまるという演出なんだそうだけれど、
その分、なんだか登場人物の存在感が薄まっちゃってるの。
例えばストーリーテーラーであるエドワードは、
ディズニーランドのツアーガイドにしか見えない。
これでは、いくら名優ノバート・レオ・バッツが大熱演しても無理ってもん。
また、ストローマンが得意とされる振付も冴えがなく、彼女らしさに欠けた出来。
音楽も・・・観劇後、全く記憶に残っていない。
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制作過程に於いて中堅以上の個々の担当者が、手堅い仕事をしてそれを積み重ねて行けば、
きっといい作品に仕上がると期待しちゃうわけですが、
1+1=2のまんまじゃダメで、そこに何らかの触媒反応が加わり、
1+1=10にも20にもなる奇跡が起こりえるのが摩訶不思議な舞台の世界。
それって例えるなら、普段のチャイナタウンやトレーダーズ・ジョーズではなく、
Dean&Delucaのオルガニック高級食材で、気合いで調理した晩餐が、
どうも今イチだったみたいな感じ・・とでも言えば良いのか?
塩気が足りなかったの?
火力が弱かったの??
レシピが間違ってるの???
愛情が足りなかったの????
と詮索してみても始まらない。
残念ながら、私にはこの舞台上にミューズが降り立って
ミラクル起こすのを見る事は出来ませんでした。
それともう一つ! お客さんって正直。
一幕後の休憩中、観客がどれほど、作品にのめり込んだかは、
劇場内に響く観客の声や、発散されるエネルギーですぐに察知出来る。
残念ながら、本作の場合、興奮した会話も聞こえず、テンションも上がらない。
キラビやかな体裁のショーなのだが、内容的には、スモール・フィッシュになっちゃったヨ。
アチャー、みたいな・・・。
これは短命に終わりそうな気配が・・・
来年1月5日が最終日かもかもーん!?
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった 素晴らしいものなんですよね!
トシ・カプチーノ評:★★
Neil Simon Theatre
250 West 52nd Street
New York, NY 10019
最後に前回、お知らせした
私の歌謡ションソンSHOW「結婚するってホントですか!?」
チケット発売開始しました!
ご予約は、お電話、またはオンラインで。
デンワ予約:(866) 811-4111
オンライン予約:Theatermania.com
ショータイトル名は、両予約ともToshi Cappuccino's Cabaret Show 2013となります。
皆さんのお越をお待ちしております。
確かに残念な結果に・・・「プロデューサーズ」10、「コンタクト」8、「スコッツボロ・ボーイズ」5、「ヤング・フランケンシュタイン」、「BIG FISH」3って感じでしょうか!?
うん、そうらしいですねぇ〜
ミュージカル好きの娘に今話したら、彼女も何かで知っていて・・・
いい噂を聞いていないって・・・残念ですね・・・・ディレクターが下手だったのか?
なにかのエネルギーが合わなかったのか・・・もったいない!
舞台って・・ギャンブルですね〜