舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
バブルの頃こそ、多かった日系劇団のニューヨーク公演。
鳴り物入りで日本の大手企業なんぞが協賛について、
そりゃー派手でございました。
私もてんてこ舞の大忙しだったそんな時代も遠い昔。
今じゃ、「ジャパン・アズ・何番目だっけ?」になってしもたぁー、エ〜ン
でも、こんな世知辛い今でも、
世界の檜舞台ブロードウェイを目指して、孤軍奮闘
頑張ってらっしゃる演劇人たちもおられまーす!
でもね、リンカーンセンターフェスティバルからの招待でもなく、
協賛企業もナシの小劇団がNY公演するのは至難の業
そう、世の中、銭、銭、銭よー!
敢えて、生臭い話をしてしまうと、一劇団がNYで公演をしようと思えば、
オフオフ(99席以下の劇場)での数回公演でさえ、
劇場経費、あごあし含めると軽く数百万。
そんな状況に追い打ちをかけるように民主党の事業仕分けによる文化予算カット
海外公演は、ますます厳しくなっているわけなのさ。
そんなすべてがガクブル厳寒のニューヨークで、
流山児★事務所による
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今回の上演なのでR。パチパチパチ
我らが同郷の士の奮闘振りを拝見すべく、
氷点下15度を物ともせず馳せ参じたのでございます。
場所はオフオフの小劇場「HERE」
その劇場は、金さえ払えば誰にでも貸してくれる、
あのCホールとは違い、
厳選された芸術的価値のある作品だけが
登板を許されるという
名門劇場なのであーる。
やったね、やったね!
流山児★事務所といえば、アングラ系劇団の雄
コアなファンも多い演劇集団だ。
今回のNY公演の出し物は和製ミュージカル「花札伝綺」。
その作品のベースとなる戯曲を手掛けたのが知る人ぞ知る、故寺山修司様。
天才の名をほしいままにした彼は70年代に、
作家として、詩人として、映画監督として、カメラマンとして、俳優として、
あらゆる芸術畑で大活躍された
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スーパー・超デラックス・マルチ・タレントなのよー!
その寺山魂の「花札伝綺」を再現したのが、流三児★事務所なのさ。
舞台は19世紀大正時代の東京。
死人が営む葬儀屋のひとり娘が生きている男と結婚を決めたことで事件は始まる。
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一昔前の新宿の花園神社や新宿ゴールデン街周辺を彷彿とさせる
猥雑なエネルギーに満ち満ちた本作。
日本の退廃的でごった煮感満載のミュージカルが
マンハッタンで見られるなんて・・・・とーっても不思議な感じぃ〜
見どころは・・・
◎スジロク役のヤマシタ・ナオヤさんの漫画チックなキャラは強烈!夢に出て来たわ、汗
◎寺山修司の魂を受け継いだかのような奇想天外でエロティックな青木砂織の演出。
特に後半戦になればなるほどクレシェンド。いいねー!
◎おかずは炙った油揚げとか、コロッケとキャベツとか、そんなもんだった昭和のころ、
流行ったフーテン族やヒッピーの香りがする衣装
身内のニッポン人として、敢えて言わせて頂けば、
◎耳が慣れない前半戦は台詞が聞き取りにくかったのは残念。
字幕でなんとか意味がつたわりましたが・・・。
◎終始出力全開で展開したので、もう少しペース配分で引く所を見せられればモア・ベターだったかもよー。
その意味では後半の歌舞伎調のところはホッとしましたよー。
◎カラオケでなく、トリオでもいいから生音にすべき!
そーすりゃ、あーた鬼に金棒!
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ブロードウェイにもない日本のアングラ劇のお手本やねー。
しびれました!
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次回は英語でやっても面白そうですね! ?
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劇団員の皆様、お疲れさまでした。
最後に業務報告!
日本人による次のNY公演は・・・
今年8回目、玉川大学の「太鼓と舞踏の公演」だぜよー!
公演日は4月3日(木)午後8時開演
場所はコロンビア大学のミラー劇場さー!
チケットは近日中に発売開始。
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みなさん、韋駄天走りで劇場に向かうのよー!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですよね!
トシカプ評:★★★
HERE
145 Avenue of the Americas,
New York, NY
10013
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