舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
ミュージカルと言えば、
歌って、
踊って、
憂き世の喜怒哀楽の物語を
紡いで行く総合芸術。
そんな中、ダンスは・・・
勿論、歌と台詞に乗せて
役者達が音楽に合わせて
踊りだすってのは自然な流れ。
ミュージカルとダンスは・・・・
おしどりの契を結んだ
夫婦さながら、
切っても切れない間柄。
さりながら、
ダンスは、
ある意味 縁の下の力持ちと言えなくも無い。
重要度で言えば、
1、先ずは、お芝居っしょ。
善人から極悪人まで。
観客の心を鷲掴みにする演技力、
さらに舞台からはみ出るような
カリスマがあればステキ♡
2、次が歌唱
やっぱミュージカルってくらいですもの、
ピアニッシモのささやきから、
胸郭全開、のど輪締めテクで
地響きのような絶唱まで
聴かせて欲しいの♡
3、そしてダンスの順・・・。
お芝居でも歌でも徐々に溢れ出て来たエロス。
遂にはつま先まで緊張感を漲らせた肉体を駆使した踊りでもって、
私に究極のエクスタシーを感じさせて〜ン♡♡♡
その踊りの魅力を最大限にフィーチャーした
ヲトナのためのしゃれおつなダンス・ミュージカルが
アカデミー賞受賞、ジーン・ケリー主演の
古典ミュージカル映画が舞台化した
『巴里のアメリカ人』
さてココデ・・・ズバリ当てましょう♪
来月のトニー賞ミュージカル作品賞は、
これに決まりヨ!
ストーリーは・・・
舞台は大戦後の復興期のパリ。
兵役から逃れたアメリカ人、ジェリーは
パリの美しさに魅了され祖国へ帰ることを取りやめ
この光の都市に留まることを決意。
偶然カフェで出会った画家に連れられて
行ったバレエのリハーサル。
そこで見た美しいバレリーナ,リセに一目惚れ。
しかし他にも彼女に思いを寄せる男性たちが・・・・
見どころは・・・
◎モダンバレエ風のダンス
主役から脇を固めるダンサーまでも、
有名バレエ団から起用された
チャキチャキのバレエダンサーたち。
まず驚くのは、鍛え上げられた肉体!
それを使い、ミリ単位で計算されたような
舞のめくるめく世界!
その一こま一こまが、しゃれとんシャー!
さらにモダンバレエ風のダンスだけに留まらず、
ブロードウェイの天才振付家、ボブ・フォッシー「ピピン」や
マイケル・ベネット「コーラスライン」
スーザン・ストローマン「プロデューサーズ」を思わせるような
バラエティに富んだ振付だから、全く飽きがこない!
ねっ?トニー賞振付賞受賞間違いなしっしょ!?
◎ジョージ・ガーシュインの音楽
アメリカの国民的な大作曲家、ガーシュインの
ジャズとクラシックを融合させた
楚々たるシンフォニックジャズのナンバー
それも、聞き覚えのある曲の数々
心地よく、モダンバレエ風の動きを
さらに引きたてる役割もしてるのさ!
◎キャスト
主役ジェリーを演じるのは、
ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル、
ロバート・フェアチャイルド
その相手役リセにはロイヤル・バレエ団の
リアン・コープを大抜擢!
そんでもって凄いのは、このお二人、
ブロードウェイ・デビューで
バレエダンサーにも関わらず、
芝居もマル、歌唱力もマル!
これじゃー、あーた。
ミュージカルにプラス、
バレエの醍醐味まで堪能出来る、
一粒で二倍三倍楽しめるのヨ!
もちろん、両者がトニー賞主演男優、女優各賞に
ノミネートされたこと必定よね!
◎演出家の手腕
陽の目を浴びることが難しい
ダンスを敢えて中心にすえたミュージカルを
制作したプロデューサーも偉いけど、
やはり最大の功労者は、バレエ界で有名な
演出振付家、クリストファー・ウィールドン。
過去のダンス・ミュージカルを振り返ると・・・
・ダンサーはダンスのみ、シンガーは歌のみ
・ストーリーはなし(歌のイメージに合わせて踊るだけ)
・ 歌もなく音楽に合わせて踊るだけってものもある
新しいヒット作として記憶にあるのは
ビリー・ジョエルの『ムーヴィン・アウト』くらい・・・
そう言えば、そのボストン公演で、
テレビ番組収録で? 山本太郎氏と遭遇したなぁー!
それに対し「パリのアメリカ人」は・・・・
・プロのダンサーが歌って踊って演技まで!一人3役。
・芝居と踊りがコネクトし、小気味よく交差しながらテンポよく進む物語
・凝った舞台装置と衣装もエレガントなパリを表現。
バレエと演劇の要素が
高い次元で絡み合あった「パリのアメリカ人」
これは、まさに新分野!
ラプソディ・バレエ・ミュージカルとでも言うおうか!?
映画の舞台化で、
映画以上の評価をされるって
なかなか難しいのだけど
本作はやっちゃったちゃんね!
さて、本作を翻訳上演するとしたら・・・
バレエが踊れて、演技も歌もできる日本人で・・
ううううん・・・
ぱんぱんぱやっぱ♬「他人の関係」の金井克子さま
「水戸黄門」の由美かおるさま
ちょっと・・・
熊川哲也さまは・・・んー歌と演技は?
無理そうなんで、そのまんま日本へ!
本作なら、子供から大人まで、
演劇好き、バレエ好き、ガーシュイン好き、
台詞の少ないので英語が苦手な日本人にもオッケー!
幅広い層に楽しんでもらえること間違いなし。
みなさん、オリジナルキャストが出演しているうちが旬よ。
韋駄天走りで劇場へ!
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★★★
Palace Theatre
1564 Broadway
between 46th and 47th Streets
New York, New York 10036
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