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トシ・カプチーノ

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ToshiHeadShot_2014.jpegのサムネイル画像舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。



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新作ミュージカル「アメージング・グレース」歴史のお勉強版

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数多のブロードウェイ・ミュージカルの中でも、

オリジナルというのはむしろ小数派。  

 

 

多くが、

 

 

ハリウッドのヒット映画

 

ディズニーのアトラクション

 

伝説的人物列伝

 

従軍慰安婦

 

などなど、

 

 

まー思いつく限りの、

いろんな所からネタをもってくるものなのですねー。 

オイオイ・・・って感じなのも出てくるわけなのです。 

 

 

そんな元ネタの一つに、「名曲」ネタってのがある。 

 

 

誰もが愛する名曲をふくらませて、

物語や楽曲を紡ぎ出すと言う

いささか安直なアプローチ。  

 


この目論見の成功例が・・・きゃー、思いつかない・・笑

 

 

おそらく、見るも無惨な惨憺たる結果に

終わったものばかりだからだろうか?

 

 

さて、ご紹介申し上げるミュージカル

 

 

 

 

「アメージング・グレース」

 

 

 

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この名曲は、アメリカ合衆国で

最も慕われ愛唱されている曲の一つ。 

 

 

 

ちょっと前の話になりますが、

 

 

日本でも故本田美奈子さんが歌ったり、

唐沢 寿明の「白い巨塔」のエンディングに使われたりして、

その度にファンを増やしているもよう。  

 

 

私もいろんなところで耳にするから、

すっかり覚えちゃってね。

たまに朝シャワーの中で

歌っちゃたりアゲアゲなのです♡  

 

 

そんな「アメージング・グレイス」の誕生秘話ミュージカル。 

 

 

 

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ミュージカル題材としてもいいよねぇー!

たった一曲をメインに据えてどこまで華麗な作

品に仕上げる事ができるのかお手並み拝見。   

 

 

さて、この名曲誕生の裏にかくされた物語とは?  

 

 

舞台は1744年の英国。

奴隷貿易が家業の家に生まれた

ジョン・ニュートンという実在の人物が主人公。 

 

とりたてて家業に疑問を持つ事もなく、

しかしどこか満たされない。 

神様を信じることも忘れ、

好きだった音楽への夢も捨てていた。 

 

そんな時出会ったメアリーと恋に落ちるが、 

黒人奴隷制に嫌悪を抱く彼女と衝突して離別する。 

ある時、海難事故に遭遇したジョンは、

黒人の船員に助けられ一命を取り留める。 

 

その後、彼は奴隷制度がいかに卑劣なことであるか学び、

宗教家となり、 好きだった音楽活動も再開・・・

それまでの奴隷制に対する無関心を悔い改め、

それを許した神への謝意をこめてつくられた賛美歌が・・・

 

 

 

 

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脚本、作詞、作曲 

 

 

手掛けたのは 元警察官という変わり種のスリストファー・スミス  

まあ、お若い時から音楽的な才能はあられたようだけど、 

今回のブロードウェイがプロのライターとしての初仕事。  

 

 

まず、  脚本:親切丁寧、細かい情報まで

盛り込んでいるだけどちょっと盛りすぎかと・・・    

 

 

まるで歴史のお勉強させられてる感じ。    

 

 

そしてありきたりな男女の恋愛話。    

似たり寄ったり、これまで、

幾度となく見たような筋書きは退屈。    

 

 

とって付けたような奴隷のシーンもイマイチ盛り上がりにかける。    

全体的に登場人物の心理描写も見え見えなのよ。  

 

 

 

音楽

 

 

悪くはないが登場人物に2曲づつ歌わせた曲の詩は、    

これまた説明的でどこにでもあるバラード系。

印象薄し。   

 

 

 

演出

 

 

 

手掛けたのはガブリエル・バレーっていう人。   

脚本に書いてあることを

一生懸命に表現しすぎたみたいね・・ 

 

なんか芝居が偉い忙しいの。

 

そして最大の欠点は、 説明過多

 

 

観客のイマジネーションを全く刺激してくれない。    

 

 

欠点ばかりあげたけど、

キャストの面々は芝居ができて歌える俳優揃い。 

ブロードウェイの役者の質の高さを実感よ!  

 

 

 

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見どころは・・・・   

 

 

あーた、そりゃもちろん   

出演者全員が魂込めて歌う    

 

 

「アメージング・グレース」   

 

 

 やっぱ、このミュージカルのスターはこの曲。    

 

 

なんてったって、

過日の黒人教会の射殺事件で、 

お亡くなりになった9人の黒人のために

お葬式で オバマ大統領

「アメージング・グレース」を歌ったくらいだもの。 

 

 

そんな有り得ないほど超有名な歌。    

 

 

最後にこの歌が出てくると、

その前2時間15分の芝居はなんだったの!? って、

すべてが水に流されて、

余韻として残るのはこの歌の素晴らしさだけ。 

 

 

やはり、「アメージング・グレース」は

永遠に歌い継がれる名曲中の名曲だけど

ミュージカルは、明日にでも消えそうな感じね・・・

 

 

 

こよなく「アメージング・グレース」を愛する皆様、韋駄天走りで劇場へ急げ!    

 

 

 

もし、翻訳上演するならば、主演のジョン役は・・・・    

 

 

 

片岡愛之助様    

 

 

渡辺謙に続けと、ブロードウェイ進出にも狙っていらっしゃると風の噂に聞いたもので・・笑   

 

 

 

トシカプ評:★★   

 

 

ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、 

 ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった 素晴らしいものなんですよね!        

 

 

 

Nederlander Theatre 

208 West 41st Street 

New York, New York 10036 



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July 28, 2015 10:59 AMComment(0)



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