舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
NYに移り住んで、あっという間に、
はや20年以上の月日が流れてしもうたー。
来紐当時は、バブル期の日本の名残が残っていて、
日本=金満なイメージがあったよねぇー。
寿司だって一部の好事家を除いては、
まだまだ「ナマザカナー?OMGッ!」ってな塩梅。
それが今じゃー、
カリフォルニア・ロールだの、
ドラゴン・ロールだの・・・
アメリカ系のスーパーの
惣菜コーナーで
当たり前のように売られているし
また、やれ、エダマメだ、ラーメンだーと
太平洋の向こう側の
島国の文化的なブランド力も大したもんですなー!
そんな中、
もっと古くて強力な
ジャパン・ブランドを忘れちゃーいませんか?
そりゃー勿論、
ニッポン女性、ヤマトナデシコなのでR。
なんか冴えなくて、いまいちなニッポン男児に比べて、
清楚で殿方を立てることを厭わないとされる
柳腰の日本女性の人気は世界的&普遍的。
これ多人種のNYに住んでの実感あるよー。
プッチーニの蝶々さんから綿々と続く、
そんな楚々とした
ヒロインに据えたオフのミュージカルが・・・
「SAYONARA」!
今更、「サヨナラ」って、
いくらなんでも
そんなベタなーって、
せめて
「オモテナシー」くらいにすりゃいーのに、と
『?』なそこのあーた。
実は本作品、半世紀以上も前の、
小説家ジェームズ・ミッチェナーの原作本を元に
1987年に制作されたミュージカル。
(1954年にはマーロン・ブランド主演で映画化もされとる。)
ストーリーは・・・・
舞台は、朝鮮戦争後の神戸。
関西の米軍基地に属するグルーバー少佐は
同僚の誘いで宝塚歌劇団のレビューを観劇。
グルーバー少佐は、その舞台で見た
男役を演じるハナオギに一目惚れ。
彼女に振り向いてもらおうとモーレツ・アタック。
しかし、戦争で親を亡くしたハナオギは、
アメリカ人に対して嫌悪感を抱いている。
嬉しいじゃありませんか!
白人中心のブロードウェイ界の中で
日本が題材で
アジア人中心のキャスティング。
応援するに決まってんじゃん!
が、しかし
日本が世界に誇る
豪華絢爛のショーを魅せることを旨とする
宝塚歌劇団のはずなのに
なんかしょぼい。
低予算のオフ・ブロードウェイであるのはわかるが
もっと工夫できなかったのか!!
例えば・・・
◎舞台装置
創造性に欠けたハリボテ風
◎衣装もねぇ・・・
この観劇の前日に
たまたまリンカーン・センター・フェスティバルの
中国バレエ団の豪華絢爛な衣装を
見たから余計かもしれんが
衣装の安っぽさにガッカリ!
浴衣に毛の生えたってくらいのペラッペラ?
そこはかとなく漂うのは、防虫剤タンスのゴンの匂い・・
さらに、 そのペラペラ着物の着付けが不自然。
なんだかだらしなく見えるのさ!
日本和装の着付教室に通って、
凛とした着物の着付けをお勉強して頂きたい。
欠点ばかり連呼したけど
目を見張ったところも!!
それは、
てる子役のAKOサマ。
この方、すみれのはーな咲く頃の
元宝塚歌劇団の夏海陽子さん。
さすがに、お着物姿は絶品。
所作はまさに
2億4千万の瞳エキゾチック・ジャパンby Hiromi Go
体型も美しく背筋も伸びてて、
まるで、人形の久月の日本人形のよう!
凛として熟年の日本女性の粋を見せてくれた!
ああ、でもやっぱり
ティサ・チェンの演出は
脚本の表をなぞっただけ。
人物像の描写が浅い脚本と
工夫のなさが痛々しい演出。
おそらく、宝塚歌劇団の勉強もしてねぇーな!
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結局なんの盛り上がりも興奮もないまま劇は終了。
残念ながら、
舞台の神様は降臨されませんでした。
公演は7月26日までの予定だが、
その前にサヨナラにならないことを祈ります。
トシカプ評:★
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
Clurman Theatre @ Theatre Row
410 West 42nd Street
New York, New York 10036
トシ・カプチーノ様
さよならを取り上げて頂いてありがとうございました。舞台に携わった者として一筆。
衣裳はお察しのとおり低予算でたんすの中から出てきたというのはぬぐえないし、もっと華やかにというのも当然のことと思います。が7枚同じ着物を用意するというのは至難の業だったというのを理解して頂きたい。着せ付けがだらしなく見えたというのも、悲しいかな全部同感です。
ニューヨークの舞台での着物というのは全くもって話しになっていなくて、着物はおはしょりがあって着る、衿あわせと着物のあわせが1枚づつ別というの基本ですら無視されているのがほとんどです。そこのところをきちんとしたかった。1分たらずの着物早換えをいかにしてやるか。それなりに工夫したつもりです。女優さんの殆どが着物を着たことがなくその人達にどのくらい分かってもらえるか。2週間のリハーサルで着せ付けを身につけてもらうのはたいへんです。
次の機会があるかどうかはわかりませんが何処までつき進められるか・・チャレンジです。
トシさんのブログを読んでいる中にはこちらでがんばっている役者さんが沢山いると思います。ぜひその彼らに言ってください。
どうか自分で曲がりなりにも着物が着れる様になってください。あこさんのように凛々しい着物姿が見せられますよう・・・