舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
以前にも書いたが、
私にとって日々の食事の支度は、
家事労働と言うよりは、
一種の心のセラピーのようなもの。
様々な素材を調理して、
「美味しい」を生み出す、創造的プロセス。
仕事で煮詰まった時でも、
心を込めて料理をしていると、
気分をリセットできる。
(桐島洋子様を敬愛しております)
何よりも、
相方の「おいしーい!」と日本語で言う笑顔は、
ああ、カタルシスゥ〜!
そんな毎日のおさんどんは
「買い出し」から始まる訳だが、
食材の質を見極め、
値踏みしながら
献立を組み立てて行く
スリリングな一時。
そんな私に取っての
食のワンダーランドと言えば、
チューカガイなのだぁー!
中華街って
めったに足を踏み入れない人や、
せいぜい週末の飲茶、またはジョーズ上海の小龍包
目的で行くぐらい、って人が多いのではないだろーか。
しかし一部には、
私の様にアジアの食材を
エキゾチックなお値段で入手すべく、
日々中華街のディープな路地裏に潜入っていう猛者、
楊婦人(マダムヤ〜ン)・・・笑。
今週は、ブロードウェイ情報をお休みして
星の数程ある食料品店のなかから、
NY在住20年のグルマンが厳選したお店を紹介しまーす。
準備はよろしくてー!
まずは、お魚屋さん
築地を始めとする、
世界に冠たる魚市場の発達した日本の安くて新鮮な魚介類が、
簡単に手に入る日本の状況にくらべると、
NYの魚屋さんがどーしてもしょぼく見えてしまうー。
また、キレイ好きな日本人の魚屋は衛生面も行き届いているが
NYのチャイナタウンの鮮魚店はというと
生臭かったり、清掃が行き届いてなかったりってのが現状 。
お刺身用としては、ちょっと・・で
魚介類を買っても、焼くが煮るか、
どちらかでよーく火を通してからしか食べれない!
そこでお薦めするのが、永利海鮮公司 YUNG LEE FOOD MARKET
まず、この店、臭わない!
というか、衛生面に気を配った日本の魚屋さんの香りが〜
お魚の扱いも丁寧なのだ。
写真を御覧遊ばせ。
陳列にも気配りが!
魚の頭が同じ方向を向いているいっしょ。
店頭にはないが、日本人の大好きなマグロも
家庭用を真空パック入れて小売りしてくれる(たまに売り切れていることあり)
もちろん、価格は適正価格
店員さんの接客態度もいいぞ!
気難しいニッポン・スタンダードに限りなく近いお店はココ!
お肉屋さん
主夫の私は、肉の種類によって店を変えている。
ステーキはやっぱステーキ王国米国の大手ホールフーズ。
チキンはミッドタウンのブッチャーショップが安いから、ソコで。
焼肉、スキヤキ用、薄切り豚は包丁のテクが素材に求められる場合は
日本人経営のジャパニーズ・プレミア・ビーフ。
そして、豚ひき肉は、
チャイナタウンの兆昌肉食公司 Mulberry Meat Marcket Inc.で購入する。
何故って・・・・・
断然安いから!
ここでは、1パウンド(500グラム)が1ドル89セント(190円)
スーパーなどで買うと4ドルくらい(400円)からがザラ。
一度に10パウンド(5キロ)買う主夫にしたら、その差はデカいのだ。
嬉しいのが、徹底した衛生面。
肉の加工の様子を客に全部見せるオープン巨大まな板が店先にドーンと!
仕事が非常に丁寧で清潔、働いている男性店員も常に笑顔で愛想がいい。
他の店のようにお客様が購入した物を投げたりしね、っっw
安さとサービスは大切だが、
食の安全にうるさい日本人とって必要なのは店の衛生管理。
兆昌肉食公司は、すべてに徹底してしている一押し店!
ご家族、お友達と餃子パーティするときの豚ひき肉と餃子の皮はココ!
パン屋さん
日本のデパートの地下食料品売り場には
有名パティシエが丹誠込めてつくった
バラエティ豊かなスイーツが各種を集結。
「いらっしゃいませー」という大合唱で攻めまる
日本のデパ地下ってある意味、一大エンターテイメント・・・・!
そんな究極を知っている旅行者の皆さんに
チャイナタウンのスイーツを満足してはいただけないかもしれないが、
日本人好みのスイーツが安価で食べれるお菓子のユートピアが、龍門餅家。
日本のテパ地下レベルにゃほど遠いが
ここはここなりにウマさがあるだぜー!
たとえば、胡麻団子(80セント)
胡麻たっぷりマブされた表面はパリパリ。
出来立てのお餅ぱっくりすると、中からが練りあんサンがコニャニャチワ!
お口の中で胡麻の香ばしさが弾け、モチモチの食感とあん子が絶妙のハーモニーを醸し出すさー!
私の大好物のエッグカスタードタルト(80セント)。
クッキーとパイの中間のようなサクっとしたタルトの生地の上に
ほどよい甘さのとろーりカスタードクリームがたっぷり。
ほっぺた落っこちるー!
他にはトースト用の食パン、誕生日用のバースディケーキ、クッキー各種、
煎れたてのコーヒーも飲めるだぜー。
スタバと比べるとすべて安ーい。
飲茶のあとのデザートはココ!
いかがでした、料理のカリスマ、マーサことトシ・カプのチャイナタウン・レポ。
今回紹介した3店舗は偶然にもマルベリー・ストリート沿いのお隣さん同士!
これらの店に共通していることは、接客態度の良さと店内の清潔さと価格の安さ
つまり、美味しく商売繁盛している店は、上記3原則が常に守られているわけさ!
変な話、
ここだったら
20ドル握りしめて行けば、
山のような食料品が購入でき、
ゴージャスな満干全席が一週間は楽しめますぜー!
庶民の台所、チューカガイ万歳!
経済、ファッション、そして世界の食の中心NYなんて言われているが、
ことグルメに関して、ニッポン人としては、
内心「まだまだ・・・」とお思いの方もおられるのでは?
確かに大枚はたいて高級レストランに行けば、
トップレベルのシェフ達が、しのぎを削っているから
納得のいく山海珍味を楽しめる。
でもB級グルメにかんしては、
まだまだ日本の足下にも及ばないのではないかしらん!?
毎日の食事について言えば、ファストフードを含めて、
日本はレベル高いしねー。
なので私は、日々おさんどんに血道をあげているのであーる。
うまいが一番!
自宅が一番!
トシカプ食堂サイコー!
そんな中、New Yorkマガジンに、
評判のベトナム料理店があるとの記事をみつけ、
箸休めってな事で、例のごとく韋駄天走りで行ってみたのさー。
今更ブログでグルメレポートォ? なんて言われそうだけど、
それはホラ、食材を演劇人に、料理店を舞台になぞらえれば、
レストランとて、目と舌で味わうミュージカルゥ〜、
なんてね、なんてね、キャッ!
場所は、ブルックリンとクイーンズの境目
地下鉄だとL train Grand St. Station で下車
そこから徒歩15分から20分という超へんぴなところにある
この七面倒臭さが、後々食事にありついた時の、
ありがたさ&旨さ倍増ってことなのォ??
駅から数分歩くと、すでに工場が軒を連ね
デリ系の店舗は一軒もナシ。
人とすれ違うことも全くナシ
日が暮れたら、ちと危なそうな地区!
レストランは工場街の真ん中にポツーンと・・
砂漠の中のオアシスって事なのね?そうなのね??
店名はバンカー。
元ベンダー屋台をやっていた方がオーナー
我々が店に到着したのが、午後5時半ごろ。
すでに店は満席!
しかし、夕食のピーク前だったため
15分待ちでテーブルにありつく。
客層の中心は、知的でファッショナブルな中流階級の白人層
不便な場所ということもあり、車で来ている人が多い
ウェイターは全員アジア系の男子。
中にひとり、色黒小柄のマッチョ系が・・・ちょっとドキドキ
美男ギャルソンで三割方美味しさアップかも。
グルタミン酸並みのウマミ成分って感じィ〜?
とても温かくてフレンドリー!
だいたい、美味しくて評判の店で働く
ウエイター、ウエイトレスは感じがいいのが常!
メニューは、通常にものとスペシャルの二種
我々は、ニューヨーク・マガジンのフードレポーターおすすめ品をオーダー
蟹の春巻4本 8ドル50セント
血糖値が上がりやすい食べ物、うまいよねー!
カラダに悪いとわかっちゃいるが、
前菜としてオーダーしたのがコレ!
アツアツのぶっといソレをお口いっぱいに頬張ればサックサック
中からは蟹の身がタップリ。
揚げ物スキにはたまらない一品。
ルービーが進みますwww
サイゴンスペシャル・サンドイッチ(ハム、ソーセージ、ベーコン、ポークパテ)8ドル50セント
トローッとした自家製ソースと具の相性は抜群。
難点はパンの安っぽさと、屋台レベルの盛りつけ
ソレさえクリアすれば、
料理のカリスマ、マーサ・スチュアートも驚きの一品
パタヤサラダ 9ドル50セント
たっぷりパパイヤの千切りと
酸っぱめのドレッシングの相性が絶妙
野菜不足のカラダが喜びーの反応だー!
食卓に野菜は不可欠。
ココはココでこういう味、ウマい。
スペシャルから、巻貝のココナッツ風味 13ドル50セント
グミグミした食感のフレッシュな巻貝と
白いココナッツソースというユニークな組み合わせ?
そのソース、ごはんにかけたらバカうま!
酒のつまみにも抜群。
白ワインが益々進みますっっw
メキシカン海老のソテー、御飯付き 17ドル50セント
メインデッシュは、
こってり甘辛ソースにからめた
逞しいぶってぇ海老♡
子供のころ、海老といえば
お正月にしか食べれなかった高級食材
そんな贅沢品を食べていいものかーと思いつつパックリ。
ぶりっぷりっの海老が口の中で踊る踊る
ウマいものを享受できる至福の時間に感謝感激雨霰。
お食事代は、締めて75ドル(税金チップ含)
午後6時30分、店を出ると長ーい行列が・・・
レストラン・ビジネスに火がつくって、
こういうことなのですねー!(水野晴雄風)
総評
言うまでもなく、この店の成功の要因はメディアに高評価が掲載されたこと
またそれが口コミで広がったことも上げられる!
しかしながら、それ以上に人の心を虜にしたのは・・・・・
◎料理人の愛も感じられるウマい料理
◎温かいサービス精神
◎コストパフォーマンス
儲け主義に走りがちなレストランが
忘れかけている客商売の基本を
真っ当した結果だぜー。
ま、その基本が一番難しいのだけど・・・(レストラン経験者は語る、笑)
ちと不便だが、近いうち、また行きたい店じゃねー!
トイレは、すごーくキレイでした!
(ココ重要)