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トシ・カプチーノ

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ToshiHeadShot_2014.jpegのサムネイル画像舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。



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ミュージカル「On the Twentieth Century」(20世紀号に乗って)。

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クリスティン・チェノウスって女優。

 

小柄で超器用な彼女。

 

 

 

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まるで山椒ように

 

小粒でピリリと辛い、

 

を地で行く様に、

 

躍動感に溢れるエネルギーに満ちている。

 

そんな彼女が

 

5年ぶりに

 

ブロードウェイに戻って来た。

 

 

それが・・・・

 

 

 

「On the Twentieth Century」(20世紀号に乗って)。

 

 

 

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舞台は・・

 

1932年、シカゴからニューヨークに向かう特急列車20世紀号。 

 

 

特急列車だなんて、

それが今のアムトラックのしょっぱさからは

想像を絶するような高級列車なのさー。 

 

 

IACE さんやアムネットさん

 

簡単予約の日本航空のファーストクラスすら

 

青ざめてしまうような豪奢な内装や、

 

粋に着飾った乗客達を観るだけでも、

 

クラシカルなものがお好きな方には

 

満足いただけるとおもうよー。 

 

 

 

 

ストーリー 

 

落ち目のプロデューサー兼演出家オスカーが

再起をかけて企画したブロードウェイショーに、

元恋人であり、映画スターである

リリー・ガーランドの起用しようと企む。

 

与えられた時間は16時間。

列車がシカゴからニューヨークの

グランド・セントラル駅に到着するまで、

オスカーはリリーにショーの契約書にサインをさせ、

彼女と、よりを戻そうと七転八倒するのだが・・・ 

 

 

 

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ちょっと専門的に蘊蓄コーナー(トリビアを披瀝したい人だけどうぞ)

 

 

昨今のブロードウェイでは

10年に一度くらいの割合で

昔のミュージカルがリサイクルされている中

本作は、なんと40年ぶり

 

 

 

脚本を手掛けたのは、

ベティー・カムデンとアドルフ・グリーンってコンビ。

すでにお亡くなりになっている

お二人が共同制作したものには

 

 

「オン・ザ・タウン」

 

「ピーターパン」

 

「ワンダフル・タウン」などなど

 

 

ブロードウェイ・ミュージカルの第二次黄金期の

頂点をきわめた、すごーい方々なのよー!

 

 

本作でも、ミュージカルにドンピシャの

ショービジネスねたで

蘊蓄なしに魅せて大爆笑させてくれるんよ!

 

 

 

脚本の流れとマッチしたオペラチックな音楽で

全曲を書き上げたのはサイ・コールマンというお方!

「オペラ座の怪人」のアンドリュー・ロイド・ウェーバーと比べると

 

地味・・・

 

しかーし、

 

30年以上ミュージカル音楽を作り続け

ブロードウェイ演劇界を支えた重要人物なのじゃ。

 

 

 

見どころは・・・

 

 

◎ずば抜けたキャスティングの良さ

 

 ブロードウェイの役者の質の高さは、 

 いまさら言うまでもないが

 本作の場合、文句の付けようがない!

 

 

 主役に寄り添う名脇役の存在で

 スターを一層引き立てたり、

 作品をギュッと引き締めたり、

 下手すりゃ後々まで色褪せぬ余韻を残して

 主役を食っちゃったり・・・・

 

 

 

 

 

特に目が離せないのは

 

精神病院の脱走者の老婦人レティシアを演じた

メアリー・ルイズ・ウィルソンというベテラン女優。

 

笑いのツボを心得た台詞の間。

おばあちゃんの典型的な所作も絶妙!

 

 

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もうお一方

主人公リリーの恋のどれい、

ブルースに扮したアンディ・カール。 

昨シーズン、ブロードウェイで初演された

超話題作 ミュージカル「ロッキー」で

タイトルロールを演じた男だ!  

 

 

吉本新喜劇のノリで、滑ってこける!

脳みそ空っぽのマッチョぶりが偉い板つき! 

彼って助演で光る役者なんかも!?

 

 

 

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そんな名脇役を従えて 

舞台で彗星のごとく光り輝き 

名演技が見せるのが、 

クリスティン・チェノウスと

ピーター・ギャラガーのお二人。

 

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大袈裟な演技になりがちな

コメディを

軽妙に

コミカルに、

場の空気を感じながら、

また、先を読みながら

超パワフルに・・・・

また、チェノウスさまとギャラガーさまの

丁々発止のやりとりは名人芸!

 

 

予定調和な筋立てだけど、

 

スピーディな演出&名演

 

プラス楽しい楽曲に乗っちゃうと

 

ある意味とても心地よい。

 

安心して観ていられるってわけなのよ。

 

全体のレベルの高さと

 

バランスの良さが本作の強みだぁーね。

 

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「旧き良き紐育」とか

「ブロードウェイの黄金時代」

なんて宣伝文句に

 

ビックンビックン、

ビュビュビュビュビューンって

感応してしまう

そこのアータは

お気に召すハズよ。

 

 

 

さて、本作を日本で上演するとしたら 

主役のリリー・ガーランド役には、

並外れた度胸を買って    

 

ええかげんいせいやー

 

人の車当てたらどんするんや 

 

ゴラァァァァァァァ!!の

 

お品のよろしい

 

秘書をお持ちの

 

 

 

浪速のエリカ様

 

 

 

人生訓とメイクをしっかり勉強して登場頂きましょう!

 

 

上演は7月5日までの限定    

 

 

ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、                

人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。            

 

 

トシカプ評:★★★      

 

 

American Airlines Theatre 

227 West 42nd Street 

New York, New York 10036

 



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April 10, 2015 4:29 PMComment(0)



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