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トシ・カプチーノ

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ToshiHeadShot_2014.jpegのサムネイル画像舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。



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「GIGI」〜ジジったって、 爺さんが歌い舞い踊るミュージカルじゃないの! 

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今年も来ましたよ、トニー賞シーズンが!

(賞のセレモニーは6月7日)  

 

このシーズン中、

ここ数年ですっかり定着した

4月の新作ミュージカルラッシュ。 

 

この傾向。個人的にはあまり歓迎できないのよー。

というのも、4月はほぼ毎日観劇一色。 

あー、忙しいったらありゃしない。  

 

そりゃ確かに大好きなブロードウェイでの観劇三昧に

文句を言うなんて 何様?と非難されるかもしれない・・

 

でもさー、

いくら美味豪華ディナーだって

それが連日連夜となりゃー

少々食傷気味になるというものじゃない!?

 

 

それにしても、なぜ4月に開幕が集中するかというと・・ 

チケットの売り上げと トニー賞を取ることしか考えていない

どん欲なプロデューサーたちが、 

トニー賞ノミネート締切(4月23日)

ギリギリ前にショーを開幕させることで、 

少しでも賞レースが有利に運ぶようにという目論みからなのさ。  

 

 

まー私から言わせたら、

そんなことしたって

すべてはショーの出来不出来で決まるわけで 

そこがダメなら開幕時期なんて関係ねーし、フフ。   

 

 

さて、そんな朝の山手線みたよな

ラッシュの4月に開幕した一本が・・   

 

 

 

リバイバル・ミュージカル    「ジジ」 

 

 

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ジジったって、

爺さん達が歌い舞い踊る

ミュージカルじゃないのよ。   

 

 

 

ストーリーは・・・・  舞台は19世紀のおパリ。

おてんば娘のジジが

祖母やおばさんに教育されて、

気品ある大人の女性になっていく姿を描く。

 

 

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これって・・・聞いたことのあるストーリーよね!?  

そう、ヒギンズ教授によって優雅に変身して社交デビューする

すっぱ少女の物語 「マイ・フィア・レディ」の二番煎じ。 

 

それに材を取った映画「プリティ・ウーマン」なんてのもあったっけ・・・。 

 

 

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脚本を手掛けたのは・・・アラン・ジェイ・ラーナーと言う人

 

「マイ・フィア・レディ」も「パリのアメリカ人」も彼なのね・・・!  

 

ところでこの再演版の脚本だが  

裏を返せば、大金持ちの愛人になるための作法を 

ジジに教え込むという物語

でも今回それをゆるーくしてねぇかぁ?!   

 

たとえば、  

 

ジジの年齢 15歳 → 18歳  

 

愛人ガストンの年齢 40歳 → 20歳  

 

結婚の申し込み方 祖母を通して申し込み → 直接本人に    

 

 

これは、子供たちへの悪影響だの 

女性の人権だの 

ポリティカルコレクトネスを考慮しての

脚本の設定変更なんだろうか? 

 

これじゃー、面白い部分を全部削ってしまった感あり! 

もともとが、が自分の欲望のために

いたいけな少女を作り替えちゃう、

なんていう不埒な設定なんだし、

そーゆーヤバイ部分を小手先でごまかしたって、

わさび抜きの握りみたいになっちゃうだけよー。   

 

 

カネカネカネのこの時代だもの・・ 

 

 

逆に、お金のために手段を選ばない

マテリアル・ガールなジジ

スキャンダラスかつエネルギッシュ

赤裸々に 描いた方が絶対におもろかっただろうに・・と私は思うのだ。 

 

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さてさて、

 

この21世紀版「ジジ」の タイトルロールに任命されたのは・・・     

 

 

ヴァネッサ・ハジェンズ

 

 

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ディズニー・チャンネルの「ハイスクール・ミュージカル」で、 

一躍時の人となった女優、歌手、アイドルらしい・・・  

 

確実に、話題性と彼女の人気(人寄せパンダ)に肖っちゃおうと言う 

プロデューサーのご判断での大抜擢だったのでしょうがーーー。 

 

 

お手並み拝見つーことで・・・

 

 

 

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見かけは、確かにカワイイ! 

一時期売れた沖縄出身のタレント早坂好恵にクリソツ!

 

 

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そんな彼女、テレビ・タレントとしてはいいかもしれんが、 

舞台役者として、しかも主演させるのは時期尚早。  

 

とてもハマり役とは言い難く、 

味の染みてない煮物というか、 

役の核心を全く掴めないまま

見切り発車した感ありあり!

 

 

 

まさか・・

 

 

舞台をこなしながら役作りをするつもりだった? 

 

 

客は練習台かぁー!!

 

 

歌もねぇーーー 

 

カラオケ屋の常連レベルじゃだめだめ。

  

 

ヴァネッサ・ハジェンズ効果を期待していた 

プロデューサーの夢は泡と消えたようね・・

 

 

キツいこというようだけど

滑らないように 

こけないように 

リスクのないように   

 

そんな楽チンして 

傑作を産もうなんて 

虫がよすぎるのよね。

 

 

短命に終わることは

間違いないので、 

金持ちの愛人のなり方を

お勉強したい方のみ、劇場へ急げ!!     

 

 

 

もし、日本で本作を上演するのなら・・・ 

主役のジジには、

離婚後、大リーガーのダルビッシュ選手に 

莫大な養育費を要求したと噂されている

 

 

紗栄子さま。

 

 

なんてね、あたしゃー井上公造か?     

 

 

ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、                  

人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。                     

 

 

トシカプ評:★★    

 

Neil Simon Theatre 

250 West 52nd Street 

New York, New York 10019



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April 21, 2015 10:41 AMComment(0)



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