数ヶ月前まで蜜月関係にありながら、最近はトランプ大統領に対する否定的な態度姿勢が目立つイーロン・マスク氏ですが、先週末、新たな政党を結成したすると発表して話題になりました。AP通信が、過去の例とあわせてマスク氏の新党が実現した場合に与える影響を解説しています。
先週、トランプ大統領が成立させた大型減税法案を繰り返し批判するなど、最近は大統領との対立が目立つイーロン・マスク氏。 5日土曜日には、新しい政党「アメリカ党」が結成されたと発表しました。マスク氏は、自身のSNSでのアンケートでは、2対1の割合で新党立ち上げを望む人が多かった、と説明。「私たちは民主主義ではなく一党独裁制の中に生きている」として、「みなさんの自由を取り戻すため新党が結成された」と投稿しています。
AP通信記者
「アメリカの政治史において、第3政党がどれほど成功を収めてきたのでしょう?大まかに言えば、第3政党は多くの選挙に勝つわけではありませんが、二大政党に影響を与えています。いわば「票割れ効果」です」
マスク氏の新党結成のニュースでにわかに脚光を浴びているのがロス・ペロー氏です。マスク氏と同様、富豪で、二大政党に対抗して1990年代に2度、無所属で大統領選に出馬したペロー氏は、1992年の大統領選で 1人の選挙人も獲得することはできなかったものの、その得票率が選挙結果に大きな影響を与えたと考えられています。
AP通信記者
「ペロー氏は92年に約20%の票を獲得し、それが民主党のクリントン氏の選挙人獲得に役立ちました。共和党現職のブッシュ氏を破るため、そうでなければ勝てなかったかもしれないいくつかの州でクリントン氏は選挙人を獲得できたのです」
ブッシュ氏に入るはずの保守派の票がペロー氏に流れたことが、クリントン氏の勝利に繋がったと見られていて、マスク氏の新党が実現した場合、共和党に入るはずの保守派の票を取り込むペロー氏のような存在になる可能性を指摘する声がでています。
AP通信記者
「共和党と民主党が一致している点は、第三政党の候補者の参加を制限したいということです。第三政党の候補者が討論会の舞台に立つのはとても難しく、ペロー氏は、第三政党の大統領候補として出た最後の人物です。 」
マスク氏は、新党を通じて来年の中間選挙に影響を与えたいとの考えを示していますが、アメリカで存在感のある政党を新たに作るのは非常に複雑で困難と言われています。 また、マスク氏がどこまで本気なのか懐疑的な目で見る人も多く、現時点では、トランプ大統領との間に入った亀裂が原因の新たな展開、との受け止められ方にとどまっています。