政権交代当日には、大統領の権限である「恩赦」での争いも繰り広げられました。バイデン前大統領はホワイトハウスを出る直前に家族やトランプ氏に異議を唱えた政府関係者を恩赦。一方で、トランプ大統領は議会襲撃事件に関連した人たち全員、およそ1600人に、恩赦を与えました。
トランプ大統領が就任直後、2021年1月6日の議会襲撃事件で暴徒化し訴追されたおよそ1600人全員を恩赦しました。
トランプ大統領「これが1月6日の人質たちの分だ」
警察官に対する暴行などで刑務所に服役していた人たちも順次釈放されます。
ジェイ・オブライエンABCニュース記者「トランプ大統領は全員を恩赦しました1月6日の事件に関連する1500人を超える人たちです。警察官に対する暴行など凶悪犯罪で訴追された500人超も含んでいます」
1月6日の暴動に参加したジュリアン・カター元受刑者は警備をしていた警察官ブライアン・シクニックさんに対し化学薬品のスプレーを噴射し、暴行を加えた罪で有罪判決を受けました。シクニックさんはその翌日2度の脳卒中をひき起こし死亡しました。
シクニックさんの遺族は恩赦について「良識に対する裏切り行為」で「人としての器がない」と批判しています。議会襲撃事件の群衆の呼びかけを行ったとされる親トランプグループのリーダーも18年の懲役刑を減刑、釈放されました。FNNワシントン支局の取材でこのローズ氏に直接インタビューしました。
スチュワート・ローズ氏「トランプ大統領のおかげだよ。彼がいなければこんな事は起こり得なかった。今後はMAGAのために戦いを続けたい。そして前政権の嘘を暴いて法律で罰したい」
トランプ大統領の恩赦に対して、同じ共和党議員からも驚きの声が上がりました。
トム・ティリス上院議員(共和党、ノースカロライナ州)
「一斉恩赦とは驚きました」
ロン・ジョンソン上院議員(共和党、ウィスコンシン州)
「私は暴力行為者を恩赦したくありませんが、あれは本当に不当な裁判でした。」
一方、去年12月に、銃の不法購入などで有罪評決を受けた息子、ハンター・バイデン氏の恩赦に署名し非難を浴びたバイデン前大統領は、退任直前に、トランプ氏が報復する可能性がある人たちに予防的恩赦を出しました。元下院議員のリズ・チェイニー氏ら議会襲撃事件におけるトランプ氏の責任を捜査した1月6日委員会のメンバー全員。トランプ前政権にいながらにしてトランプ氏と対立した前国立アレルギー感染症研究所所長アンソニー・ファウチ氏など。そして弟のジェームズ・バイデン氏とその妻など家族5人にも予防的恩赦を与えました。
恩赦とは通常、容疑をかけられ起訴された罪に対して行われるものですが
今回バイデン氏が出したのは予防的恩赦。これは罪に対する訴追や起訴、また、捜査もまだはじまっていない人に与えるものでこの予防的恩赦が、今後の大統領の常識となり乱用される危険もあると指摘する専門家もいます。