トランプ大統領が、正式に大統領の執務を始めて10日が過ぎました。大統領選挙中から公約の柱の一つに掲げてきた不法移民対策に関して、連邦捜査当局が大量の移民らを逮捕・拘束。各国への強制送還が開始されています。
全米各地で、政府の捜査官らによる不法移民のあぶり出し捜査が行われています。捜査は、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなど大都市の移民コミュニティーを標的に行われ、26日、日曜日の1日だけで、全国で1,000人近くの逮捕者が報告されました。捜査当局では、逮捕者の数はさらに増えるとしています。トランプ大統領に指名された国境警備司令官が、この一斉捜査を指揮しています。
コロラド州デンバーでは、捜査官らが、あるナイトクラブに強制捜査に入り、およそ50人を拘束してバスで連行。DEA・麻薬取締局によると、逮捕者はベネズエラの暴力的なギャング団との関係があったとされています。
一斉捜査は、連邦政府の捜査機関である、ICE・移民関税執行局や、HSI・国土安全保障省捜査局、DEA・麻薬捜査局などの合同捜査で地元警察などを指揮し24時間体制で捜査を行ったということです。
ギャレット・リパ・ICE・移民関税執行局指揮官
「より強固な態勢が敷かれています。逮捕者はまだ増えます。もちろん移民法で定められている捜査で、今回は大規模に作戦を展開しています」
司令官は、現在は犯罪を行った不法移民をターゲットにしているが、それ以外の不法移民も対象となる可能性はあるとしています。
ABCニュース記者「書類のない不法滞在者は対象から外れているのですか?」
ギャレット・リパ・ICE・移民関税執行局指揮官
「必ずしも対象から外れてはいません。ケースバイケースで、犯罪者かどうかにかかわらず、逮捕する必要があれば裁量で判断します。すべての不法居住者に対して法執行します」
ABCニュース記者
「次の段階はどのようなものになるでしょうか?」
ギャレット・リパ・ICE・移民関税執行局指揮官
「重犯罪者の不法移民を見つけ逮捕する事が先決ですが、その次は犯罪歴のない退去命令を受けた不法居住者が対象になります。不法移民問題の最終目標に向かうという事です」
すでにアメリカで税金を支払いながら居住する不法移民らは、恐怖を感じています。
アンドレ・セイエ市長(民主党、ニュージャージー州パターソン市)
「私たちは恐怖に対処しなければなりません。仕事に行くのを恐れたり、学校に行くのを恐れる子供がいるべきではありません」
米軍の軍用機を使って南米の数カ国に向け、移民の送還が始まっています。週末、コロンビア政府は移民を乗せた米軍機2機の着陸を拒否しましたが、これに対してトランプ大統領はコロンビアの輸入品に高関税を課すと警告。コロンビア大統領は、アメリカ製品に対抗関税を課すと語りましたが、間もなくコロンビア政府はこれを撤回し、強制送還機の受け入れに同意しました。
ドナルド・トランプ大統領
「我々はすべての国に対し、移民を帰国させると明言した。もし帰国させなければ、高い経済的代償を払うことになる」
メキシコ国境の南、メキシコ側では、巨大なテントが増設されていて、大量のアメリカから追放された移民らの一時的なシェルターと見られています。
トランプ大統領は、この大量の移民強制送還に加え、「凶悪な外国人犯罪者」を、国際政治犯やテロリストなどを収容する、キューバのグアンタナモ拘置所に送る計画も発表しています。