トランプ政権は先月、ハーバード大学へのおよそ90億ドルの助成金や契約を見直すと発表。継続の条件として、反ユダヤ主義への取り締まり強化や多様性プログラムの停止など学校運営の改革を求めました。これに対して、ハーバード大学は、一連の要求は連邦政府の権限を超えているとして拒否すると表明。多くの大学が政府助成金継続のための条件を提示されてきましたが、抵抗の意思を示したのはハーバード大学が初めてです。この発表を受けて、教育省は助成金を凍結しました。
トランプ大統領は1月の就任以降反ユダヤ主義的な活動への取り締まり強化や多様性への取り組みの中止を推し進めるため、リベラルな大学をターゲットに、政府による助成金の継続条件を提示してきました。ハーバード大学に対しても、先月政府からの助成金や契約およそ90億ドル(1兆3000億円)を維持するための条件として :
・教員の多様性への見解調査と採用に関するデータ共有
・「実力主義」による入学選考の導入とデータ共有
・多様性、公平性に関するプログラムの停止
・政権の審査による反ユダヤ主義的なプログラムの見直しなどが
含まれていると、メディアは報じています。
これに対して アラン・ガーバー学長は14日(月曜日)、大学は反ユダヤ主義への対策に力を尽くしている、と強調した上で「どの政党が政権を担っていても、私立大学が何を教え、誰を入学させ、雇用し、どのような分野の研究をするのか(政府が)介入するべきではない」、大学が「独立性を放棄することはない」とし、政権からの要求を拒否することを表明しました。
ハーバード大学では、政権による要求が発表されてから800人以上の教員が、民主主義に反する政権の攻撃に対して抵抗するよう求める嘆願書を大学側に提出していました。
ハーバード大学の発表を受けて教育省はおよそ23億ドル(約3300億円)の助成金や契約を凍結すると発表しました。トランプ大統領はハーバード大学に対して教育機関としての免税資格を取り消し、政治団体として課税する可能性を示唆しています。
一方、ハーバード大学出身のオバマ元大統領はソーシャルメディアに、「学問の自由を抑圧しようとする違法で不当な試み」に抵抗の意思を示した大学を称賛。「他の大学もこれに続くことを期待しよう」と投稿しました。
ハーバード大学の発表を受けてこれまでトランプ政権の要求に譲歩する姿勢を見せ
非難されていたコロンビア大学も政府に「大学の自主性と独立性を脅かすような要求はさせない」と強気のメッセージを出しました。今後は法廷闘争になると見られていますがそれには時間がかかり2つの大学が助成金なしにどこまで持ち堪えられるか心配されています。