トランプ大統領は就任当日、「出生地主義」アメリカで生まれたすべての子供に自動的に国籍を与える権利を制限する大統領令に署名しました。これに対し、地方裁判所、控訴裁判所で次々と違憲とされ先週、連邦最高裁での口頭弁論が行われました。
アメリカの「出生地主義」は、アメリカで生まれたほぼ全ての子供に対し国籍を付与することが
憲法修正第14条で規約されています。
それに対し、トランプ大統領が署名した大統領令ではいずれかの親がアメリカ国籍、または永住権を取得したものでないかぎり「出生地主義」は値しないとしました。すなわち、不法移民の両親を持つ子供、そして一定期間合法的に滞在することを可能にするビザで入国している両親の子供にも
アメリカ国籍は付与されないことになります。
これに対し人権団体と22の州が訴訟を起こしメリーランド州、マサチューセッツ州、そしてワシントン州の3つの連邦地方裁判所がこれを違憲として全米での 差し止め命令を出しました。
政権側は出生地主義と同時に全米にしかれた差し止め命令を不服とし、最高裁に対し緊急上訴しました。
最高裁での口頭弁論では政府が憲法に反する政策を大統領令で打ち出した場合それを覆すために、その都度、子供が生まれるたびに裁判を起こすことになるのでは?との判事の問いに対し政権側は「集団訴訟」もあると答え、現実的ではないことを伺わせました。
また、州ごとに制度が異なる場合、ある州ではアメリカ人とみなされ、別の州では不法移民になりかねない事態となり政権がその解決策を見いだせていないことから最高裁がどう結論をだすのかわからない事態となりました。
日本からアメリカに赴任している家族に影響する可能性があるこの大統領令ですが今後も裁判で勝てる見込みはなく法廷闘争中だけでも発動させ連邦地裁の権限を弱めたい戦略。最高裁の判断によってはトランプ政権と 司法とのあつれきがさらに高まる可能性もあります。 最高裁は6月の終わりか7月の初めには判断を下すものと見られています。