トランプ政権による強引な移民政策。ICE・アメリカ移民・関税執行局による不法滞在者の取り締まりの強化が続き、移民社会から不安や反発の声が上がっています。
3日火曜日、ミネソタ州ミネアポリスのヒスパニック系が多く住む地域で武装した連邦当局と地方当局の捜査官が法執行活動を行いました。地方当局は、不法滞在者の取り締まりではなく刑事事件の捜査だったとしています。しかし、捜査官らがいた交差点には抗議する住民が次々と集まり、緊張が高まりました。逮捕者はでていませんが、少なくとも1人が一時的に拘束されました。
抗議者
「法執行当局が出動をこんなに強行するなら
地域住民との間に対立が生じるのも当たり前です
私たちは彼らを信頼できません」
一方、ウィスコンシン州ミルウォーキーでは移民がニセの証拠で罠にはめられ、国外退去の危機に直面してます。
移民の弁護士
「来週には始めの国外退去の審問に加えて
保釈の審問が行われることを希望しています」
メキシコからの移民モラレス・レイエス氏(54)は先月21日、大統領への脅迫状を書いたとして拘束されました。ICE移民当局やFBI連邦捜査局に送られた脅迫状にはトランプ大統領を集会で射殺すると書かれていました。
先月28日、クリスティ・ノーム国土安全保障長官は自身のソーシャルメディアに「トランプ大統領を暗殺すると脅した不法移民を拘留した」と投稿し、移民当局の活躍を称えました。
しかし、その後の捜査では、レイエス氏の筆跡と脅迫状の筆跡は一致しませんでした。
レイエス氏の弁護士
「彼は皿洗いの仕事をしていて
英語は全く話せないし、書くことも無理です」
3日火曜日、ウィスコンシン州の捜査当局は、デメトリック・スコット容疑者が脅迫状を偽造したと発表しました。2023年にスコット容疑者が起こした暴行事件の被害者であるレイエス氏が、裁判で証言する前にアメリカから国外退去されるよう仕向けたと見られています。
国土安全保障省は、いまだ大統領脅迫に関する情報を公式に訂正していません。レイエス氏は今年始めに、Uビザ・刑事事件の被害者のためのビザを申請していましたが、保留中でした。レイエス氏の拘留は続いています。
マサチューセッツ州ミルフォードでは、先月31日土曜日、バレーボール部の練習に向かっていた18歳の高校生が、移民当局の捜査官に拘束されました。同じ高校の生徒たちは抗議デモを続けています。4日水曜日、家族は移民当局に息子を釈放するよう訴えました。
母親
「息子を返してください
とてもさみしいです
息子の部屋にいます
家に息子がいないのが悲しいです」
拘束されたマルセロ・ゴメス・デ・シルバさんは、7歳の時に観光ビザで入国し、その後学生ビザを取得しましたが、現在、ビザは失効しています。当局によると、マルセロさんが運転していた車の所有者である父親を捜査していたところ、本人が不法滞在だったため、拘束したということです。
2日月曜日、移民当局は取り締まりの強化で、マサチューセッツ州で5月だけでおよそ1500人の不法移民を拘束し、そのほとんどが重大な犯罪歴を持っていると発表しました。しかし、マルセロさんに犯罪歴はありません。
マルセロさんの弁護士
「マルセロさんは、先生方、コーチ、牧師から
素晴らしい推薦状をもらっています
犯罪歴もなくこれまで警察に関わることさえありませんでした」
5日木曜日、マサチューセッツ州の移民裁判所で審問が行われ、判事はマルセロさんが地域社会に危険を及ぼす存在ではないと判断し、保釈金2000ドルでの保釈を認めました。
マルセロ・ゴメス・デ・シルバさん
「父から謙虚にし他の人を優先するように
言われて育ちました
拘留施設で出会った移民たちも保釈されるように
できる限りのことをしたいです」
先月29日木曜日には、アメリカ政府から日本を含む各国大使館・総領事館に対して、米国内における法令の遵守についての注意喚起がありました。ニューヨークの日本国総領事館にも不法入国、不法滞在、その他の法令違反をすると、国外退去処分とされる可能性もあり、その場合、米国への再入国が永久に禁止される可能性もあるということです。出入国や滞在に関してサポートが必要であれば最寄りの領事館に相談するようにしてください。