トランプ政権による移民政策への抗議活動が激化するカリフォルニア州ロサンゼルス近郊で、不法移民の男性が国境警備隊の捜査員によって逮捕される様子を撮影した動画が拡散し、非難の声が上がっています。
これは21日土曜日、ロサンゼルス近郊のサンタアナで撮影され、SNSで拡散された動画です。動画には「国境警備隊」と書かれたベストを着用し、マスクで顔を覆った捜査員たちが数人がかりで男性を地面に押さえつけ、顔などを殴りつけている様子が映されています。
逮捕された男性は、1990年代にメキシコからアメリカに移住した不法移民で、DHS・国土安全保障省は、「不法滞在者が法の執行から逃れようとしたため逮捕した」としています。
逮捕された男性の息子 アレハンドロ・バランコさん
「ただ悲しいです 怖かったと思う
父は働き者で優しく、良い父親で、私たちにいつでもすべての人を尊重し、
国を愛し、国に恩返しするよう教えてくれました」
男性の息子、アレハンドロさんはアメリカで生まれ、海兵隊に所属していた退役軍人で、アレハンドロさんの兄弟2人も現役の海兵隊員だといいます。アメリカメディアは、男性の3人の息子全てが兵役についていたことも逮捕時の映像と併せて大きく報じていて、捜査員の対応を非難する声が強まっています。
一方でDHS・国土安全保障省も拘束時の動画をSNSに投稿。「男性は草刈機で捜査員に襲いかかってきた」として、「主要メディアは、捜査員たちが自分の身を守らず、刈り倒されることを望むのか」と反論しています。
逮捕された男性の息子 アレハンドロ・ブランコさん
「父が心配ですが、心を強く持ち、釈放させたいです」
男性は、ICE・移民・税関捜査局の施設に収容されています。
現在、6000人ほどのICE捜査官に加え、通常は国境付近の取り締まりを行う国境警備隊のおよそ2万人が不法移民の取り締まりにあたっていますが、拘束の際の方法などが度々非難の的になっています。アメリカ政府は、不法移民の逮捕を妨害する人が増え、捜査員の安全が脅かされているとして、ロサンゼルスにある連邦ビルにカリフォルニア州兵や海兵隊を配備しています。