カリフォルニア州ロサンゼルスで滞在資格のない不法移民の取り締まりに対する抗議活動が続いています。トランプ大統領が軍を派遣したことで反発が強まり、抗議活動は全米の都市に広がっています。
ロサンゼルスで抗議活動が始まったのは6日金曜日です。この日、ICE移民・税関捜査局は偽の雇用書類の摘発と称し突如、大型ホームセンターの駐車場にいた日雇い労働者や衣料品卸売業者の従業員を対象に捜査を行い、40人以上を拘束しました。 そのニュースが広がると、ダウンタウンに抗議する人たちが集まり、移民当局や警察と対立。抗議活動は他の地域にも広がり、緊張が高まりました 。
抗議者
「ICEはパラマウントから出て行け」
7日土曜日も抗議活動は続き、トランプ大統領は州政府の同意なしに州兵2000人を派遣すると発表しました。州政府から要請されていない州兵の動員は、きわめて異例で1965年以来初めてです。
州兵を連邦政府の指揮下に置くことができる条件として、トランプ大統領は、軍に関する連邦法を引用し、外国に侵略される危険がある場合や、政府に対する反乱の危険がある場合などの設定を上げています。
ドナルド・トランプ大統領
「暴力的な人間を野放しにはしない
深刻な暴動だと判断すれば厳しく取り締まる」
8日日曜日、抗議活動はさらに激化しました。自動運転のタクシーが放火により炎上したり、電動スクーターがパトカーに投げ込まれたりとデモ隊の一部は暴徒化しました。
ロサンゼルス市長は、移民当局による唐突な摘発や州兵の派遣が抗議活動を刺激し、激化させているとし、トランプ政権を批判しました。
ロサンゼルス
カレン・バス市長
「ホームセンターや職場に突撃し家族を引き離したり
装甲車を走行させることは恐怖をもたらしています
連邦政府による軍の派遣は状況を激化しています 」
州兵の動員後も抗議活動は続き、9日月曜日、国防省は連邦政府の職員と建物の警備を支援するためだとして、海兵隊員700人の派遣を承認しました。また、トランプ大統領は州兵をさらに2000人派遣するとしました。 州兵を含めた軍人は、民間人に対する法の執行に関わることは禁じられています。
アメリカ北方軍
副司令官・第51部隊司令官
スコット・シャーマン少佐
「連邦政府の職員と建物を保護するために
法執行機関が来て逮捕するまで
デモ隊を一時的に拘束することを許可されています」
連日、夜間に破壊行為が続いていることを受け、10日火曜日、ロサンゼルス市長は、ダウンタウン地区に午後8時から翌朝の午前6時まで、夜間の外出禁止令を発令しました。
抗議活動は、ロサンゼルス以外にも、ニューヨークやシカゴ、ヒューストンなどアメリカ全土に広がっています。て混乱が続いています。
ギャビン・ニューサム知事は、9日月曜日に州知事の同意なしに州兵の派遣を命じたのは、憲法違反だとして命令の差し止めを求めて提訴しています。また、同様に10日火曜日には、カリフォルニア州が軍の派遣を停止する一時的な差し止め命令を連邦裁判所に申し立てました。
ニューサム知事
「トランプ氏が州兵の派遣を命じたとき全米の州に適用できるようにしました
今はカリフォルニア州だけですが他の州にも州兵を派遣するでしょう民主主義が脅かされています 」
12日木曜日、連邦地裁は、トランプ大統領の州兵派遣を違憲とし、州兵の派遣を差し止めるよう命じました。差し止め命令は13日金曜日から適用されます。
大規模な抗議活動の発端となったロサンゼルス周辺での不法移民一斉摘発の背景には、5月上旬の不法移民の拘束や国外退去の数が期待を下回っていたとして、 ホワイトハウスが移民当局の職員に1日あたり少なくとも3000人を拘束するよう命じ、さもなくばクビだと通達ことがあります。
12日木曜日、国土安全保障省のノーム長官は会見を行い、今後も不法移民の摘発を続けると強調しました。
国土安全保障省 クリスティー・ノーム長官
「さまざまな状況でここ数日の間に
1500人以上を拘束しました
摘発は今後も続けていきます」
会見の途中…
「上院議員のアレックス・パディアです
長官に質問があります」
メキシコ移民を親にもつ民主党の上院議員がノーム長官の演説に割って入り質問を投げかけ、シークレットサービスに強引に退場させられ、一時拘束される場面もありました。ロサンゼルスでは混乱が続いています。
カリフォルニア州では農業や建築の現場で働く人のほとんどが不法移民ですが、彼らの多くは何十年とアメリカで暮らし税金も払っています。また、その子どもたちの多くはアメリカの生活しか知りません。トランプ大統領は凶悪犯罪者の不法移民を摘発するとしていますが、捜査員はそれではノルマが達成できず、こうした人たちもターゲットになっているようです。トランプ大統領の政策には反対しないが、そのやり方に不満を持つ人は少なくありません。