アメリカの有力紙、ワシントン・ポストのCEOが7日土曜日、辞任を表明しました。その3日前には、記者などの大幅な人員削減が発表されていて、オーナーを務めるアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏への批判が高まっています。
大幅な人員削減が発表された翌日の5日、ワシントンDCにあるワシントンポストの社屋前には、解雇された従業員や地元の支援者たちが集まり、抗議の声を上げました。
解雇された記者 メリッサ・ランさん
「とても腹が立ちますし、裏切られた気分で、深い悲しみを感じます。この人員削減は地域に壊滅的な影響を及ぼします」
この人員削減によっておよそ800人いる記者のうちの300人以上を含む、全従業員の3分の1が解雇されました。ポスト紙の看板だったスポーツ欄や書籍欄は廃止され、複数の海外支局は閉鎖。国際欄や地域ニュース欄も大幅に縮小されます。今回解雇された中には、ウクライナなど戦地で取材中の記者もいたということです。
さらに、7日土曜日、ポスト紙の発行人兼CEOのウィリアム・ルイス氏が辞任を表明。ルイス氏は2024年にCEOに就任したものの業績の好転には至らず、人員削減をめぐって激しい批判を浴びていました。従業員にあてたメールには、「2年間の変革を経て、今が退任する適切な時期だ」と書かれていたということです。
およそ150年の歴史を持つワシントン・ポストですが、業績悪化で2013年にアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が2億5000万ドルで買収。経営再建が進められていました。
しかし、2024年の大統領選挙終盤、ベゾス氏が民主党候補のカマラ・ハリス氏への支持を取り下げ、また、オピニオン欄をより保守的な方向に転換したことで、数十万人が購読を解約したと言われています。
また、これに関連して取り沙汰されているのが、先月、大統領夫妻も姿を見せ大々的なプレミア試写会が行われたメラニア・トランプ氏のドキュメンタリー映画「メラニア」です。この映画の配給権を、ベゾス氏が経営権を持つアマゾンMGMスタジオが4000万ドルで購入。映画の宣伝にさらに3500万ドルを費やしています。
一方、ワシントン・ポストの2024年の損失額は1億ドルだったといいます。
メディア関係者の中からは、ベゾス氏が順調に純資産額を増やし続けていることをあげ、ベゾス氏の資産を持ってすれば、大幅な人員削減をせずともポスト紙の損失の補填は簡単だったろうとる声も出ています。
民主党 ナンシーペロシ元下院議長
今日、ワシントン・ポスト紙で痛ましい人員削減が行われました。これは、企業の判断が全米の報道機関を空洞化させるという、より広範で非難すべき傾向の一端です。企業の利益が地域、国内、そして国際的なジャーナリズムを支配すれば、地域社会は監視役を失い、真実は発信力を失い、民主主義は守護者を失うのです。