舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
10年ひと昔とはいうけれど、
ニューヨークに根を張って20年余り。
長くこの地に住むこともまんざら悪くない。
というのは、初演で観たミュージカルの再演に立ち会えるから。
今回、ご紹介するのが、再演版「春のめざめ」(SPRING AWAKENING)。
初演を観ている古参のワタクシ。
エッヘン。
批評家として比較材料を持っているというのは強い!
この作品はドイツの劇作家、フランク・ウ゛ェーデキントが
19世紀に発表した戯曲「春のめざめ」をベースにしたロック・ミュージカル。
性的行為のみならず、
性的虐待、
中絶、
同性愛などを扱ったこの戯曲、
発表当時はかなりなセンセーションを巻き起こして
発禁沙汰にまでなったのだそう。
当時に比べれば、検索エンジンを手繰って
性的知識なんてバンバン溢れてくる、
それどころかアンナコトコンナコトマデ••••きゃー。
貞操や処女性が最重要だった暗黒の19世紀の若人に比べれば、
随分のラクチンな世の中になったもんですね。
♪思〜えば遠〜くへ来た〜もんだ〜♪ by鉄也
でも、でも•••いくら情報過多の時代だからって、
「春のめざめ」の動揺が、
それほど軽減されたとは思えない。
やはり「春のめざめ」もとい、
「春の七転八倒」は永遠のテーマなのですゾ!
さて通常よりちょっと早い再演・・・一体何があったのか?
もともと、本作が初演されたのは2006年。
5年の歳月をかけて非営利団体
アトランティック・シアター・カンパニーによって制作されオフで開幕。
前衛的なアイディアが詰まった作風を各メディアは大絶賛。
開幕からたった2ヶ月で
オン・ブロードウェイへの進出が決まる大出世!
翌年、ブロードウェイ演劇界の頂点である
トニー賞ミュージカル作品賞に輝いたのさ。
そんなご大層なヒット作をわずか10年足らずで再演とは•••?
この度の再演版は、
Deaf West Theater Productionによって
耳が不自由な人のために制作された作品だということ。
そう、手話を取り入れたミュージカルなのだ。
蘇生どころか、
まったく清新な佳作として甦った「春のおめざめ」なんざんすヨ!
そういえば、のりピー(「碧いうさぎ」)や、
SMAP(「世界に一つだけの花」) も
手話をしながら一生懸命に歌っていたけど、
んんん、この「春のめざめ」とは比べられん!!
ブロードウェイでは
2003年、
「ビッグ・リバー」というミュージカルの再演で
聴者とろうあ者の両方の俳優が
手話を使ったミュージカルを見せて話題になった。
実は、今回の「春のめざめ」も、
その「ビッグ・リバー」を制作した
Deaf West Theater Production が創作したもの。
舞台は19世紀のドイツのとある街。
主人公は厳格&保守的なカソリック教義の高校に通う男女。
性にめざめながらも、偽善的大人たちから知識を遮断されて子供達は大混乱。
悶々とした学校生活を強いられる中で、性の知識がないが故に、
妊娠中絶、自殺など破滅的な方向へと向かってしまう。
今回の「春のめざめ」では8名のろうあ者が出演。
主な登場人物は・・・
優等生、メルヒオール(聴者)→ 台詞を喋りながら手話でも見せる
少女、ヴェンドラ(ろうあ者)→ 手話だけ。だがペアの俳優が変わって歌い喋る。
劣等生、モーリッツ(ろうあ者)→ 同上
その演出に最初は戸惑うが、
徐々に慣れてくると全く違和感なく芝居に入っていける。
声が出せない分、
出演者の顔の表情は群を抜いていて、
心の動きや情熱まで伝わってくるのさ。
思春期の爆発的に膨張する内的世界の
内なる心の叫びを表現する際に、
手話による演出による、
かすかなもどかしさは
まさにうってつけなのかも知れない。
そうそう、忘れちゃいけない・・
キャストは超イケメン揃い・・・
彼らを見ているだけでも楽しい!!!
ついでも少女達も可愛い・・・
しかし、ここで疑問
ろうあ者が、お耳が不自由なわけで、音が聞こえない。
でも、なぜ間がバッチリ合っている??
実は、彼らには秘密サインがあって
動きのタイミングをろうあ者の俳優におくっているのだとか!?
たとえば、鼻をほじくったら、飛び降りるとか・・
演出を手がけたのは、マイケル・アーデンという人。
何が感動したかって・・・ ろうあ者だから・・って特別扱いしていないところ・・
舞台上で全く聴者と同等なのだ。
本作が彼の出世作になるこたぁー間違いない!
この再演、初演の演出を超えたとおもうぜよ!
本作の魅力・・・ 極めて奇妙、しかし一度見たら脳裏について離れない!
練りに練られた脚本は絶品!
ソングライター、ダンカン・シークの楽曲は、
コンテンポラリーなロックで超魅力的な楽曲ばかり。
さすが、グラミー賞受賞シンガー!
珠玉のナンバー揃い!!
この再演では、ギター、ベース、ドラム、チェロなど7人でバンド構成。
小規模ながら魂を感じる熱い演奏で聴き応えは十分だ。
この再演は、再演というよりは、もう新作やね。
そんな新鮮な息吹を感じる傑作だ!
多感なティネージャーのお子さんをお持ちの貴女!
きっとミュージカルそのものを一緒に楽しめることはもちろんの事、
親子の絆がいっそう深まるやも知れませんゾ。
騙されたと思って行ってみそ!
目からウロコぽろぽろ、想い出ボロボロby 内藤やす子
1月26日までの限定公演
トシカプ評:★★★★
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですよね!
Brooks Atkinson Theatre
256 West 47th Street
New York, New York 10036
秋深し。
日本の秋刀魚や松茸、栗ほどではないけれど、
ここ北米にも秋の食彩が色濃くなって参りました。
我がユニオン・スクエアのファーマーズ・マーケットにも、
桃、苺類に変わって
林檎やかぼちゃが
ドドドーンと
前面に押し出されていて
季節の移り変わりを感じさせてくれるのです。
鮮魚売り場も、
もちっと充実してたらねェ〜。
アレなのにねェ〜。
きゃっ、ゼイタク言っちゃった・・・
だらしなかった夏のお楽しみに
疲れた胃袋を秋の味覚で思うがままに
満たすのもそりゃ〜重要ではありますが、
もひとつ忘れちゃーいけませんよッ のブロードウェイ(オフ)!
新作がぞくぞくと、
艶々の林檎のように居並んで、
わたくし達を誘ってくれています。
そんな新作ご紹介第一弾、
「THE LEGEND of Georgia McBride」!
最初に言っときますが、
このレジェンドには女装が出てくるの。
昨今のブロードウェイには
女装関連ミュージカルが花盛りでして、
「キンキー・ブーツ」
「ヘドウッグ」
「カサヴァレンティーノ」
「シルベスター」
など枚挙にいとまが無い。
なので、
アァ〜責めないで、苦しめないで〜♪ @京都慕情by 渚ゆう子
ただし
今回は上記の他の作品みたよに
女装を含めるセクシュアリティを深堀するのではなく、
成り行きで、なんちゃって女装に走りざるを得なかった
一般人を面白おかしく描いたコメディなのさ!
古くは彼のマリリン・モンロー主演の『お熱いのがお好き』、
ホフマン主演の『トッツィー』なんてのもありましたね。
その系譜。
まー、ノンケ(普通の異性愛の男性)さんの
女装トライアル奮闘記とでも申しましょうか・・・
なので、肩肘に力を込めずに、
ラク〜に楽しんじゃいましょう〜♡
物語の舞台は、フロリダの場末のナイトクラブ
主人公のケーシーは、エルビス・プレスリーのものまね芸人。
毎日、形態模写で舞台に立っているが客は減る一方。
そこで劇場オーナーは、彼をクビにし、
ドラッグ・クイーン路線にクラブの目玉を変更。
ケーシーはバーテンダーとして働き始めたある日、
ドラッグ・クイーンの二人のうちの片割れが泥酔。
舞台に立つことができず、
急遽、ケーシーがドラッグ・クイーンとして 舞台に駆り出されることに・・・
キャストは5名
主演は、デイヴ・トーマス・ブラウン。
。
。
ジェームス・ディーンとエルビス・プレスリーを
彷彿とさせる甘いマスクがイケメンだ。
このゴクフツーの既婚者ケーシー君の、
始めは目を覆いたくなるほど、
酷い無様な女装が、
少しずつ進化、変容、改善して
回数を重ねるごとにモノになっていく様を
鑑賞するのはなかなかのスリル!
「レジェンド・オブ」ってより
「メーキング・オブ」って感じ。
さらに
このコメディに華を添えるは、
先輩ドラッグ・クイーンのトレイシーに扮する
マッド・マグラス
ブロードウェイの第一線で活躍している俳優ではないが、
ドラッグ・クイーンの所作はもちろん、
見た目のコミカルさ、
女装レビューのカラフルな毒気も十分。
いい味出してんだよね!
脚本を手がけたのは、マシュー・ロペスという人。
普段はシリアスな芝居を描く人で、
コメディを描くのは初らしい。
ノンケが一流のドラッグクリーンになるという
馬鹿げた話で捻りもなく、
先がお見通しの物語ではあるが、
細部のドタバタや役者の力量をフル活用した気の効いた、
脚本は文句なく面白い!
見所は、
◎衣装
よりどりみどりの衣装、カツラ、靴 どれも豪華で、
カラフルで凝ったデザインもブロードウェイ並みのハイクオリティ
◎リップシンカ
芝居の要所要所で飛び出す劇中劇のドラッグ・クイーン ショー、
リップシンカに観客はノリノリ。
リアルさながらのショー構成は超明るく楽しい。
ストレス解消にはぴったり。
ハッキリ申し上げましょう・・・
この芝居。日本人受けが良さそう!
もし、翻訳上演やるならば・・・・
主演のケーシーは、結婚報道で話題の
国分 太一くん
彼のコメディセンスは抜群だと私は見抜いているのです。
助演の中年ドラッグ・クイーン、トレイシーには
松平健さん
で決まりでしょう!
だって彼ったら◯◯◯でしょーっ!!
公演は、10月11日まで!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですよね!
トシカプ評:★★★★
Lucille Lortel Theatre
121 Christopher Street
New York, New York 10014
今回は、ブロードウェイ・トリビア・クイズから・・・
在ニューヨーク、んん十年のはからずも
闇雲にベテランになってしもーたあーた、
そして
JFKに降り立ったばかりだという
フレッシュ・レモンなあーたも、いざチャレンジよ♡
第1問、 ニューヨーク・ブロンクス地区のおおよその広さは、
次のヨーロッパのどこの都市に匹敵するか?
(a) フランス、パリ
(b) デンパーク、コペンハーゲン
(c) イギリス、ロンドン
(d) ベルギー、ブラッセル
第2問、ニューヨークで最も大きな公園はどこか?
(a) プロスペック・パーク(ブリックリン地区)
(b) ファンコートランド公園(ブロンクス地区)
(c) リバーサイド公園(マンハッタン)
(d) セントラル・パーク(マンハッタン)
第3問、ハーレムにあったジャイアンツの野球場の正式名所はなにか?
(a) エベッツ・フィールド
(b) シェイ・スタジアム
(c) コロセウム
(d) ポロ・グラウンズ
第4問、ブロードウェイ・ミュージカルの最長ロングラン記録を誇るのは
「オペラ座の怪人」では、それに続く第2位の作品はなにか?
(a) ライオン・キング
(b) レ・ミゼラブル
(c) シカゴ
(d) 放浪記
恥ずかしながら、ベテラン組の私がわかったのは4問目だけ、汗
だーれも褒めてくれないので、
常日頃からやれ「ブロードウェイを20年以上見続けてきた男」だの
「舞台の表も裏も知り尽くしたアーティスト」だの
キャッチフレーズの臆面も無く連発しているこのワタクスィですらこの惨状。
バカバカバカ、知らないことだらけじゃん!
さ〜て、みなさん、4問中、何問できましたか? ってことで、
私、謙虚な気持ちで初心に帰って
ブロードウェイのウォーキングツアーに参加してきました。
数あるツアーの中で私が選んだのは、
クリティック・チョイス・ツアー。
「批評家ご推奨」っちゅーくらいだから、
通好みや玄人向けって事なのでしょうか?!
ブロードウェイの劇場街を案内してくれたのは、
NYのケーブルテレビNY1の
人気番組「オン・ステージ」でもおなじみ
デイヴィット・シューワードさん。
トニー賞の審査員でもある彼は、テレビ、新聞等のメディアで大活躍。
すでにブロードウェイ関連のご本を3冊執筆された現役の演劇評論家なのさ!
そんな彼と待ち合わせたのはタイムズスクエアの42丁目。
笑顔で現れたシューワードさん。
若くてぴちぴちのイケメンじゃないけれど、
話せば、噛めば噛むほど味がじんわり出てくる
スルメイカのような味わい深いお方、
人間味があって優しいの・・・
案内は、拡声器を使ってくれる・・
タイムズスクエア界隈の騒音は尋常じゃないからね〜!
まずは、タイムズスクエアの歴史を説明から。
ニューヨークの地下鉄
"インターボロ・ラビット・トランジット"が
タイムズスクエアに開通したのは1904年。
ニューヨークタイムズ本社ビルも、
ロング・エーカー・スクエア
(42丁目のブロードウェイと7番街の間にある三角地)に完成し、
電気による照明が使用され、
42丁目およびブロードウェイに
電飾による広告や看板が登場しはじめのたのもそのころ。
タイムズスクエア界隈にぞくぞくと
劇場が建設されるきっかけになったのは
1895年、44丁目と45丁目のブロードウェイ沿いに
オリンピア劇場が建設されたことから。
そんな話から、現在、「アラジン」が絶賛上演中の
アムステルダム劇場の経緯。
97年に「ライオン・キング」が開幕して現在まで・・・
そして、その正面にある、ヒルトン劇場の黒歴史、
呪われた「スパイダーマン」の話などがてんこ盛り。
続いて、42丁目沿いにある劇場を数カ所案内した後は、
ブロードウェイ劇場街で一番劇場が多い44丁目へ。
「オペラ座の怪人」のマジェスティック劇場
「サムティング・ロッテン!」セントジェームス劇場
「マンマ・ミーア!」ブロードウェイハースト劇場
「マチルダ」シューバート劇場
レストラン「サーディーズ」と、ブロードウェイとの関わり
ミンスコフ劇場へ・・トイレ休憩あり
その後、そのままアップタウン方向へ移動して
ブロードウェイを下り、TKTSのところまで戻るというコースだ。
全行程2時間。
主な話の内容は・・
◎42丁目界隈の都市再生の奇跡的な成功話
例えば、20年以上前は、ジャンキーと街娼とノゾキ部屋ばかりだった
タイムズスクエアは今やご家族向け歓楽街に変貌
◎劇場への巨額の投資で蘇った劇場群の話
例えば、ご家族エンタメの雄ディズニーが、
42丁目のアムステルダム劇場をオープンしたことから、
その地区の活性化が始まった
◎劇場名の由来
例えば、セルウィン劇場がアメリカン・エアライン劇場に
改名された・・・ 目からウロコでしょ?
◎誰も知らないブロードウェイの新作情報
ま、当ブログにはかないっこないけど、
それなりに新しい情報満載ヨ♡
◎ブロードウェイと映画にまつわる話
これも当ブログ愛読者の方々に取っては
おさらいって事かしら・・・オ〜ホホホ
◎俳優たちも街の再生に極力
やれ客寄せパンダだなんだって
私も悪口言ってばかりですが、
その功は認めないわけには参りませんね!
◎チケット売れなければ、即閉幕なんて日常茶飯事
この$$イコール成功っていうキビシー構図が、
悲喜交々、喜怒哀楽のドラマを産み出し続けるのよ〜!
◎ブロードウェイの劇場をデザインしたのは・・・
作品そのものは勿論、たまには劇場建築なんかに目を向けて
堪能するってのもワンランク上のお楽しみ♡
その他にも演劇評論家だから知っている裏話も満載!
このツアーのすごいところは、 観光客用ではないこと
地元に根をはるニューヨーカーも
演劇オタクの皆様も 目からウロコぽろぽろ、
想い出ボロボロ BY 内藤やす子
すごーくためになる、
すごーく勉強になる、
ガッテン情報満載です。
英語でのご案内だけれど、
わからなければ、
シューワードさんに「もう一度」といえば
ゆっくり英語を繰り返してくれます。
質問もガンガンできますよ。
新作がぞくぞくと開幕を始める秋
「春のめざめ」
「オン・ユア・フィート」
「 スクール・オブ・ロック」
「屋根の上のヴァイオリン弾き」 などなど・・・
それらを十二分に楽しむためにも
自分の目と耳と、そして足を使って体感出来る
このツアー、超オススメ。
お申し込みは
電話:917-363-1540
EMAIL: info@criticschoicetours.com
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですよね!
ひどい事故やスキャンダル
どんな批判や中傷、
さらに苛烈な醜聞も宣伝にできる、と言われる。
とにもかくにも注目されれば
それで宣伝効果が期待できる。
耳目を集めたるが勝ち、だと。
実は今回紹介する、
コメディ「SHOWS for DAYS」も、
舞台そのものではなく、
上演中のアクシデントが
ニュースで取り上げられ大変な話題となった!
オフ・ブロードウェイの
500席弱の小さな劇場、
役者からお客さんの動向が
手に取る様にわかっちゃう。
舞台をガン無視して
携帯に夢中になっている観客を見て、
イラッとしてしまったのだろうね〜。
なんと
上演中に、
ブロードウェイ伝説の舞台女優、
パティ・ルポン様ったら
お客さんのその携帯電話を取り上げちゃった、
というのですから、さー大変。
あ〜ぁ、やっちゃったよ〜。
この事件は、
#携帯電話依存症患者の増加。
#いくらお客様とは言え、最低のマナーを守るべき。
など色々な問題を孕んでいるのですが、
もひとつ、重大な疑惑。
わざわざ高額なチケットを購入して
観に来た芝居なのに、
携帯電話で気を紛らわせざるを得ないほど、
ヒドいお芝居だった疑惑!
果たして、かのパティ・ルポンさんは、
モンスター観客に天誅を下す、
天晴女優さんだったのか???
それとも、
退屈な芝居を見せられたお客様の
小さな抗議行動が、
携帯電話だったのか?
わたくし、その話題の芝居を観に参りましたのよ〜
結果・・・このコメディ、正直言ってワケわかんなかった。
これは私1人ではないらしく、
まわりの観客の反応もドヨヨ〜ン。
1幕だけ観て中座するお客さんも5、6人。
携帯の話題で注目されなかったら、
静かに消えたコメディだったのですゥ〜。トホホ・・・。
IKKOさんならずとも、
どんだけェ〜?
と言いたいヨ。
それでは一つ一つそのイケて無さを、
ストーリーの面から検証してみましょう。
物語の舞台は、現在と1973年の
二つのペンシルバニア州の街レディング。
主人公である青年カーは、
十代の頃、通ったプロメテウス劇場を訪ねる。
そして、カーは演劇人を目指した14歳の頃にフラッシュバック。
最初はすべてが輝いて見えた演劇界であったが、
脚本、演出家、舞台デザイナーとして
劇場を牛耳る女性アイリーンを通して見た
田舎町の演劇集団に徐々に失望していく。
脚本を手がけたのは・・・
ダグラス・カーター・ビーン。
コメディセンスを生かし、
「シンデレラ」や「ザナドゥ」の
脚本を手がけ、ヒットに導いた立役者で、
「SHOWS for DAYS」は
彼の昔の経験を元に書かれた半自叙伝物語だとか!?
彼はこの芝居を通して、一体何を伝えたかったのか・・・
世界最高峰の演劇の聖地、
ブロードウェイが上から目線で
田舎町の住む演劇人を
揶揄してるって事だろうか!?
所詮地方の演劇人は、つまるところ
才能がないから田舎町に留まっているわけで
ま、ある意味負け犬なわけなのよー。
端的に言いますれば、そんなコメディ。
こんなちとピンとこないコメディではあるけれど
そんな中で良かった所をあげてみると・・・
◎アイリーン役パティ・ルポン
ミュージカル「ジプシー」のママローズは彼女の超当たり役
しかし、ちとヤリすぎってほどオーバーな役創りで有名な彼女
本作では普段の大袈裟な芝居を封印、
オーソドックスな演技に終始。
至極真面目に、これぞビッチってな像を作り上げたんよ。
◎カー役マイケル・ユーリー
とにかく、女の子のような可愛い
お目目にお鼻にお口が超印象的な俳優だが、
日本で知名度を上げたのは
人気コメディTVドラマ『アグリー・ベディ』のマーク役?
演劇界でも様々な作品に出演している若手の注目株。
本作では、やっぱり超可愛いのだ!!
知名度とお芝居の技量、
どれをとっても申し分のない、
これほどの二人が出演しているコメディ。
それだけでチケットは
連日完売でもいいはずなのだが、
私が観劇した日も空席がチラホラ。
それでは、わたくしのジャッジいっちゃいます。
最大の問題は・・・・ドロドロドロロール
ダグラス・カーター・ビーンの脚本。
まがりなりにもコメディだぜェ〜
ボードビル的な大げさな笑いで
紋切り型のお笑い炸裂!!!
笑取るとためになら命も惜しまない、
くらいの覚悟で腹括ってやって欲しかった
もっと徹底したお笑いを期待していたのだけど・・・
肩すかしくらいました。
おまけに、途中で人生について
ミョ〜にリアルに語ったり、
人間愛についてなど、
やたらセンチメンタルな部分が
ちりばめられていたりする。
物語の軸を盛った割には、
どの要素もどっちつかずの超中途半端な台本なのだよ。
しかも、エンディングは安いメロドラマのノリ。
とにかく笑える、 超バカバカしい舞台を
見たい人にはちとガッカリなわけさ。
まー正直申し上げて、
今回、私は、この芝居を見て、
観客が携帯いじりを
やめなかった気持ちは
わかった気がしたわ!
昔は酷い舞台に対して、
ブーイングで抗議したもんですが、
21世紀の観客はおもむろに
携帯を取り出し
キャンディー・クラッシュをやり続ける。
これで決まり!?
そんなこんなで、延長されるわけもなく、8月23日で閉幕しました。
トシカプ評:★★
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった
素晴らしいものなんですよね!
まだまだ暑い日が続いておりますが、
残暑お見舞い申し上げます。
この熟れた8月の太陽に
煎られた浜辺の砂が、
掌の上の指の隙間からさらさらと
滑り落ちてしまう様に、
あっと言う間に過ぎ去ってしまうものが、
お気楽な夏の日々と、
青春の若い季節。
♪き〜れいと言われる、時は短すぎてぇ〜♪
なんて残暑の中にも一陣の風に
微かな秋の気配をいち早く感じ取った、
あたくすぃのおセンチ先取り。 ふふ
そんな一瞬の青春の輝きを思う存分にぶっつけて、
NYの晴れ舞台に挑戦した金管楽器集団が、
本年度のフリンジNYCに唯一日本から参加した、
「 雅咆」!
NYフリンジ・フェスティバルと言えば、
演劇界の夏の甲子園!
毎年8月中旬から2週間にわたって
ダウンタウンの小劇場を借り切り
新進アーティストによる200作品が
上演されるという一大イベントなのさ!
もちろん、そのフリンジ。
希望すれば誰でも出演できるような
お気楽な祭典と違うのヨ。
フリンジ事務局員75名の御眼鏡に叶った
革新的で芸術性が評価された作品のみが厳選され
パフォーマンスが許される、真剣勝負の演劇祭。
それは
芝居だったり
ミュージカルだったり
ダンスパフォーマンスだったり
千差万別
さて、そのフリンジに初参戦した日本代の アメリカ名は
「GAHOU international "SUNRISE"」
うーーん、
昨今のブロードウェイ・ショーの名前はとにかくシンプル。
ペットの名前みたいに憶え易くてインパクトがあり、
「ポチ見た?」「よし、ポチ見に行こう!」みた様に、
皆様に愛される感満載の命名をするのが常道。
「アラジン」
「ハミルトン」
「ビューティフル」
「ヘドウッグ」
「ウィキッド」
「GAHOU international "SUNRISE"」
ちょっと長すぎでねぇかい!?
「え〜と、なんだっけか?」
「ガ、ガホ?」
「国際?」
「日の出、日の入り??」
つ〜か、「何のこっちゃ?」www
さて、今回、東京からニューヨークに乗り込んできたのは
美丈夫と女丈夫の精鋭達15名
で、どんなパフォーマンスなのか!?
「管楽器」 「ダンス」 「マーチング」を融合した サウンド・パフォーマンス
また、楽曲もユニーク
日本の古典曲、民謡を現代的にアレンジしたものがメイン。
日本で育った方は郷愁を誘い、
ブラジルで育った人にはリオのカーニバルを誘い
博多で育った私は「博多山笠」ば、誘ったとよ!
見所は・・・
◎熱気が溢れる日本の祭りをイメージした演出
金管楽器を自在に操りながらの圧巻の群舞はアメリカ人の観客を圧倒!
紙吹雪舞う中、北島サブちゃんも神輿に乗って登場しそう!?
◎参加型
入場時、観客それぞれに、鳴子を配布。
演者と観客の掛け合いによって舞台と客席の垣根が
一足飛びに取り払われて、そして生み出される心地よい一体感!
「踊る阿呆に見る阿呆」じゃないけど、
「ブルーマン」や「ブラスト!」を彷彿とさせる見事な演出。
5泊7日の強行スケジュールの中、行ったのは4回公演
250名の観客を集め公演は大盛況に!
わたくしも、PR宣伝担当をさせて頂いた素晴らしい舞台。
でもせっかくなので、 今後の一層の飛躍を期待して、
愛情たっぷり籠った苦言を呈させていただくと・・・
◎日本文化の静と動がバランス良く描かれているが、 笑のエッセンスが要。
そりゃ〜、そ〜簡単に観客を笑わせるなんて言うは易し、かもしれない。
でもね、世界共通語である音楽にコメディの要素を加えると、
インパクトが一層パワフルに!
15人もいるんだから、きっと何人かは居るでしょう、
その一挙手一投足、言葉のはしばしににじみ出る
コメディアン的素質を有する若者が・・・
発掘してほしい。
◎演出家、斎藤氏が英語のMCで、奮闘
アメリカ人を大いに沸かせていたが正味、ちと長い。
何事も、「あ〜、もっと欲しいのにぃ〜」と思わせるくらい、
究極の小出し、出し惜しみ、くらいに
よろずタイトに削りに削ってまな板(舞台)の上に乗せるが吉ヨ♡
一回りでっかく、そして可笑しくて、
タイトに成長した君たちに、
またブロードウェイで会えるのを楽しみにしてるぜ〜 ♡♡♡
トシカプ評:★★★
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく、
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった
素晴らしいものなんですよね!
公演は8月16日で閉幕しました。