舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
ミュージカルと言えば、
歌って、
踊って、
憂き世の喜怒哀楽の物語を
紡いで行く総合芸術。
そんな中、ダンスは・・・
勿論、歌と台詞に乗せて
役者達が音楽に合わせて
踊りだすってのは自然な流れ。
ミュージカルとダンスは・・・・
おしどりの契を結んだ
夫婦さながら、
切っても切れない間柄。
さりながら、
ダンスは、
ある意味 縁の下の力持ちと言えなくも無い。
重要度で言えば、
1、先ずは、お芝居っしょ。
善人から極悪人まで。
観客の心を鷲掴みにする演技力、
さらに舞台からはみ出るような
カリスマがあればステキ♡
2、次が歌唱
やっぱミュージカルってくらいですもの、
ピアニッシモのささやきから、
胸郭全開、のど輪締めテクで
地響きのような絶唱まで
聴かせて欲しいの♡
3、そしてダンスの順・・・。
お芝居でも歌でも徐々に溢れ出て来たエロス。
遂にはつま先まで緊張感を漲らせた肉体を駆使した踊りでもって、
私に究極のエクスタシーを感じさせて〜ン♡♡♡
その踊りの魅力を最大限にフィーチャーした
ヲトナのためのしゃれおつなダンス・ミュージカルが
アカデミー賞受賞、ジーン・ケリー主演の
古典ミュージカル映画が舞台化した
『巴里のアメリカ人』
さてココデ・・・ズバリ当てましょう♪
来月のトニー賞ミュージカル作品賞は、
これに決まりヨ!
ストーリーは・・・
舞台は大戦後の復興期のパリ。
兵役から逃れたアメリカ人、ジェリーは
パリの美しさに魅了され祖国へ帰ることを取りやめ
この光の都市に留まることを決意。
偶然カフェで出会った画家に連れられて
行ったバレエのリハーサル。
そこで見た美しいバレリーナ,リセに一目惚れ。
しかし他にも彼女に思いを寄せる男性たちが・・・・
見どころは・・・
◎モダンバレエ風のダンス
主役から脇を固めるダンサーまでも、
有名バレエ団から起用された
チャキチャキのバレエダンサーたち。
まず驚くのは、鍛え上げられた肉体!
それを使い、ミリ単位で計算されたような
舞のめくるめく世界!
その一こま一こまが、しゃれとんシャー!
さらにモダンバレエ風のダンスだけに留まらず、
ブロードウェイの天才振付家、ボブ・フォッシー「ピピン」や
マイケル・ベネット「コーラスライン」
スーザン・ストローマン「プロデューサーズ」を思わせるような
バラエティに富んだ振付だから、全く飽きがこない!
ねっ?トニー賞振付賞受賞間違いなしっしょ!?
◎ジョージ・ガーシュインの音楽
アメリカの国民的な大作曲家、ガーシュインの
ジャズとクラシックを融合させた
楚々たるシンフォニックジャズのナンバー
それも、聞き覚えのある曲の数々
心地よく、モダンバレエ風の動きを
さらに引きたてる役割もしてるのさ!
◎キャスト
主役ジェリーを演じるのは、
ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル、
ロバート・フェアチャイルド
その相手役リセにはロイヤル・バレエ団の
リアン・コープを大抜擢!
そんでもって凄いのは、このお二人、
ブロードウェイ・デビューで
バレエダンサーにも関わらず、
芝居もマル、歌唱力もマル!
これじゃー、あーた。
ミュージカルにプラス、
バレエの醍醐味まで堪能出来る、
一粒で二倍三倍楽しめるのヨ!
もちろん、両者がトニー賞主演男優、女優各賞に
ノミネートされたこと必定よね!
◎演出家の手腕
陽の目を浴びることが難しい
ダンスを敢えて中心にすえたミュージカルを
制作したプロデューサーも偉いけど、
やはり最大の功労者は、バレエ界で有名な
演出振付家、クリストファー・ウィールドン。
過去のダンス・ミュージカルを振り返ると・・・
・ダンサーはダンスのみ、シンガーは歌のみ
・ストーリーはなし(歌のイメージに合わせて踊るだけ)
・ 歌もなく音楽に合わせて踊るだけってものもある
新しいヒット作として記憶にあるのは
ビリー・ジョエルの『ムーヴィン・アウト』くらい・・・
そう言えば、そのボストン公演で、
テレビ番組収録で? 山本太郎氏と遭遇したなぁー!
それに対し「パリのアメリカ人」は・・・・
・プロのダンサーが歌って踊って演技まで!一人3役。
・芝居と踊りがコネクトし、小気味よく交差しながらテンポよく進む物語
・凝った舞台装置と衣装もエレガントなパリを表現。
バレエと演劇の要素が
高い次元で絡み合あった「パリのアメリカ人」
これは、まさに新分野!
ラプソディ・バレエ・ミュージカルとでも言うおうか!?
映画の舞台化で、
映画以上の評価をされるって
なかなか難しいのだけど
本作はやっちゃったちゃんね!
さて、本作を翻訳上演するとしたら・・・
バレエが踊れて、演技も歌もできる日本人で・・
ううううん・・・
ぱんぱんぱやっぱ♬「他人の関係」の金井克子さま
「水戸黄門」の由美かおるさま
ちょっと・・・
熊川哲也さまは・・・んー歌と演技は?
無理そうなんで、そのまんま日本へ!
本作なら、子供から大人まで、
演劇好き、バレエ好き、ガーシュイン好き、
台詞の少ないので英語が苦手な日本人にもオッケー!
幅広い層に楽しんでもらえること間違いなし。
みなさん、オリジナルキャストが出演しているうちが旬よ。
韋駄天走りで劇場へ!
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★★★
Palace Theatre
1564 Broadway
between 46th and 47th Streets
New York, New York 10036
いよいよブロードウェイ最大の演劇の祭典も秒読み体制に♡
トニー賞ノミネートも4月28日に発表されました!
ノミネート自体が
その日の芸能ニュースのトップに
取り上げられるくらいですからねー、
目が離せない
これから始まる大レース♬
ひしめき合っていななくわ〜♪
走れー走れー、コータロウ♬
最多ノミネート(ミュージカル部門)を
受けて注目を集めているのが
次の三作品でした・・・・
ベスト3は・・
1、ダンス系「パリのアメリカ人」12部門
1、ゲイ系「ファン・ホーム」12部門
3、コメディ系「Something Rotten」10部門
そんな中、渡辺謙さんの「王様と私」は
9部門でノミネート。
ななんと、渡辺謙さんご自身も
日本人初、主演男優賞にノミネートされました!
これを快挙と言わずしてなんと言う!
で、今回はその赤丸付き三本のうちの一つ、
コメディ系「Something Rotten!」を紹介したい!
まず、皆様に着目していただきたいのがプロデューサー。
一般の会社社長にあたるのがソレ!
「Something Rotten」の場合、
その社長にあたる一番偉いお人が・・・
ケヴィン・マッカラム氏
最近は、チャイナ・マネーにスリスリで!?
クレジットに中国系企業の名も・・・
業界では知らない人は潜り、
ってぐらい、知る人ぞ知る
ブロードウェイの大立て者。
そのケヴィンさん、かなりのやり手でね
1994年以来、
彼がプロデュースした作品は22本
かなりの確率でヒットさせ、
その中でなんと4作品で
トニー賞最高峰ミュージカル作品受賞。
ヒット作の作り方のハウ・ツーを
十二分に熟知している
ホームラン量産の
三番バッター・スラッガーなのよ!
そんな彼がプロデュースした作品「Something Rotten」
よろずぬかりがありませぬ!
まず、クリエイターのメンツがキョウレツなのさ!
脚本は・・・
映画
「エディ・マフィーの劇的一週間」
「チキンラン」
「森のリトルギャング」
などでお馴染み
映画監督、脚本家のカレイ・カークパトリック
とベストセラー小説家ジョン・オファレルが手掛け
作詞作曲は
カレイの兄でソングライター、
ウェイン・カークパトリックとの協同制作
そして、
演出振付には・・・・・・
「ブック・オブ・モーマン」
「アラジン」の大ヒットで
今やブロードウェイで飛ぶ鳥の落とす勢いの
ケーシー・ニコライ(ケーシー高峰の親戚じゃないのよ)
キャストも凄い。
ニック役に扮する
主演ブライアン・ダーシー・ジェームズにおいては
なんと、
あの話題沸騰の
オフ新作ミュージカル「ハミルトン」を
降板してまで、
本作に移って来たというから・・・
余程の高額なギャラを積まれたのか・・・?
ストーリーは・・・
舞台は16世紀、エリザベス朝のロンドン。
ヒット作に恵まれない兄弟演劇作家のニックとナイジェルは
ウィリアム・シェイクスピア以上の傑作を創ろうと考えていたある日、
偶然、占い師ノストラダムスと遭遇。
これからは"歌と踊りと演技が同時に楽しめる作品が、
未来の劇場を制する"と言われ、
ニック兄弟は世界初のミュージカル
「ハムレット」でなく「オムレット」を書き上げるという、
なんともおちゃらけたストーリー。
さすが、敏腕プロデューサー、マッカラム氏。
シェークスピアを茶化したストーリーと
ブロードウェイ・ミュージカルのパロディを中心に
◎底抜けに明るい
◎軽い
◎早回しのような物語の展開
◎登場人物が少なく分かりやすい
◎必須のおネエキャラ
◎曲目数が適度
◎随所にちりばめられた下ネタ
ブロードウェイのヒットの法則を
押さえたポイントがすら〜り
見どころは・・・
◎ダンス、ダンス、ダンス
確か「アラジン」でも同じようなことを
書いた記憶があるが、
あらゆるジャンルを踊りまくる!
特にタップダンスが随所に、ダンス好きには堪らないぞー!
◎シーン5の楽曲"A Musical"
ハチャメチャなパロディはニコライ氏の得意技。
「RENT」
「レミゼ」
「コーラスライン」
「ドリームガールズ」
「キャッツ」
などなど懐かしの大ヒットミュージカルをパロディにした 演出は、
ミュージカル狂には堪らない圧巻のシーン。
悶絶必死の面白さで観客は熱狂し、
曲の終わりに観客は総立ち!
この時点で観客はご満悦の様子だ!
しかーし
ハイパーなペースで飛ばしに飛ばす
1幕中盤までは絶好調なのだが
延々と続く悪ノリ合戦にちと辟易し
2幕ではステレオタオプな笑いと
似たり寄ったりの楽曲と演出。
いい加減ガス欠&食傷気味。
しかも
ん?これ、「ブック・オブ・モーマン」
ん?これ、「プロデューサーズ」
どこかで見聞きした様な?
部分が散見したような
観客におもねったような部分も多々?
コメディとしての笑いのツボは
おさえまくっているのだけど、
中味がない、薄っぺらいのさ。
しかも、私にはプロデューサー達の
そろばん勘定が見えすぎちゃって・・・
。
トニー賞10部門ノミネートをうけて
チケットの売れ行きは益々好調!
ミュージカル・コメディ好きには
十二分に楽しめると思うのでおススメだよ!
さて、本作を日本で翻訳上演するとしたら主役のニックには・・・
ミュージカルスターを目指していたこのお方
有吉弘行さま
バラエティのお仕事が激減したら、是非。
今度はミュージカル界で3回目の再ブレイク
大輪の花を咲かせましょう!
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★
St. James Theatre
246 West 44th Street
New York, New York 10036
余談ですが、先週の花の黄金週間・・・
多くの日本人旅行者の方々が
ブロードウェイ観劇を楽しまれた事と思います。
ワタクシもブロードウェイ界隈で
和が同朋の舞台ファンの皆様をお見かけ致しました。
その多くの方々が
JTB発刊のガイドブック"ララタッチ"を
携えていらっしゃいましたの!
ララタッチのブロードウェイ情報コーナーは、
(エッヘン)勿論ワタクシの監修。
な〜んて自画自賛、
手前味噌の平常運転ゆるして〜ん♡
今年も来ましたよ、トニー賞シーズンが!
(賞のセレモニーは6月7日)
このシーズン中、
ここ数年ですっかり定着した
4月の新作ミュージカルラッシュ。
この傾向。個人的にはあまり歓迎できないのよー。
というのも、4月はほぼ毎日観劇一色。
あー、忙しいったらありゃしない。
そりゃ確かに大好きなブロードウェイでの観劇三昧に
文句を言うなんて 何様?と非難されるかもしれない・・
でもさー、
いくら美味豪華ディナーだって
それが連日連夜となりゃー
少々食傷気味になるというものじゃない!?
それにしても、なぜ4月に開幕が集中するかというと・・
チケットの売り上げと トニー賞を取ることしか考えていない
どん欲なプロデューサーたちが、
トニー賞ノミネート締切(4月23日)の
ギリギリ前にショーを開幕させることで、
少しでも賞レースが有利に運ぶようにという目論みからなのさ。
まー私から言わせたら、
そんなことしたって
すべてはショーの出来不出来で決まるわけで
そこがダメなら開幕時期なんて関係ねーし、フフ。
さて、そんな朝の山手線みたよな
ラッシュの4月に開幕した一本が・・
リバイバル・ミュージカル 「ジジ」
ジジったって、
爺さん達が歌い舞い踊る
ミュージカルじゃないのよ。
ストーリーは・・・・ 舞台は19世紀のおパリ。
おてんば娘のジジが
祖母やおばさんに教育されて、
気品ある大人の女性になっていく姿を描く。
これって・・・聞いたことのあるストーリーよね!?
そう、ヒギンズ教授によって優雅に変身して社交デビューする
はすっぱ少女の物語 「マイ・フィア・レディ」の二番煎じ。
それに材を取った映画「プリティ・ウーマン」なんてのもあったっけ・・・。
脚本を手掛けたのは・・・アラン・ジェイ・ラーナーと言う人
「マイ・フィア・レディ」も「パリのアメリカ人」も彼なのね・・・!
ところでこの再演版の脚本だが
裏を返せば、大金持ちの愛人になるための作法を
ジジに教え込むという物語
でも今回それをゆるーくしてねぇかぁ?!
たとえば、
ジジの年齢 15歳 → 18歳
愛人ガストンの年齢 40歳 → 20歳
結婚の申し込み方 祖母を通して申し込み → 直接本人に
これは、子供たちへの悪影響だの
女性の人権だの
ポリティカルコレクトネスを考慮しての
脚本の設定変更なんだろうか?
これじゃー、面白い部分を全部削ってしまった感あり!
もともとが、男が自分の欲望のために
いたいけな少女を作り替えちゃう、
なんていう不埒な設定なんだし、
そーゆーヤバイ部分を小手先でごまかしたって、
わさび抜きの握りみたいになっちゃうだけよー。
カネカネカネのこの時代だもの・・
逆に、お金のために手段を選ばない
マテリアル・ガールなジジを
スキャンダラスかつエネルギッシュに
赤裸々に 描いた方が絶対におもろかっただろうに・・と私は思うのだ。
さてさて、
この21世紀版「ジジ」の タイトルロールに任命されたのは・・・
ヴァネッサ・ハジェンズ
ディズニー・チャンネルの「ハイスクール・ミュージカル」で、
一躍時の人となった女優、歌手、アイドルらしい・・・
確実に、話題性と彼女の人気(人寄せパンダ)に肖っちゃおうと言う
プロデューサーのご判断での大抜擢だったのでしょうがーーー。
お手並み拝見つーことで・・・
見かけは、確かにカワイイ!
一時期売れた沖縄出身のタレント早坂好恵にクリソツ!
そんな彼女、テレビ・タレントとしてはいいかもしれんが、
舞台役者として、しかも主演させるのは時期尚早。
とてもハマり役とは言い難く、
味の染みてない煮物というか、
役の核心を全く掴めないまま
見切り発車した感ありあり!
まさか・・
舞台をこなしながら役作りをするつもりだった?
客は練習台かぁー!!
歌もねぇーーー
カラオケ屋の常連レベルじゃだめだめ。
ヴァネッサ・ハジェンズ効果を期待していた
プロデューサーの夢は泡と消えたようね・・
キツいこというようだけど
滑らないように
こけないように
リスクのないように
そんな楽チンして
傑作を産もうなんて
虫がよすぎるのよね。
短命に終わることは
間違いないので、
金持ちの愛人のなり方を
お勉強したい方のみ、劇場へ急げ!!
もし、日本で本作を上演するのなら・・・
主役のジジには、
離婚後、大リーガーのダルビッシュ選手に
莫大な養育費を要求したと噂されている
紗栄子さま。
なんてね、あたしゃー井上公造か?
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★
Neil Simon Theatre
250 West 52nd Street
New York, New York 10019
クリスティン・チェノウスって女優。
小柄で超器用な彼女。
まるで山椒ように
小粒でピリリと辛い、
を地で行く様に、
躍動感に溢れるエネルギーに満ちている。
そんな彼女が
5年ぶりに
ブロードウェイに戻って来た。
それが・・・・
「On the Twentieth Century」(20世紀号に乗って)。
舞台は・・
1932年、シカゴからニューヨークに向かう特急列車20世紀号。
特急列車だなんて、
それが今のアムトラックのしょっぱさからは
想像を絶するような高級列車なのさー。
IACE さんやアムネットさんで
簡単予約の日本航空のファーストクラスすら
青ざめてしまうような豪奢な内装や、
粋に着飾った乗客達を観るだけでも、
クラシカルなものがお好きな方には
満足いただけるとおもうよー。
ストーリー
落ち目のプロデューサー兼演出家オスカーが
再起をかけて企画したブロードウェイショーに、
元恋人であり、映画スターである
リリー・ガーランドの起用しようと企む。
与えられた時間は16時間。
列車がシカゴからニューヨークの
グランド・セントラル駅に到着するまで、
オスカーはリリーにショーの契約書にサインをさせ、
彼女と、よりを戻そうと七転八倒するのだが・・・
ちょっと専門的に蘊蓄コーナー(トリビアを披瀝したい人だけどうぞ)
昨今のブロードウェイでは
10年に一度くらいの割合で
昔のミュージカルがリサイクルされている中
本作は、なんと40年ぶり!
脚本を手掛けたのは、
ベティー・カムデンとアドルフ・グリーンってコンビ。
すでにお亡くなりになっている
お二人が共同制作したものには
「オン・ザ・タウン」
「ピーターパン」
「ワンダフル・タウン」などなど
ブロードウェイ・ミュージカルの第二次黄金期の
頂点をきわめた、すごーい方々なのよー!
本作でも、ミュージカルにドンピシャの
ショービジネスねたで
蘊蓄なしに魅せて大爆笑させてくれるんよ!
脚本の流れとマッチしたオペラチックな音楽で
全曲を書き上げたのはサイ・コールマンというお方!
「オペラ座の怪人」のアンドリュー・ロイド・ウェーバーと比べると
地味・・・
しかーし、
30年以上ミュージカル音楽を作り続け
ブロードウェイ演劇界を支えた重要人物なのじゃ。
見どころは・・・
◎ずば抜けたキャスティングの良さ
ブロードウェイの役者の質の高さは、
いまさら言うまでもないが
本作の場合、文句の付けようがない!
主役に寄り添う名脇役の存在で
スターを一層引き立てたり、
作品をギュッと引き締めたり、
下手すりゃ後々まで色褪せぬ余韻を残して
主役を食っちゃったり・・・・
特に目が離せないのは
精神病院の脱走者の老婦人レティシアを演じた
メアリー・ルイズ・ウィルソンというベテラン女優。
笑いのツボを心得た台詞の間。
おばあちゃんの典型的な所作も絶妙!
もうお一方
主人公リリーの恋のどれい、
ブルースに扮したアンディ・カール。
昨シーズン、ブロードウェイで初演された
超話題作 ミュージカル「ロッキー」で
タイトルロールを演じた男だ!
吉本新喜劇のノリで、滑ってこける!
脳みそ空っぽのマッチョぶりが偉い板つき!
彼って助演で光る役者なんかも!?
そんな名脇役を従えて
舞台で彗星のごとく光り輝き
名演技が見せるのが、
クリスティン・チェノウスと
ピーター・ギャラガーのお二人。
大袈裟な演技になりがちな
コメディを
軽妙に
コミカルに、
場の空気を感じながら、
また、先を読みながら
超パワフルに・・・・
また、チェノウスさまとギャラガーさまの
丁々発止のやりとりは名人芸!
予定調和な筋立てだけど、
スピーディな演出&名演
プラス楽しい楽曲に乗っちゃうと
ある意味とても心地よい。
安心して観ていられるってわけなのよ。
全体のレベルの高さと
バランスの良さが本作の強みだぁーね。
「旧き良き紐育」とか
「ブロードウェイの黄金時代」
なんて宣伝文句に
ビックンビックン、
ビュビュビュビュビューンって
感応してしまう
そこのアータは
お気に召すハズよ。
さて、本作を日本で上演するとしたら
主役のリリー・ガーランド役には、
並外れた度胸を買って
ええかげんいせいやー
人の車当てたらどんするんや
ゴラァァァァァァァ!!の
お品のよろしい
秘書をお持ちの
浪速のエリカ様
人生訓とメイクをしっかり勉強して登場頂きましょう!
上演は7月5日までの限定
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★
American Airlines Theatre
227 West 42nd Street
New York, New York 10036
今日日、政府の肝いりで「クール・ジャパン機構」
なんていう、政策が喧伝されるなど、
我が祖国ニッポンのいわゆる
ソフトパワーなるものが
取りざたされる事が多いが
和太鼓はまさに強力な伝統的ソフトパワー!
今や日本だけに留まらず アメリカ、
いや、ワールド・ワイド!
世界を回れば チケットは完売!
シルクドゥ・ソレイユに
引けを取らないインパクトで観客を圧倒
超人気エンタメとなった感あり!
そんな中、坂東玉三郎さま率いる
KODOワン・アース・ツアー2015~神秘
北米ツアーを2ヶ月もかけて
30都市で敢行されるというのだからスゴイ。
私の拝見したNY公演は、
マンハッタンから橋を渡った
ブルックリン地区にある
芸術の殿堂BAM、ブルックリン・アカデミー・ミュージック内の
ハワード・ギルマン・オペラハウス
余談だが、その劇場のアールデコ建築の優雅さと品格と言ったら、
ブロードウェイの劇場で一番美しいと言われる
「オペラ座の怪人」のマジェスティック劇場を凌駕!?
15名の精鋭で構成された鼓童
何よりも嬉しいのは、出演者がみんなセクシ〜って事!
男子は、アバクロのモデルを思わせるイケメン揃い!
いや、太鼓叩いている男達は、文句なしに美しいのさ。
女子は、上腕二頭筋モリモリの炎の体育会系?
鍛え上がられた体躯はご立派!
いや〜眼福眼福♡
見どころは・・
玉三郎さまの演出
太鼓と言えば、荒々しい男のイメージ
それが歌舞伎界のプリンス、玉三郎様の手にかかると
まさに歌舞伎の世界も・・繊細きめ細やか・・
ヴィジュアルでも楽しめる演出が随所に施されている
◎4頭の昇り龍踊り
チャイナタウンのしょぼい龍踊りしか知らない
ニューヨーカーも腰抜かす
.
◎リズム感
オフ・ブロードウェイの「STOMP」に負けないぞ
◎照明
照明へのこだわり感は半端ない!
ぶっちゃけ、金かかってそう。
そんな中、オモロかったのは
頭上からあかりを照らす"提灯あかり"
昭和の裸電球の温もり効果がぁ・・・
まるで提灯鮟鱇なのさー。
まーね、人間国宝、玉三郎様の演出で
舞台芸術の殿堂、BAMのお墨付きを貰った作品ですもの
ニューヨーク公演は満員じゃないはずがない。
.
.
が、しかーし
.
.
私的にインパクトは意外に欠けたのさ。
あえて苦言を二つ!
一つ目は、
声
上演中、役者達の声がない
無声って一体どゆこと?
声って、気
声って、威勢
声って、魂
無声によってより
太鼓の音を際立たせるという演出なの?
でも、要所要所では、発気揚々とかけ声くらいは欲しい!
腹に力を込めて発せられる「気合い」は
迫力のある太鼓演奏を
さらに印象づけるスパイスになったハズ。
さらに役者の声音を聴けば、
観客との距離もぐっと縮まったと思うのさ。
二つ目
衣装
ぶっちゃけ、若い衆の六尺ふんどしを、
漠然と期待していた私。
ガーン!!
全員ラメ入り黒のスパッツじゃあーりませんか!
体のラインが東芝のテレビ、ブラックストライプ
はっきりくっきりなのは悪かぁーなかったけれど。
やはり、観客の7割は、
六尺を待っていたのでは、玉様?
やっぱり、六尺と和太鼓は夫婦のような間柄・・・外せません。
これは何も私がゲイで
フンドシにフェティシズムをもっているとか、
そういう問題ではないのよ。
念のため・・・・
率直に言うと
セックスアピールは
あらゆる興業の重要なアトラクション!
玉様にはいろいろな思惑があったにせよ、
やはりアジア人女子に比べて
性的対象として
ほとんど顧みられる事の無い
アジア人男子の健全な色気を
「伝統」の名の下に世界に向けて発信する絶好の機会だったのに・・・
それを封印するなんて勿体なさ過ぎ。
一部だけでもキリリと締めた、いなせな素肌露出があったら
さらに観客の❤️鷲掴みだったにな、ア〜ア。
観賞後、地下鉄に飛び乗って
はたと気づいたこと・・・・
ショーの余韻が残っていなかった。
うーーん
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★
KODOの北米ツアーもいよいよ終盤戦
鼓童の公演も残す所2カ所
3月28日(土)アメリカ、アトランタ
3月29日(日)アメリカ、アセンズ
(両日とも残席僅かのようです)
さて、私事で恐縮ですが、
NYにお住まいの和太鼓ファンの皆様!
今年も、恒例の玉川大学芸術学部の太鼓と踊りが
ニューヨークにやって来まーす!
ほとばしる若人のエネルギーをビンビンに感じて下さい!
General Admission
Adults $20.00 advance / $30.00 at the door
Students, Children and Senirs $10.00 advance / $20.00 at the door
FOR TICKETS: 866-811-4111/www.theatermania.com
Contact:TOSHI Cappuccino/TKO Entertainment, Inc. 212-206-1878
Sponsor: IACE TRAVEL USA