4日水曜日、ニューヨーク市、マンハッタンの路上で、医療保険大手企業のCEO、最高経営責任者が、何者かに銃で撃たれ死亡しました。犯人は現在も逃走中ですが、警察では特定の人物を狙った計画的犯行とみて捜査を進めています。
4日、午前6時45分ごろ、マンハッタンのミッドタウン地区にあるヒルトンホテルの入り口前で、頭からフードを被った男が、歩道の男性に発砲する瞬間です。監視カメラの映像から、銃には消音器、サイレンサーが付いているとみられ、至近距離から発砲した事が伺えます。
ジェシカ・ティッシュ・ニューヨーク市警察署長
「あらゆる視点から見てこれは計画的な銃撃だったことが明白です」
警察によると、銃撃犯はホテル前で数分間待ち伏せしていた様子で、ホテルのドアの前で銃撃が始まると近くの女性が逃げていくのが確認できます。
ジョー・ケニー・ニューヨーク市警刑事部長
「最初は銃から弾が出ず、男は銃の詰まりをすぐ直して再び発砲し始めました。この一連の動きで男が銃器の扱いに熟練していると考えられます」
目撃者
「男は黒っぽい銃を持っていて、銃を撃ってすぐ通り横切り走り去ったよ」
撃たれたのは保険会社大手ユナイテッドヘルスのCEO、ブライアン・トンプソン氏(50)で、株主などの会合に出席するため、このホテルを訪れていました。トンプソン氏は、背中と足に複数の銃弾を受け、救急搬送されましたが、病院で死亡が確認されました。銃撃後、現場から走り去った銃撃犯は、少し離れた道路脇でシェアサイクル(自転車)に乗り、数ブロック先のセントラルパークの中に入った後、足取りが分からなく
なりました。複数の監視カメラの映像から、銃撃犯は、灰色か茶色のジャケットを着、黒いマスクにフードを被り、背中には灰色のバックパックを背負っていました。
警察では、大企業のCEOのトンプソン氏は、何らかの理由で命を狙われたとみていて、ユナイテッドヘルス本社のあるミネソタ州の司法当局がトンプソン氏に具体的な脅迫などがあったかどうかなど同僚や家族にも事情聴取を行っています。トンプソンさんの妻は、「私たちは、愛するブライアンが無惨に殺害されたことを知り、打ちのめされています。ブライアンは、愛情深く、寛大で、才能に恵まれ、人生を精一杯生き、多くの人の人生に影響を与えた人でした」とコメントしています。
5日木曜日夜の時点で、銃撃犯人はまだ逮捕されていませんが、警察では、新たな写真を公開するなどして捜査を進めています。ABCニュースの取材では、警察がすでに犯人の身元や足取りを掴んでいるとの情報もあります。
事件当日は、ほんの数ブロック先で、ロックフェラーセンターの恒例クリスマスツリー点灯式が行われましたが、この事件の発生により、ニューヨーク市警では、ホリデーシーズンの厳重警備に、さらに警察官を増員する厳戒態勢を敷き、点灯式は無事行われました。しかし先月の刺殺事件に続いて比較的安全な地域で公然と行われた殺人事件に街の安全に不安を感じる声が出始めています