トランプ大統領はアメリカの主要な貿易相手国であるカナダ、メキシコからのほぼ全ての輸入品に25%の関税を、中国からの輸入品には合計20%の追加関税を課す措置を発動しました。各国は反発し、アメリカからの輸入品に報復措置を取る騒動となりました。しかしその、たった2日後にトランプ大統領はメキシコとカナダについて多くの関税を1ヶ月延期すると発表、株式市場を含めて混乱が生じています。
トランプ大統領は4日(火曜日)、カナダとメキシコからのほぼ全ての輸入品に対して25%の関税を発動しました。また、中国からの輸入品に対しては、2月から課していた10%の追加関税を20%に引きあげました。カナダ、メキシコ、そして中国も対抗措置として、 アメリカからの輸入品に報復関税を課すとし、カナダのトルドー首相は4日(火曜日)、強い口調でアメリカを非難。報復関税を発表しました。
「アメリカは最も近いパートナー、同盟国、そして友人である
カナダに対して貿易戦争を仕掛けてきました。」
「カナダ人は理性的で礼儀正しい国民ですが
国が危険にさらされれば
その戦いから引き下がることはしません。」
「(トランプ大統領)あなたは賢い人ですが、
やっていることは愚かだ」
メキシコのシェインバウム大統領も4日(火曜日)、独自の報復関税で対抗するとしました。
メキシコ
クラウディア・シェインバウム大統領
「協力関係については話し合いますが、
服従することはできません。」
「メキシコ国民と国家に影響を与える
この措置の根拠となる動機や正当性はありません。」
しかし、5日(水曜日)、ホワイトハウスは自動車に関連する製品への関税についてのみ1か月の猶予期間を設けると発表。その翌日、6日(木曜日)にはメキシコとカナダ両国の25%関税を一部、1ヶ月延期すると発表。自身が打ち出した関税措置をたった2日で大幅修正する形となりました。
アメリカのビッグスリー、3大自動車メーカーもトランプ関税を受けて大統領に猶予を要請していました。関税が実行された場合、自由貿易協定のもと、アメリカ、カナダ、メキシコの北米3カ国が共に成長させてきた
自動車産業への大きな打撃となることが予想されています。
カナダからの安価な鉄鋼とアルミニウムを使用し、メキシコの低コストの労働力で、自動車を組み立て、アメリカのハイテク専門知識と技術を活用することで、競争力を高めてきた自動車産業。関税によって、車両価格の高騰、サプライチェーンの停滞、雇用の減少、車両販売の低下といった悪循環が起きると専門家は指摘しています。
アメリカの車両評価会社 ケリー・ブルーブックは、発表されてる関税が発動されればアメリカの平均新車価格は現在のおよそ4万9000ドルから
3000ドル以上上昇。一部のフルサイズピックアップトラックの価格は
1万ドル値上がりする可能性があるとしています
中国への追加関税はいまのところ変更はなく中国政府も報復措置として、 3月10日からアメリカ産の鶏肉、小麦、トウモロコシなどに15%、
大豆や牛肉、水産物などに10%の追加関税を課すとしています。
今回のトランプ関税が全て発動されれば、 アメリカ国内における家計負担増加は年間最大で2,000ドルに及ぶとの予測も出ています。 友好国への突然の大型関税発動後にたった2日で大幅修正の結果6日(木)の株式市場は下落。こうした予測不能な動きに世界のアメリカに対する信頼失墜を心配する声もあがっています。