トランプ大統領はかねてから繰り返し訴えてきた教育省の解体に向けてあらゆる措置を取るように命じる大統領令に署名しました。マクマホン教育長官は、省が担ってきたプログラムは州や他の省庁に移すとしています。
トランプ大統領は20日(木曜日)、保守派から長年要望が出されていて、自身の公約にも掲げてきた教育省の廃止に向けて、「必要なあらゆる措置」を取るよう教育長官に命じる大統領令に署名しました。トランプ大統領は、教育省には無駄が多く、リベラル派の偏った思想に汚されていて、人種や性別についての考え方を押し付けていると度々非難してきました。
ドナルド・トランプ大統領
「教育を本来あるべき州に戻します
それぞれの州は子どもたちを取り戻し
個々にあった教育をしたいと願っているはずです
これからは半分のコストで
教育は何倍も良くなるでしょう 」
教育省の廃止には議会の承認が必要ですが民主党は反発しており、完全な廃止ではなく、大幅な縮小に向けて州や一部、他の省庁に権限を移行する措置を進めるとしています。21日(金曜日)、マクマホン教育長官はニュース番組のインタビューで、連邦規制を撤廃する準備を進めており、教育省の完全な廃止については「明日すぐには実現しない」が、道を開くつもりだ、と話しました。
リンダ・マクマホン教育長官
「大統領は子供たちの教育を改善したいのです
ワシントンの官僚的な組織を通さずに
多くの教育予算を州に還元することが
私たちの計画であり目標です 」
現在、基本的な学校教育は各州に委ねられており、州がそれぞれの教育方針・制度に基づいて統括しています。これに対し、教育省は全米レベルでの平等な教育確保のため、低所得者、障害者、特別支援学生に向けた プログラムへの給付、そして学生ローンなどを管理しています。
大統領は、障害のある学生に向けたプログラムは保健福祉省に移し、学生ローンは中小企業庁が扱うとして、「これまでよりも はるかに良いサービスを受ける」と話しています。低所得家庭の学生を対象に支給している返済不要な奨学金「ペル・グラント」は縮小されると見られています。
教育省職員は、Doge政府効率化省が主導する人員削減の対象になっており、すでに半数が解雇や有給休暇扱いになっています。また、中小企業庁も半数近い職員を対象に解雇が進められており、およそ1兆6000億ドル(235兆3200億円)に膨らんでいる
巨額の連邦学生ローンを管理できるか疑問視されています。
民主党議員からは「トランプ大統領の最も破壊的な行動の1つ」で「アメリカの公的教育を破壊しようとしている」と非難の声が上がっています。
政府組織を解体・縮小し「小さな政府」を目指すトランプ大統領が就任後、真っ先に解体を進めたUSAID国際開発庁の対外支援停止により、海外では大きな影響が出始めています。
エイズ対策を担う国連合同エイズ計画のウィニー・ビヤニマ事務局長は24日(月曜日)、アメリカからの支援の再開、または、他の国から代わりとなる資金が確保されない場合にはエイズに関連する死者は世界で2023年の63万人から今後4年間で10倍以上の630万人に増加する恐れがあると発表しました。
国連合同エイズ計画
ウィニー・ビヤニマ事務局長
「米国の資金援助が突然打ち切られ
多くの診療所が閉鎖されています
看護師、医師、検査技師、薬局職員など
何千人もの医療従事者も解雇されました 」
トランプ政権は発足直後の1月20日にUSAIDを通して行ってきた多くの対外援助について3ヶ月間、資金を凍結しましたが。そのまま4月には援助を終了すると見られています。
27日(木曜日)トランプ政権はロバート・ケネディ・ジュニア氏が長官を務める
保健福祉省で2万人の政府職員削減を発表しており傘下にあるCDC疾病対策センター、FDA食品医薬品局、NIH国立衛生研究所などが影響を受けることになります。政府の効率化は着々と進められています。