トランプ政権は5日(土曜日)から全ての輸入品に対して一律10%の関税を課し、9日(水曜日)から貿易赤字が大きい国と・地域を対象に異なる税率を上乗せする「相互関税」を発動しましたが発動から13時間で撤回。中国以外について90日間の延期を発表しました。更なる関税措置により国内の生産者や一般消費者の間では物価上昇への不安が高まっていたところで発動撤回のニュースが流れ株価は急騰する事態となりました。しかしその後、中国への関税を145%にするとし10日の株価は1000ポイント以上下落の乱高下。アメリカも世界も振り回されています。
トランプ政権は9日(水曜日)、貿易赤字が大きいおよそ60の国や地域を対象にした「相互関税」を発動しました。 中国34%、台湾32%、韓国25%、日本24%、そして欧州連合(EU)には20%の関税がかけられました。しかし発動からたった13時間後に報復措置をとらなかった国に対し、「相互関税」の90日間停止を発表。一律10%の関税は維持するとしています。
報復措置を発表した中国にのみ新たな関税を発動。今年初めから20%の関税を課していましたが、中国が報復措置に踏み切ったことへの対応として50%を追加。9日以降は104%になると見られていましたが、10日(木曜日)トランプ大統領がソーシャルメディアに125%に引き上げると投稿。その後、さらにホワイトハウスが中国への関税が少なくとも145%になると表明し1日で90%以上関税が急上昇しました。他の国についても一時停止されたとはいえいずれは広い範囲の国と製品に発動される相互関税に国内では物価の上昇が懸念されています。代々ミズリー州でトウモロコシや大豆、小麦を栽培し、牛を育てる農家を営むのカゲイさんは関税による影響で、今後の農作業に必要な経費の高騰などによる。業績悪化に不安を感じていると言います。
農家 ブライアント・カゲイさん
「農業機械やその部品、農薬、肥料の価格が
今後どうなるのか心配しています 」
アメリカが生産する主要な農産物は大豆やトウモロコシ、小麦、牛肉、鶏肉で、長年に渡り、中国が重要な輸出国です。その中国は、一連の関税政策に対抗し、アメリカからの全ての輸入品に対して34%の追加関税を課す報復措置を発表しています。中国国内ではアメリカ産 農作物の価格が大幅に上昇するとみられ、買い付け先を ブラジルなどに切り替える動きが見られるということです。
農家 ブライアント・カゲイさん
「市場で評価される良質な製品を生産しています
政府に邪魔されずに 必要とされる場所で
その価値のある場所でによって製品を販売したいと願っています」
一連の関税政策による金融市場の混乱は年金生活を送る高齢者の生活も直撃しています。
年金で生活する
デイブ・マイルスさん
「この2日間で株価が8%下落しました
(貯蓄は)10万ドルくらい減ったかな
破産することはないと思うけど心配だよ 」
アメリカで老後を迎える人の多くは公的年金:ソーシャルセキュリティーと、それを補う個人運用型年金:401KやIRA、個人退職勘定によって年金資産を投資運用し 月々、年金を受給します。株式や債券といった金融商品の価格下落は投資運用で老後の生活費をまかなう年金生活者にとって資産が減少することを意味します。
年金で生活する
エディ・エロエさん
「政権には庶民の生活が見えていない
関税によって年金生活者の生活がどうなるか考えていない」
トランプ政権の高官はトランプの相互関税のおかげで世界の国々がアメリカとの
交渉に殺到しているとして90日後の結果を楽しみにするようにと語っています。