ニュージャージー州にある先月28日、通信システムの不具合で管制塔と離着陸する飛行機との連絡が一時途絶えるという重大なトラブルが発生していたことが明らかになりました。その影響で空港では遅延とキャンセルが相次ぎ1週間以上混乱が続きました。
先月28日、ニューアーク・リバティー国際空港に離着陸する飛行機をコントロールする管制塔で通信システムにつかわれている銅線に不具合があり報道によるとおよそ60秒から90秒、音声の通信が途絶え飛行中の 飛行機の位置を知らせるレーダー装置のディスプレイ画面が消えたということです。
これにより空港の離着陸便が混乱しました。さらに、この事態を受けて空港管制官の5人に1人がトラウマ休暇を取りキャンセル便と遅延が一気に 増加ました。
もともと、全米の管制塔で人手不足が深刻な問題でニューアークをハブ空港とするユナイテッド航空は、この状態では予定されている便数の運行は不可能だとして2日(金)、事態が改善されるまで1日35便をキャンセルすると発表しました。
実際、ニューアークでは1週間以上が経過した6日(火曜日)まで1日100以上のキャンセル便が発生しています。 原因としては、全米における管制官の人手不足に加えて資金不足によるインフラの老朽化が指摘されています。さらに3本ある滑走路のうち1本が工事中で使用できないこともダイヤの乱れを雪だるま式に悪化させました。
シューマー上院院内総務は5日(月曜日)会見で様々な原因が挙げられる中、ドージュ:政府効率化省による FAA連邦航空局の人員削減も事態を悪化させる要因の一つとしてあげています。
ニューヨーク選出民主党
チャック・シューマー上院議員
「FAAが悲惨な状態にあることが要因である
詳細かつ深い調査が必要です
航空会社はフライトをキャンセルし管制官らは警告している
いまだ1990年代の技術を使っており
安全が脅かされている
要因の一つは銅の配線が焼けたことです
2025年になぜ光ファイバーではなく銅配線を使っているのか?」
このように述べ、監察総監室にニューアークの空港を含め東海岸の空港について徹底的に調査するよう要請したことを明らかにしました。
ダフィー運輸長官は深刻な人手不足解消のため定年前に退職する職員を減らすことを目的に相応のボーナスを支給することを発表しました。
ショーン・ダフィー運輸長官
「現在、3000人ほど管制官が不足しています
空域を管制するには十分ですが残業が非常に多いです
管制官のストレスレベルは高く
人数を増やす必要があります」
また、FAAのクリス・ロシュロー長官代行はトラブルがあった管制塔の捜査を行っており通信不能になった原因の究明と今後同じような事態が起こらないよう銅線を廃止して光ファイバーを取り入れ、バックアップシステムを配置するなど改善策を発表しました。しかし専門家はいずれも時間がかかるもので早急な対応が求められているとしています。(27")
空港管制官の仕事は人の命を預かる中集中力と多くの情報を素早く分析し、正しい判断を下す瞬発力が必要で定年退職は現在56歳に設定されています。多くの空港が1日24間運営で夜勤や泊まり勤務もある中人手不足で長時間労働が強いられています。加えて人命を抱えるストレスでその多くが定年をまたずに辞めていくそうです。運輸長官は、まずはこれを食い止めるためにボーナスを支給するとしていますが職場環境の改善も必要なのではないでしょうか。