ラッパー、音楽プロデューサー、実業家などとして活躍し、アメリカの音楽業界で最も成功した人物の1人と言われるショーン・コムズ被告の裁判が始まりました。コムズ被告は、性的人身売買や恐喝など5つの罪に問われています。
ショーン・コムズ被告は、グラミー賞を3回受賞し、フォーブス誌の「世界で最も稼ぐセレブ100人」の首位になるなど、およそ30年間アメリカの音楽業界に君臨してきました。
しかし、2023年11月、コムズ被告の元恋人で歌手のキャシー・ベンチュラさんが、長年暴力や性的暴行を受けてきたとしてコムズ被告を提訴。この時は2000万ドルで和解しましたが、その後、同様の告発が相次ぎ、去年3月には連邦捜査官がコムズ被告の自宅を捜索しました。コムズ被告は9月に逮捕され、強制や詐欺による性的人身売買や恐喝などの罪で起訴されました。
全ての罪状で無罪を主張するコムズ被告は司法取引を拒否して裁判へ。今週から証人尋問が始まり、13日火曜日には検察側の最重要証人で、10年以上被告と交際していたベンチュラさんが証言台に立ちました。
AP記者
「ベンチュラさんは 最初は魅力的で
世界中に旅行に連れて行ってくれた被告が
そのうち暴力的で
支配的になったと証言しています
ベンチュラさんは、この裁判の1つの鍵と目される「フリークオフ」と呼ばれる性行為について証言。「フリークオフ」とは、性労働者などを呼び、多くが薬物の影響下で行われるコムズ被告主導のわいせつ目的のパーティーで、被告と交際を始めて間もない22歳の時からこの行為に参加させれたとしています。
コムズ被告はベンチュラさんと他の男性などとの性行為に細かく指示を出し、観察したり、動画を撮るなどしていて、「フリークオフ」は4日間続いたこともあるといいます。被告と交際を始めるまでは性的な経験はあまりなかったと振り返るベンチュラさんは、「フリークオフ」に誘われた時、拒否できるとは思わなかったと語り、服装からキャリアに至るまで全てを被告に支配され何も言うことはできなかったと証言しました。
検察側は、コムズ被告がホテルの廊下でベンチュラさんに暴行を加える様子が映った防犯カメラ映像を提示。ベンチュラさんはこれについて、「フリークオフ」から逃げようとした時のものだとしています。また、被告の数々の暴行についても証言。心的外傷後ストレス障害を患ったというベンチュラさんは、コムズ被告が暴力的になる頻度を聞かれ「かなり頻繁だった」と答えています。
裁判ではこの他、雇われて「フリークオフ」に参加した男性や、ベンチュラさんが暴行を受けた際にその場に駆けつけた 当時のホテル警備員の男性などが証言しています。
コムズ被告の裁判は2か月は続くと見られていて、有罪になれば少なくとも15年の禁錮刑、最大終身刑が科せられるということです。