テキストメッセージを間違った人に送ってしまったという経験は多くの人にあると思いますがその内容が軍の国家機密ともなると話が違います。トランプ政権の高官らがイエメンの親イラン民兵組織フーシ派への空爆作戦を事前に話し合っていた通信アプリのグループチャットに誤って雑誌の記者が加えられ情報が漏れていたことが明らかになりその全容が26日(水)に公開されました。
ワシントンD.C.を拠点とする雑誌アトランティックのジェフリー・ゴールドバーグ記者によると11日(火曜日)国家安全保障担当のウォルツ大統領補佐官から通信アプリ「シグナル」のメッセージリクエストがきたので承認したところ数日後、グループチャットに招待されたということです。そのグループチャットにはウォルツ氏、バンス副大統領、ヘグセス国防長官など政府高官18人が参加していてフーシ派空爆計画の武器、標的地点、攻撃手法など詳しい軍事行動についての事前の話し合いが行われていました。ゴールドバーグ記者は当初、これはニセのグループチャットで何者かが自分を騙そうとしていると思ったということです。
しかしこのチャット上で『2時間後にフーシ派への空爆が始まる』という話になり様子を見ていたところ本当に2時間後に空爆が始まったことで記者はそれが本物の政府高官らの会話だと確信。軍事情報が事前に一般人である雑誌記者に漏洩したことに加えて
軍の空爆計画が特別なセキュリティのない民間の通信アプリでやりとりされていたことなどが問題になっています。
英国王立防衛安全保障研究所
ニール・メルビン国際安全保障担当ディレクター
「アメリカの高官が当然の安全対策を無視している状況に驚きます
軍の行動についての情報漏洩は米軍兵にも影響をもたらします
知らずにジャーナリストを招待してしまったのはまるで初心者です
コメディーさながらですがとても深刻な影響をもたらしかねません」
グループチャットに参加していたヘグセス国防長官はチャットの内容に機密情報はなかったとしています。
ピート・ヘグセス国防長官
「詐欺師的な信用のない自称『ジャーナリスト』で
虚偽情報を言いふらしている人間だ
だれも戦争の計画をテキストしていない
それだけだ」
25日(火曜日)には上院公聴会でチャットのメンバーであったラトクリフCIA中央情報局長官やギャバード国家情報長官らが機密情報の取り扱いなどについて厳しい質問を浴びせられました。その中でラトクリフ長官もギャバード長官もチャットで話し合われたとされる情報は機密情報ではないと証言しました。
ジョン・ラトクリフCIA中央情報局長官
「空爆の攻撃計画や投下地点など国防総省関連の情報が
機密情報かどうかは国防長官 が決めることです
国防長官 がメディアに機密情報ではないと発言しています
したがって機密情報ではありません」
ジャック・リード上院議員(民主党)
「事前に 国防長官が機密扱いを解いたことを知っていましたか」
ジョン・ラトクリフCIA中央情報局長官
「いいえ」
26日(水曜日)雑誌アトランティックの記事でチャットの内容が全て公開されそこには攻撃の前に空爆の具体的な内容と開始時間など敵の手に渡ればアメリカ軍兵士の命にかかわる情報が記されていました。
しかし、トランプ大統領は26日(水曜日)深刻な事態に対する政権の過小反応を指摘した記者団に対しこれは大した問題ではないとの見解を繰り返しました。
ドナルド・トランプ大統領
「過小反応はしていない
メディアが過剰反応しているんだ
これは魔女狩りだ」
「あの夜の空爆は信じられないほどの大成功で
(漏洩による)危害はなかった」
チャットの内容は機密情報ではなく、大した問題ではないというのがトランプ政権の見解でFBI連邦捜査局も捜査を開始する気配を見せていません。このグループチャットにはEUヨーロッパ連合を「役立たず」「たかり屋」などと揶揄している場面もあり信頼関係がさらに悪化する可能性もでてきています。トランプ大統領は26日(水曜日)アメリカに輸入されるすべての自動車に25%の追加関税を4月3日から課す文書に署名しておりカナダとメキシコはもちろんEU、韓国、日本などこれまでの友好国との信頼関係が崩れることが懸念されています。