トランプ大統領が「報復」の一環として司法省に「政敵」であるコミー元FBI長官とジェームズ・ニューヨーク州司法長官の起訴を指示した裁判でトランプ氏に打撃となる判断が下されました。
24日(月曜日)バージニア州連邦地裁は、偽証罪などに問われたジェームズ・コミー元FBI連邦捜査局長官と詐欺罪に問われたレティシア・ジェームズ・ニューヨーク州司法長官の起訴を無効としました。トランプ大統領の指示で2人を起訴したリンジー・ハリガン暫定連邦検事の任命そのものが違法だったとの判断です。
コミー氏とジェームズ氏の起訴については捜査を行なっていた当時の臨時の検察官が、起訴に値する証拠がないと判断したことで9月にトランプ大統領によって退任を余儀なくされました。
その代わりに司法省が暫定検事として任命したのが、検察官としての経験が全くないハリガン氏です。裁判所はハリガン氏の任命は通常の手続きを踏まず違法だったとして、ハリガン氏が提出した起訴を全て無効にした形です。
キャロライン・レビット報道官
「リンジー・ハリガンは合法的に任命されたと政権は考えています
裁判官は明らかにジェームズ氏とコミー氏をかばい
起訴を却下するという前代未聞の判断を下しました」
コミー元FBI長官は、2016年の大統領選にロシアが干渉していたことにトランプ陣営が関わっていたかどうか、いわゆる「ロシアゲート」の捜査にあたったことで大統領に長年「政敵」として攻撃されてきました。ハリガン氏はコミー氏が2020年の上院司法委員会で虚偽の証言をしたとして起訴。コミー氏は無罪を主張しています。
ジェームズ、ニューヨーク州司法長官は2020年に購入した物件について投資物件ではなく別荘だと申請したのは住宅ローン詐欺だとして起訴されています。ジェームズ氏はトランプ大統領の個人事業を相手取った訴訟で勝訴しており攻撃の対象とされていました。ジェームズ氏も無罪を主張しています。
AP通信
エリック・タッカー記者
「コミー氏とジェームズ氏の起訴は無効とされましたが
この件が終わったわけではありません
司法省は即座に上訴するとしています」
控訴のほか、司法省が別の検察官を立てて再起訴を求める可能性もありますが、コミー氏の件は時効が成立していて司法省は何らかの対策を迫られることになります。
コミー氏とジェームズ氏はこの他にも、彼らが起訴されたのは大統領が司法省を武器に使って「政治的な報復」を行なっているものだとして起訴取り下げを求めています。