2019年に性的虐待などの罪で起訴され、勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告の事件をめぐり、司法省は「エプスタインファイル」と呼ばれる事件に関する文書の公開を始めました。
エプスタイン事件の文書公開をめぐっては、先月上下両院が司法省に公開を義務付ける法案を可決し、トランプ大統領の署名で成立していました。これにより、司法省は法案が成立した先月19日から30日以内に、エプスタイン事件に関するすべての文書や勾留中に死亡した際のあらゆる捜査情報を公開することが法律で定められました。
しかし公開期限の今月19日金曜日、司法省が公開したのは、エプスタイン元被告に関する数千件の文書にとどまりました。公開された文書のおよそ80パーセントは、ニューヨーク市やバージン諸島の島にあった元被告の自宅をFBI・連邦捜査局が捜索した際の写真で、マイケル・ジャクソン氏やミック・ジャガー氏など、著名人の写真が含まれています。
また、エプスタイン元被告をホワイトハウスに招いたこともあるビル・クリントン元大統領の写真が多数あるのに対し、同じく元被告と親交があったことで知られるトランプ大統領の写真は、すでに公開されている数枚にとどまりました。
その他、通話記録や大陪審の証言、尋問記録などの文書も、多くの部分が黒塗りにされ、新たな情報をもたらすような重要なものはなかったということです。 ABCニュースは情報筋の話として、期限までに公開された文書は全体の半分にも満たないと報じました。
AP通信記者
「ホワイトハウスはファイルの公開を大々的に宣伝し、民主党政権下では見られなかった透明性の確保だとしていますが、民主党は、開示が義務付けられたすべてのファイルが公開されていないことに激怒しています。」
法で定められた期限を迎えてもすべての文書を公開しなかったことについて司法副長官は、被害者保護の観点から文書を精査しながら手続きを進めているためさらに時間が必要だと説明。政権は最終的には義務を果たすとしています。しかし下院の超党派議員は、法律を遵守しなかったとしてボンディ司法長官を議会侮辱罪で訴えると発表し、上院でも司法省に対して法的措置を開始するよう求める決議案が提出されています。
23日火曜日、司法省はさらに3万ページ分の文書を公開。その中には、トランプ大統領がエプスタイン元被告のプライベートジェット機に複数回搭乗していたことについて書かれているEメールなど、トランプ大統領に言及しているものも多数含まれているということです。
また、24日にはエプスタイン事件に関連する可能性のある文書100万件以上を発見したと発表。その膨大な資料を精査して公開するにはさらに数週間かかる可能性があるとしています。
公開された一連の文書の中には、1996年、エプスタイン元被告の当時の従業員が児童ポルノに関してFBIに通報した際の報告書も含まれていました。この元従業員は警察とFBIの両方に通報したと主張し続けてきましたが、FBIはこれまで、その主張について確認することも認めることもしていませんでした。なかったといいます。
元従業員の弁護士 ジェニファー・フリーマン氏
「被害者自身だけでなく、関わるすべての人々、愛する人々や接点のある人、社会生活を送る能力にも影響を及ぼし 数千もの人生に影響したのです もし彼らがただ職務を全うしていればその数千人の人々を救えたはずですし、30年にわたるトラウマを避けられたはずです。」
エプスタイン元被告が初めて逮捕されたのはこの通報の10年後でした。議会の民主党指導部は、この通報がなぜ捜査に繋がらなかったのか、その経緯についても調査する必要があるとしています。