『スタンド・バイ・ミー』や『恋人たちの予感』など数々の名作を世に送り出した映画監督、ロブ・ライナーさんと妻がロサンゼルスの自宅で死亡しているのが発見されました。容疑者としてライナーさんの息子が逮捕され、ハリウッドの巨匠の悲劇的な最期に全米が衝撃を受けました。
14日(日曜日)午後3時40分ごろ、娘のロミー・ライナーさんからの通報を受け、ロブ・ライナーさんの自宅に駆けつけたロサンゼルス市警察は男女2人が死亡しているのを発見。検死の結果、ロブ・ライナーさんと妻でフォトグラファーのミシェル・シンガー・ライナーさんだということが明らかになりました。
2人の遺体にはナイフによる刺し傷があり警察は殺人事件として捜査を行い、夜9:15ごろライナーさんの次男、ニック・ライナー容疑者(32歳)を殺人容疑でロサンゼルス市内で逮捕しました。ニック容疑者はこの家の離れにあるゲストハウスで暮らしていました。
ロサンゼルス郡
ネイサン・ホックマン地方検事
「2件の第一級殺人などで訴追します
これらは最大、仮釈放なしの終身刑または死刑となります」
事件前日にはロブさんとニック容疑者が知人宅で行われた年末ホリデー・パーティーに出席し、そこで激しい口論をしていたのが目撃されています。その言い争いが事件に関連しているかどうかは不明ですがロブさんとミシェルさんが刺殺されたのは翌、日曜日の朝早い時間だったということです。
ニック容疑者は10代のころから薬物依存症に苦しみ19歳までリハビリ施設への入退所を繰り返していたとメディアなどで自ら語り、その後は路上生活も経験したとしています。ニック容疑者は2015年に自身の依存症などを題材にした映画「Being Charlie」の共同脚本を手掛け父親のロブさんがメガフォンを取る、父と子のコラボ作品が話題となりました。
ロブ・ライナーさんは俳優としてエミー賞助演男優賞を2度受賞するなど活躍したあと、制作にまわり、監督・脚本家・プロデューサーとして多くの名作を世に送り出しました。その功績は高く評価され同じく俳優で作家・監督だった父親のカールライナーさんにつづいて1999年にはハリウッドのウォークオブフェームにその名を連ねました。同時に政治活動家としても有名でトランプ大統領について痛烈に批判することもありました。
ハリウッドの人気監督とその妻が息子に殺害されるという悲劇に全米が衝撃を受ける中、トランプ大統領は自身のSNSに、ロブさんが周囲から怒りを買ったことが原因で殺されたとコメントし、物議を醸しています。
これについては共和党内からも非難の声が聞かれましたが、トランプ大統領はその後の会見でも同様のコメントを繰り返しました。
ドナルド・トランプ大統領
「嘘だとわかっていたらしいが
私がロシアの友人で操られていると
全く逆のでっちあげを言いふらした人の一人だ
錯乱した状態で仕事面で自滅したと思う
「トランプ錯乱症候群」だよ
我が国にとって非常に悪い存在だった」
17日(水曜日)ニック・ライナー容疑者が法廷に初出廷しました。
ニック容疑者の弁護士が法廷に到着するとメディアがコメントを求めて詰めかけごった返しましたがコメントはありませんでした。 裁判では弁護側が次の審理を来年1月7日に延期するよう求めただけですぐに終了しました。
ニック容疑者の弁護士はハービー・ワインスタイン受刑者やケビン・スペイシーさんなどの弁護を担当し。そして最近では、警察官の夫を殺害した罪で起訴されていたカレン・リードさんの裁判では無罪を勝ち取るなど、注目度の高い裁判で活躍しています。