アメリカ議会では、先週20日金曜日に、つなぎ予算の修正法案が可決され、懸念されていた政府閉鎖、シャットダウンがとりあえず回避されました。この法案成立が、ギリギリの期限まで合意に至らなかったのは、トランプ政権の閣僚に指名されている実業家イーロン・マスク氏が、超党派で合意した繋ぎ予算案に、強く異議を唱えたことが混乱の原因とも言われています。
次期政権では、行政の無駄と歳出カットを図る「政府効率化省」のトップに起用される実業家のマスク氏は、先週17日に超党派で提出したつなぎ予算の内容に対して、「法案を葬り去れ!」と投稿。「法案が通るくらいなら、政府閉鎖の方がましだ」などと批判しました。この投稿により、下院議会では修正法つなぎ予算案への賛否が分かれ、急遽何度も内容の修正を行うなど、事態が紛糾しました。
ローザ・デラウロ下院議員(コネチカット州・民主党)
「国民の誰も投票していない、ただの大富豪の命令で議会が混乱に陥った」
混乱の末、成立した法案は、来年3月14日までつなぎ予算を延長すること。そこには、従来バイデン政権で続けてきた災害援助や農家への支援になどに数十億ドルの政府資金を費やすことは、盛り込まれました。しかし、超党派で合意したはずの医療と経済に関する数十件の法案は除外されました。同時に、マスク氏とトランプ氏が要求していた政府の債務上限引き上げおよび撤廃についても削除されています。
共和党議員の1人は、「アメリカでは存在しない、『首相』にマスク氏がなったかのようだ」とマスク氏の強い介入に苦言を呈しています。トランプ氏が、マスク氏を自分の後継に考えているのでは、という噂も広がっています。
ドナルド・トランプ次期大統領
「彼は大統領にはならない、私は賢い人が周りにいるのが好きなんだ。大統領の椅子は獲られないさ、なぜか?マスク氏はアメリカ生まれじゃないからな。ハハハ。」
トランプ氏は、政権移行後の新政策について、パナマ運河の返還を求める可能性にも言及するなど、大胆な構想を広げています。
ジョン・カーティス上院議員(共和党・ユタ州)
「トランプ次期大統領が、経済や外交の問題など、アメリカが抱える困難な問題に取り組むのであれば支持するが、私にも自分なりの政策がある ただ従うだけの政治家ではない」
トランプ氏の斬新な改革の支持者も多くいますが、その大胆すぎる構想に、警鐘を鳴らす国民も少なくありません。