DOGE・政府効率化省を設置し、各省庁の再編や歳出削減を推し進めてきたトランプ政権。先週にはアメリカの外交の要となる国務省で大規模な人員削減が行われました。
アメリカの主要メディアは11日金曜日、国務省が1300人以上の職員の解雇を始めたと報じました。
解雇通知が出されたのはアメリカ国内に勤務する職員1,107人と、外交官246人で、外交官は直ちに120日間の休職となったあと正式に解雇。国内の職員はほとんどの場合、60日間の退職準備期間が与えられる設けられるということです。
通知には、「外交上の優先事項に注力するため、国内業務の効率化を図る」として、人員削減は、中核ではない事業や重複している部署、役割や責任を一本化することで大幅な効率化が見込める部署に適用されるよう慎重に調整した」と書かれていたということです。
11日(金曜日)、ワシントンDCの国務省本部 前では、民主党議員や元国務次官なども参加して、大規模な解雇に対する抗議集会が行われました。
民主党 スハス・スブラマニヤム下院議員
「外交はすべてのアメリカ国民の繁栄を意味します。今日解雇される人々には仕事を続ける権利があります。解雇通知を受けるべきは大統領で、彼らではない」
ウズラ・ゼヤ元国務次官 現人権団体CEO
「ルビオ長官による1,300人以上の献身的な公務員への残酷で不当で前例のない解雇はアメリカの外交を破壊し、我々の安全を脅かすものです 」
トランプ政権は、外交の再構築を推進するとともに、連邦政府の規模縮小に取り組んできました。自主退職も勧めてきたため、今回解雇された職員と自主退職者を合わせると、およそ1万8000人の国務省職員のうちおよそ3000人が削減されることになります。
トランプ大統領やルビオ国務長官は、国務省の無駄をなくし、より機敏で効率的にするために必要な措置だとしていますが、現職の外交官や元外交関係者は、このような削減はアメリカの影響力を弱め、現在の国際的な脅威や今後起こりうる脅威に対抗する力を弱めるものだと批判しています。
このような大規模な人員削減とあわせて、トランプ大統領は、省庁自体の解体にも着手していて、US AID国際開発局や教育省が対象になっています。
マサチューセッツ州の連邦地裁は今年5月、教育省解体の大統領令の停止と、職員の解雇を撤回させる命令を出しましたが、14日月曜日には、この地裁の命令を最高裁判所が取り消す判断を下していて、教育省の職員1400人の解雇と、他の機関への業務の委託がまもなく開始されると見られています。