サウジアラビアのムハンマド皇太子が訪米し、ホワイトハウスで歓迎式典が行われました。アメリカへの巨額投資など、両国の結びつきの強化を思わせる発表が次々とされる中、皇太子の関与が疑われているジャーナリスト殺害に関してのトランプ大統領の発言が波紋を呼んでいます。
18日火曜日、ホワイトハウスでは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子を歓迎する盛大な式典が行われました。
ムハンマド皇太子の訪米は、2018年、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がトルコのサウジアラビア総領事館で殺害される事件が起きて以降初めてです。 CIA・中央情報局は、国の情報機関に絶対的な支配力を持っていたムハンマド皇太子の承認なしにカショギ氏殺害のような計画が実行されるとは考えにくい、と結論づけていました。アメリカとサウジアラビアの関係はこの事件を受けて悪化しましたが、トランプ大統領は、今後数十年の中東情勢を形作る上で皇太子は欠かせない存在だとし、支持を強めています。ムハンマド皇太子のホワイトハウス訪問で は、戦闘機による歓迎フライトが行われ、華やかな晩餐会が催されるなど友好ムードに包まれました。
ホワイトハウス執務室で行われた会談でムハンマド皇太子への称賛の言葉を繰り返したトランプ大統領は、サウジアラビアがアメリカに巨額の投資をすることで合意したと発表しました。
ドナルド・トランプ大統領
「アメリカへの6000億ドルの投資に同意できたことに感謝します 彼は友人なので1兆ドルに増やしてくれるかもしれないけど、それは交渉しないとね 」
また、アメリカがサウジアラビアにF35ステルス戦闘機を売却する方針や、サウジアラビアをNATO北大西洋条約機構非加盟の主要同盟国に指定することなども明らかにされています。
会談では、記者がカショギ氏殺害について皇太子に質問する場面もありました。その質問を遮るように終わらせたトランプ大統領は、カショギ氏を批判し、記者への不快感をあらわにしました。
記者「米国情報機関は、あなたがジャーナリスト殺害を画策したと結論付けました。9.11の遺族は、あなたが大統領執務室にいることに激怒しています。なぜアメリカ国民はあなたを信頼すべきなのです?大統領 あなたもです。 」
ドナルド・トランプ大統領
「どこの記者? (記者:ABCニュースです) ABCフェイクニュース 業界最悪の1つだ/この男性は、素晴らしい仕事をしてきた。君は非常に物議を醸した人物のことを言っている。多くの人が嫌っていた人物だ。好きであれ嫌いであれ事は起きたが、彼は何も知らなかった。それでいいだろう。そんな質問でゲストに恥をかかせないでくれ」
アメリカメディアの取材に応じたカショギ氏の妻ハナンさんは、トランプ氏の発言にショックを受け、失望したと語ります。
ハナン・エラトル・カショギさん
「記者に対するあの反応はまるで第三世界にいるような気分でした。ジャーナリストを黙らせ、脅迫しています。言論の自由、民主主義、報道の自由というアメリカの価値観にそぐいません。 」
カショギ氏殺害への関与を否定しているムハンマド皇太子は、この事件に心を痛めているとして、2度と同じ事が起こらないよう最善を尽くしていると述べています。一方、カショギ氏の遺体も取り戻せていないと語るハナンさんは、カショギ氏の友人など、サウジアラジアで不当に収監されている人たちの解放を皇太子に求めていくとしています。