ロサンゼルスやシカゴなど、民主党基盤の都市部を中心に強化されている不法移民の取り締まりですが、今度はノースカロライナ州で大規模な移民の一斉摘発が始まり、地元住民は不安を募らせています。
ノースカロライナ州最大の都市シャーロットで15日土曜日、CBP・税関・国境取締局とICE・移民税関捜査局による大規模な移民取り締まりが始まりました。教会や住宅地、店の前など街のあらゆる場所を覆面姿の捜査員が巡回し、移民と見られる住民を追いかけたり、拘束する様子が目撃されています。
先週末だけで130人以上を拘束したと発表した国土安全保障省は、拘束された移民はすべて不法滞在者で、ギャングのメンバーや、窃盗などの犯罪歴がある人物だとしていますが、その詳細は明らかにしていません。
連邦当局の移民摘発をめぐっては、アメリカ国籍や滞在資格の有無にかかわらず、見た目で取り締まりの対象を決めるといった捜査方法が問題視されています。シャーロットでも取り締まりが始まった日に大勢が集まり、抗議の声を上げました。参加者の中には、多くの人が恐怖から外出できなくなったと指摘する人や、自分の家族が帰ってくるか毎日不安だと訴える人もいます。
この日2度、捜査員に止められたというホンジュラス生まれの男性は、アメリカの市民権を証明する書類を持っていたにも関わらず、乗っていた車から引きずり下ろされ、パトカーに乗せられて連行されかけたといいます。
連行されそうになった米国籍の男性
「パトカーの中でも『私はアメリカ人です』と言い続けました。
彼らは私がどこで生まれかを知りたがり、
アメリカ人だと信じてくれませんでした
10分ほど経ったとき 私の身分証明書を確認して
書類を持っていることがわかり、パトカーを降ろされました」
トランプ政権は、都市部におけるこのような取り締まりは、犯罪撲滅と移民法の執行に不可欠だとしていますが、16日日曜日夜にビデオ声明を出したノースカロライナ州のスタイン知事は多くの捜査員が地域の安全を守るためではなく、全く逆の行動を取っていると非難しています。
ノースカロライナ州 ジョシュ・スタイン知事
「覆面を着け、武装した捜査員が、覆面パトカーでやってきて肌の色を理由にアメリカ国民を標的にし、人種プロファイリングを行い、駐車場や歩道で無作為に人々を逮捕するのを見てきました。これは私たちの安全を脅かすどころか、恐怖を煽り、コミュニティを分断するだけです。」
その後、範囲をシャーロット近隣の街まで広げて取り締まりは続き、拘束された人は19日までに合わせて250人以上に上ると発表されています。各地では引き続き抗議デモが行われたほか、捜査員に向かって住民たちが罵声を浴びせるなど、移民当局と住民との対立は悪化の一途を辿っています。
住民の安全を守るため、州や地域の法執行機関と密に連絡を取り合っているとするスタイン州知事は、住民たちに平静を保つよう求め、何か理不尽だと感じることに遭遇した場合は記録を取って地元警察に通報するよう呼びかけています