未成年者の性的人身売買などの罪に問われ、2019年勾留中に死亡したジェフリー・エプスタイン元被告に関連するすべての文書を公開する法案の採決が議会下院で行われ、1人を除く全員の賛成で通過。その後上院も全会一致で合意しました。19日、トランプ大統領が署名し法律として成立しました。
18日(火曜日)議会下院は賛成427票、反対1票でエプスタイン元被告の文書公開を義務付ける法案を可決しました。その後まもなく上院でも全会一致で通過しました。
トランプ大統領は先週までこの法案を阻止するとし、法案に署名していた4人の共和議員に圧力をかけていました。
トランプ大統領一期目から熱烈な支持者でMAGAの有力者として常に大統領を擁護していたマージョリー・テイラー・グリーン議員も造反議員の一人です。トランプ大統領はグリーン議員を「裏切り者」とし次の選挙でグリーン議員の選挙区に共和党から対立候補 を送り込む可能性を示唆していました。
しかしグリーン議員を含む4人の意思は固く、法案を採決にかけるにはあと1票足りなかった先週、9月にアリゾナ州の特別選挙で当選したものの就任が延期されていた民主党議員が(アデリータ・グリハルバ氏)正式に就任し(12日水曜日)、民主党議員全員と共和党の造反者4人で採決の実施が確定しました。
採決当日、エプスタイン元被告の被害者が議会に集まり議員らに支持を訴えました。そこにはグリーン議員の姿もありました。
マージョリー・テイラー・グリーン下院議員
「この採決を実現するために大統領を含む多くの有力者と戦いました
被害女性を支持し、情報公開の嘆願者にした署名を撤回しなかったため
大統領に『裏切り者』と呼ばれました。」
トランプ大統領の指示の元、法案の採決に反対していた共和党ですが、採決が確定した段階で大統領が態度をひるがえし、文書公開を支持。共和党議員に賛成するよう呼びかけました。これを受けて下院では共和党議員1人を除く全員が賛成にまわる事態となり、その日のうちに上院も全会一致で賛成しました。
めずらしくトランプ大統領が議員の意見に屈して態度を転換することになりましたが、共和党議員の大多数がトランプ大統領の発言に沿ってコロコロと態度を変えているとする声も聞かれます。
法案が上下両院を通過したことを受けて19日(水)、トランプ大統領が署名し「エプスタイン文書」を公開することを義務付ける法律が成立しました。これで30日以内に司法省が文書を公開することが義務付けられます。
しかし、今回の法案には司法省は被害者の個人情報を守るためと、捜査中の案件については情報公開をする必要がないことも盛り込まれています。
司法省のボンディ長官は「30日以内に全ての文書を公開するのか?」という記者の問いに対し答えを濁しました。
パム・ボンディ長官
「すでに3万3千以上の文書を公開しています
今後も最大の透明性を維持するため法律を守ります
被害者は名乗り出るよう奨励しています」
また14日(金)、採決が確定した後にトランプ大統領が、エプスタイン元被告と民主党員との関係について、あらたに捜査を開始するよう指示し、ボンディ長官が了承したことについては...
パム・ボンディ長官
「情報が...情報です
情報があります...新しい情報...追加の情報
引き続き法律に準じて手がかりがあれば捜査します」
グリーン議員は、司法省が文書を公開するのか、または捜査を理由に公開を再び見送るのか、注目されるところだとしています。
エプスタイン元被告の文書公開については、実は議会の採決は必要なく、トランプ大統領が独断で司法省に公開を命じる権限を持っています。それをせずに最後まで法案を阻止しようとしていた大統領と司法省がどこまでの文書を公開させるのか注目が集まっています。