トランプ大統領が地上攻撃を示唆するなどアメリカとベネズエラの間の緊張が高まる中、アメリカがベネズエラ沖で石油タンカーを拿捕したと発表されました。
トランプ大統領は10日水曜日、記者団に対し、ベネズエラ沖で大型石油タンカーを拿捕したと発表しました。
ドナルド・トランプ大統領
「ご存知だろうが、ベネズエラ沖でタンカーを拿捕しました。大型タンカー、本当に巨大だ。これまで拿捕された中で最大だろうね。他にも色々と起きている。 」
タンカー拿捕は沿岸警備隊が主導し、海軍が支援して行われたということです。ボンディ司法長官が自身のSNSで公開した映像には、タンカーの甲板のすぐ上をホバリングするヘリコプターから、部隊が次々とロープで降下する様子や、銃を構えた隊員たちが船内を動き回る様子が映されています。ボンディ長官はこのタンカーについて、「外国のテロ組織を支援する違法な石油輸送ネットワークに関与していたため、長年アメリカの制裁の対象となっていた」と投稿しています。
ベネスエラの国営石油会社の文書には、このタンカーは今月初めにベネズエラを出港し、 約200万バレルの重質原油を積載していたことや、そのおよそ半分はキューバの国営石油会社が所有していることが記されています。
記者「このタンカーの原油はどうなるのです?」
トランプ大統領「我々が保管するだろうね」
商業目的の船の拿捕にアメリカ軍が動員されることは極めて稀です。トランプ政権は、ベネズエラのマドゥロ大統領が麻薬密輸に関与しているとして、今年9月からベネズエラ沖などで麻薬密輸船とみなした船への攻撃を繰り返してきました。今回のタンカー拿捕はマドゥロ政権への圧力を強めるための新たな動きと見られています。
一方、9月初めに行われた麻薬密輸船とされる船への2度目の攻撃が、脅威のない乗組員を狙ったものだと問題視され、議会が調査を開始している問題で、ヘグセス国防長官は9日火曜日、ルビオ国務長官などと共に、議会指導部に機密事項に関する報告を行いました。
問題となっている2度目の攻撃について、編集されていない映像を議員全員に公開するよう求める議会指導部に対し、ヘグセス長官は「検討しなければならない」と回答したということです。
民主党 チャック・シューマー上院院内総務
「とても不満足な報告でした。/私は長官に 議員全員、民主、共和を問わず多くの議員がそれを見る権利があり、見ることを望み、見るべきだと伝えました。ベネズエラに関する彼らの戦略と行動についても尋ねましたが、これも満足いく答えは全く得られませんでした。」
先週、2度目の攻撃の映像公開は「問題ない」としていたトランプ大統領ですが、今週になって記者にそのことを聞かれた時は、ヘグセス長官に判断を委ねるとしています。
記者「2度目の攻撃の映像公開は問題ないとおっしゃっていましたが」
トランプ大統領「言ってないよ 君が言ったんだろ 私は言っていない ABCフェイクニュースだよ」
トランプ政権によるベネズエラ沖の一連の船舶攻撃については、かねてより懸念を示す議員が多く、また、国防総省から提供される情報が少ないことについても議会は苛立ちを募らせています。