ワクチン諮問委員会が、CDC疾病対策センターが30年以上推奨し続けてきたワクチン接種の推奨ルールを変更する決定を下しました。
これまでCDCはB型肝炎ワクチンは健康な乳児の感染を約98%防ぎ、副反応は軽いとして、出生時を含めた3回のワクチン接種を推奨してきました。
CDC 疾病対策センターのワクチン諮問委員会は5日(金曜日)、生後12時間から24時間の間に一回めのB型肝炎ワクチンの接種をすべての新生児に推奨するというこれまでの方針を改め、母親がB型肝炎のウイルス検査で陰性であれば、医師と相談して接種時期を決めるよう勧告しました。
これはアメリカ小児科学会やアメリカ医師会の方針とは異なり多くの専門家が警鐘を鳴らしています。
フィラデルフィア小児病院
ワクチン研究者/元政府顧問
ポール・オフィット医師
「ケネディー厚生長官率いる諮問委員会メンバーは
B型肝炎とそのワクチンの肝心な要素を理解していません
母親が感染していなければ子供は感染しないと言っているが
それは間違っています」
ワクチン懐疑派として知られるケネディ厚生長官は今年6月、17人からなるワクチン諮問委員会を全員解任し、自身の方針に考えが近いメンバーに入れ替えています。
ケネディー厚生長官と、諮問委員会メンバーの多数派は科学的根拠を提示しないまま、ワクチンは子供に自閉症などの障害をもたらし、その効果は科学的に証明されていないとしています。また、B型肝炎ウイルスは主に性行為で感染するもので、母親が感染していなければワクチンは必要ないとし、接種をするかどうかを選ぶ権利は親にあるとしています。
B型肝炎は感染力が非常に強く、感染経路の一つは出産時に母親から新生児への感染です。
AP通信
マイク・ストーブ記者
「妊婦に(B型肝炎の)検査をする試みもありましたが
検査の正確さは100%ではないため
この数十年、最初のワクチン接種を出産直後にすることを推奨しています」
また、感染しても無症状の人が多いのも危険度が高い理由の一つです。 感染したことを知らない人の血液が付着した爪切りや歯ブラシなどでも1週間ほどは感染力を維持する可能性があり、新生児全員のワクチン接種が推奨されてきました。
B型肝炎ウイルスは1歳までに感染すると90%の確率で慢性感染症を、また、1歳から5歳の間に感染すると30%の確率でB型慢性肝炎を患います。治療を怠れば肝臓機能の低下や肝臓がんの原因にもなり命の危険にさらされる場合もあります。
フィラデルフィア小児病院
ワクチン研究者/元政府顧問
ポール・オフィット医師
「1991から新生児にB型肝炎ワクチンを接種することで
10歳以下の感染者はほぼいなくなりました
しかしここで手綱を緩めれば数百人の子供たちが感染し
慢性的な肝臓疾患で命を縮めることになります」
ただでさえ不安な時期を迎えている妊婦に専門機関の間で方針の相違が出る事態に、専門家は疑問がある場合は信頼できるかかりつけの医師に相談するよう呼びかけています。