先週4日水曜日、ニューヨーク、マンハッタンの中心部で起きた保険大手ユナイテッドヘルスCEO殺害事件で、9日月曜日、殺害の容疑者と見られる26歳の男が逮捕されました。FBIも合同の広範囲の捜査により、容疑者はニューヨークからおよそ500キロ離れたペンシルベニア州のマクドナルド店内で拘束されました。
容疑者は、ルイジ・マンジョーネ、26歳で、警察が公開した複数の手配写真から、ペンシルベニア州中部の街にあるマクドナルドの従業員が、店の客で似た顔の男がいると、警察に通報しました。
ジェシカ・ティッシュ、ニューヨーク市警署長
「この男は先週マンハッタンでユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソンCEOを標的にした殺人事件の重要参考人です」
逮捕された時マンジョーネ容疑者は、3Dプリンターで作られた「ゴーストガン」と呼ばれる銃を所持していて、ニューヨーク警察は、現場にあった薬莢がこの銃のものであることが確認され、また現場近くで見つかった遺留品と容疑者の指紋照合が一致したと発表しました。現在、ペンシルベニア州の警察に勾留されているマンジョーネ容疑者ですが、犯行を否認しており、警察の暴力に対し抗議する叫び声を上げるなどし、ニューヨーク警察への送還を拒否しています。
容疑者の弁護人トーマス・ディッキー弁護士
「証拠は見つかっていない現時点では引き渡しに異議を申し立てている。証拠を見て容疑者に対する罪状についてもう少し詳しい情報が必要だ」
ABCニュースは捜査当局者への取材で、容疑者は逮捕されたとき保険会社CEO殺害計画について書かれたノートを持っていたとされ、そこには「何をするか? 寄生虫のような会計士たちの集まる年次会議で CEO を殺す」と記述されていたということです。警察によると、マンジョーネ容疑者は、手配写真と一致する服装とマスクも所持し偽造のパスポートや免許証を複数所持していて、ニューヨークで宿泊する際に、この偽造身分証でホテルにチェックインしたと見られています。
ニューヨーク市警ジョセフ・ケニー刑事部長
「容疑者はサンフランシスコなどに居住歴があり、最後に確認されている住所はハワイ州ホノルルです。ニューヨークでの逮捕歴はありません」
メリーランド州出身のマンジョーネ容疑者は、裕福な家に育ちボルチモア市の名門私立男子校で卒業生総代を務める優秀な生徒でした。その後ペンシルベニア大学で修士号を取得。最近はインターネットの交流サイトに、70年代、学者でありながら連続爆弾テロ事件を起こしたテロリスト「ユナボマー」を称賛するコメントを書き込んでいます。警察の家族への聞き込みによりますと、母親は先月マンジョーネ容疑者の捜索願を出していたということです。
犯行の動機の一つは、企業や業界に対する怒りとみられていますが、事件をきっかけに保険業界への批判や抗議行動が各地で見られCEOが殺害された、ユナイテッドヘルスの本社では、会社の周囲にフェンスを設置するなど対策を講じています。
容疑者が逮捕されたペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事は、医療制度に不満がある人々がいるのは理解しているとしながらも。
ジョシュ・シャピロ・ペンシルベニア州知事
「影でこの容疑者がヒーロー扱いされている はっきり言うが殺人犯は英雄ではない」
ニューヨークの警察では、州知事の発行する令状をペンシルベニア州に送りマンジョーネ容疑者の移送を早めている、としています。