大手企業などが多数参加して実施されている性別や人種などの「多様性」を支持するプログラムから、アメリカ最大手の小売チェーン「ウォルマート」が撤退することを明らかにしました。
人々の「多様性、公平性」などを支援するプログラム「DEI」は、多様性のダイバーシティー、公平性のエクイティー、包括性のインクルージョンの頭文字を取ったもので、参加する企業は、この考えを推進する事を経営方針として取り入れる仕組みです。このプログラムに関して、25日月曜日、米最大のスーパーマーケットチェーンのウォルマートが、このDEIという用語を社内で使う事をやめ、実質的このプログラムからの撤退を発表しました。ウォルマートでは、声明で「この決定は、企業への帰属意識を育むため、すべての従業員、顧客、取引会社に機会を開くべく定めたものです」と説明しています。ウォルマートや他の大手企業に対して、DEIからの撤退を促してきた政治活動家はこの動きを賞賛しています。
ロビー・スターバック氏 映画製作者、反DEI活動家
「ウォルマートと率直な話し合いをしてきました。私は企業に私の政治的見解を受け入れるよう求めているのではなく、単に企業の中立性を主張しているだけです」
ウォルマートは今後、DEIで優先されている、特に性的マイノリティー、LGBTQ支援や擁護などへの関わりを停止、LGBTQ関連企業や商品を厳しくチェックし、プライドパレードなどのイベントへのサポートも見直します。また約150万人の従業員に課していた人種平等の学習研修も停止する、としています。LGBTQ擁護団体は、ウォルマートの決定に対して「LGBTQの認知や受け入れの機会の為に行なってきた活動を、過激な活動家らが潰すのを許すことはできない」と述べています。
一方、大学のスポーツ界にも、性的マイノリティー、LGBTQ擁護に反対する動きがありました。カリフォルニア州立サンノゼ大学の女子バレーボールチームに所属するトランスジェンダーの選手に対して抗議するため他の大学チームが次々と地区リーグの試合を棄権する事態となりました。
クリスティン・ブレナン氏ABCニュースライター
「彼女は2年間この大学で問題なくプレーしていました
なぜ今批判されるのか
答えは政治です」
この問題は、同じ大学のチームメイトや他大学の選手など数名が、トランスジェンダーの選手の起用に対する訴訟にまで発展し、25日月曜日、裁判所では、憲法上、トランスジェンダーのアスリートが競技に参加できるとの判決をくだしました。
クリスティン・ブレナン氏ABCニュースライター
「現状ではトランスジェンダーの女性選手は選手としてプレーする前に1年間のホルモン療法を行うことが義務付けられています。反対派はホルモン療法の前にすでに成長期を迎え骨格が出来上がっている場合は公平ではないとしています」
しかし、抗議の声は依然大きく、この地区リーグでは、今季この大学との試合を棄権する可能性があるとされています。連邦下院議会でも、トランスジェンダーの女性が議事堂の女性用トイレを使用することを禁止する案が出されるなど、とくに性別の「多様性」擁護への圧力が強まっています。