1月3日から新しい議会が始まりましたが、共和党が多数派を握る下院では議会を始動させるための議長が決まらないという異常事態となり、下院がこう着状態となっています。
新しい議会を始動させるための第一段階となる下院議長選の投票が3日火曜日に始まりました。共和党トップのケビン・マッカーシー院内総務が立候補しましたが、党内から造反議員が出て、多数派トップが過半数に達しないという事態になりました。3日、マッカーシー院内総務は「引き下がるつもりはない。記録的な投票回数になってもいい。」と語りました。3日火曜日には3回投票が行われましたが、ともに約20人の造反議員が出て選出されませんでした。4日水曜日も3回、5日木曜日には5回の投票が行われ、マッカーシー議員は合計11回の投票で過半数が得られず、議会はこう着状態が続いています。
造反議員は主に極右の議員グループのメンバーで、共和党内の分裂が浮き彫りになっています。フロリダ州選出の共和党マット・ゲイツ議員は「ワシントンDCは変わる必要がある。そのために我々はいつまでも戦う。」と語りました。造反議員らとの交渉も進まず、状況が変わらないまま投票が繰り返されていて、マッカーシー議員は退くべきだとする声も出始めています。2日目の投票の前にはトランプ大統領が声明を発表し、マッカーシー議員に投票するよう呼びかけましたが状況は変わらず、トランプ氏の影響力の弱まりも指摘されています。
共和党は中間選挙で大勝するとされていましたが、予想されていた議席数を獲得できず、たった4議席の過半数となっています。このため数人の議員で議会を頓挫させられる状態です。議長が決まったとしても、今後の議会運営は難しい局面を迎えると専門家は見ています。また、予算案の先議権を持つ下院が機能せず、国家の安全をも揺るがす状況になると専門家は警鐘を鳴らしています。