トランプ大統領が、アメリカ史上初となる2度目の弾劾訴追となりました。
6日水曜日、暴徒化したトランプ大統領の支持者らが議事堂を襲撃した事件で、トランプ大統領が扇動したとして、民主党が提出した弾劾訴追の決議案が、13日水曜日、議会下院で可決されました。在職中に2度にわたり弾劾訴追されたのは、トランプ大統領が初めてです。採決では、共和党から10人の議員が賛成に回りました。
事件当日の6日、トランプ大統領は集会を開き、「議事堂へ向かってくれ。国を弱体化させてはいけない。強さを見せるときだ。」と、支持者らに議事堂へ向かうよう呼びかけていました。しかし、12日火曜日、公の場に姿を見せ、「分析してもらったが、発言は適切だった」と語り、自身に責任はないと主張しました。
トランプ大統領の 議事堂 襲撃に対する発言は、事件からの1週間で大きく変化しています。6日、事件発生直後には 暴動を起こした支持者らに理解を示しました。「不正選挙だったが、抗議が平和的でなければ敵の思うつぼだ。帰宅してくれ。君たちを特別で大切だと思っている。」
翌7日、暴動を非難したものの、同時に支持者らに 寄り添う姿勢を見せていました。「議事堂に侵入したデモ隊はアメリカの民主主義の名誉を傷つけた。素晴らしい支持者のみなさん、落胆しているだろうが、私たちの壮大な旅路は始まったばかりだ。」
8日、自身のツイッターのアカウントが永久停止され、SNSからの支持者への発信が途絶えた形となりました。
13日夕方、弾劾訴追の決議案可決後、ホワイトハウスのユーチューブアカウントに動画を投稿し、弾劾に触れはれないまま、強く暴動を非難し、去年の大統領選以来 初めて融和を呼びかけました。「私の真の支持者なら政治的な暴動はしない。こうした行動は支持ではなく攻撃だ。アメリカを攻撃している。これからは家族、地域、国のために、分断ではなく団結していこう。」
現在、上院は休暇に入っており、次の招集は、19日火曜日の予定です。大統領就任式が行われる20日以降に上院での裁判が始まると見られ、共和党のマコネル院内総務は、弾劾に対し支持はしていないものの、反対の姿勢も示していません。
今後の弾劾の行方ですが、1月20日以降に行われる上院での弾劾裁判で、3分の2以上の票を得ればトランプ大統領の有罪が確定します。トランプ氏はその段階ではすでに大統領職から離れているため、辞職に追い込まれることはありません。しかし、有罪となれば次に、今後、公職につく権利と生涯シークレットサービスの護衛がつくなど大統領職についた者に与えられる特権をトランプ氏から剥奪する決議に入ります。これはすでに民主党が獲得している上院の過半数で成立します。2024年の選挙で再度大統領として返り咲くことを計画しているトランプ氏にとっては大打撃となり、専門家は、大統領が13日に行ったこれまでにないレベルで暴動を強く非難し、融和を求めた声明は、弾劾裁判の流れをにぎる共和党マコネル上院院内総務へのメッセージだと分析しています。