テネシー州で黒人男性が警察に暴行され死亡した事件で、事件に関与した5人の警察官が殺人罪で訴追されました。また、現場に出動した救急隊員ら3人が、対応を怠ったとして 免職となりました。
先月7日、テネシー州メンフィスで車で帰宅中のタイリー・ニコルズさん29歳が、無謀な運転を理由に車を止められ、警察官5人に暴行を受け死亡しました。先月27日金曜日に事件当時の警察官のボディカメラの映像が公開されました。
ボディカメラ映像によると警察官らはニコルズさんを車から降ろし、地面に座るよう指示しました。ニコルズさんは「地面にいます」と警察に言いました。ニコルズさんは、指示に従っていたにも関わらず、警察官はテーザー銃でニコルズさんを撃ちました。その後、ニコルズさんは自宅の方向に走って逃走。自宅からわずか50メートルほどの場所で警察官による暴行を受けました。暴行は3分間続き、その間に警察官は少なくとも3回警棒で殴り、 少なくとも5回頭を殴打し、少なくとも2回催涙スプレーを吹きつけました。ニコルズさんは「お母さん」と叫びました。
現場に救急隊員が到着しましたが、重症を負ったニコルズさんを前に隊員らは急ぐ様子もなく、医療行為が施されたのは到着から16分後、ニコルズさんが倒れてから24分が経過していました。その後、ニコルズさんは病院に搬送されましたが、3日後に、暴行による怪我が原因で死亡しました。ニコルズさんの母親は「息子がすぐ近くで私を呼んでいたと知りました。私のつらさい気持ちは誰にも分からないでしょう。」と語りました。
暴行に関与した5人の警察官は免職となり、26日木曜日、第2級殺人罪などで訴追されました。また、30日月曜日、メンフィス警察は、ニコルズさんにテーザー銃を発砲した警察官を含む2人の警察官を事件に関与したとして停職処分にしたと発表。メンフィス消防局は、現場でニコルズさんの容体を適切に判断できなかったなど、対応を怠ったとして救急隊員ら3人を 免職処分にしたと発表しました。郡の保安当局は、現場にいた保安官代理2人について調査中だとして停職処分にしました。