今週、連邦議事堂襲撃事件をめぐるトランプ前大統領の弾劾裁判が行われています。9日火曜日、トランプ前大統領の2回目となる弾劾裁判が議会上院で始まりました。1日目の審理では、検察官役を務める民主党下院議員が、先月6日のトランプ氏の発言と議事堂襲撃の様子を時間軸でまとめた13分のビデオを流し、トランプ前大統領が暴動を扇動したとしました。検察官役のジェイミー・ラスキン下院議員は「今後このようなことが起きてはならない 」と語りました。一方、トランプ氏の弁護団は「政治演説で人を罰することはできない。」と異なる見解を示しました。
弁護団は、すでにトランプ氏が大統領職を離れているため、弾劾裁判の対象にするのは違憲だと主張し、合憲性を問う採決が行われましたが、結果は賛成56票、反対が44票となり、審理は継続されることになりました。
10日水曜日、2日目の審理では、検察官役の民主党議員らによる冒頭陳述が行われました。民主党議員らは、事件当日の議事堂内の防犯カメラ映像を初めて公開し、議事堂への侵入の瞬間や、議員らが避難する様子、また、マイク・ペンス前副大統領が家族とともに避難する様子などを見せ、議員らに、いかに危険が迫っていたかを説明しました。検察官役のマデリーン・ディーン下院議員は「トランプ氏が扇動しなければ、暴動は起きなかったでしょう。」と主張しました。また、事件前のトランプ氏の発言やツイッターを提示し、計画的に支持者を集め、過激な抗議活動を扇動したとしました。
11日木曜日、3日目の審理では引き続き、民主党議員が次々と冒頭陳述を行いました。民主党議員はビデオを証拠として見せ、トランプ氏の言動と暴動との関連性を示しました。映像には、先月6日トランプ氏が「盗まれた選挙を止めよう」と支持者集会で発言し、支持者らは「盗まれた選挙を止めろ」と言いながら議事堂を襲撃している様子がありました。検察官役のダイアナ・デゲット下院議員は「彼らが堂々と犯罪を犯したのは、大統領が議事堂へ行けと言ったからです。実際に、彼らは罪に問われないと信じていました。」と主張しました。
弁護側の弁論は、12日金曜日から行われ、トランプ氏の言論の自由などを主張するとみられています。今回の弾劾裁判を合法だとした共和党議員は6人いましたが、トランプ前大統領を有罪とするには共和党から合計17人の造反が必要です。このため最終的に有罪に持ち込むのは非常に難しい状況だとメディアでは伝えています。