先週から今週にかけて、中西部から南部、東部の広範囲が強い寒波に見舞われています。記録的な寒さの中、停電などから死傷者も出ています。
アメリカの北から南まで広範囲で強い寒気が流れ込み、先週から南部を含む広い範囲で記録的な寒さに見舞われました。16日火曜日、アメリカ本土の73%の土地が雪に覆われ、メキシコ湾に面する地域にも雪が積もりました。16日火曜日朝には各地で最低気温の記録を更新し、テキサス州のダラス、フォートワースの地域では-19℃、ルイジアナ州のニューオーリンズでは-4℃を記録しました。
そうした中、寒波による過剰な電力の需要と天然ガスパイプラインの凍結が重なり、テキサス州では、15日月曜日から大規模な計画停電が実施され、17日水曜日の段階で300万を超える世帯で停電が続きました。18日木曜日にも49万世帯以上で停電が続き、被害が深刻化しています。 住民は「電気は60時間なく、水は24時間ない状態です」と語りました。州当局によると、今週の停電は、2017年にテキサス州を直撃したハリケーン「ハービー」の時よりも大規模な停電だということです。
また、寒さの影響で各地で水道管が破裂する被害も多発しています。その影響で、17日水曜日、ヒューストンでは、たとえ水道水がでていても、水を煮沸して使用するよう勧告が出ました。バクテリアなどで汚染されている可能性があるということです。煮沸できない場合は、飲み水には市販の水を使うよう注意がよびかけられています。中には、雪を屋外のグリルで温め、溶かした水を利用している人もいます。住民は食事も作れず、ファストフード店のドライブスルーには数時間待ちの長蛇の列ができました。
雪と路面の凍結により、各地で交通事故が相次いでいます。18日木曜日までに、この寒波の影響で少なくとも30人が死亡しています。またヒューストンでは、暖をとるために車庫で車のエンジンをかけたままにしていた女性と8歳の女の子が一酸化炭素中毒で死亡しました。
今週後半、寒波は 東部へと移動、18日木曜日、10州とワシントンDCで非常事態が宣言される事態となっています。
テキサス州全体の9割の電力を運営する機関「アーコット」は、18日木曜日、「電力は徐々に戻り始めているが、完全に戻るにはまだ時間がかかる」と発表しています。計画停電にもかかわらず、記録的な寒波の中で数日にもおよぶ供給の停止に、これは「人災」だとする批判の声が高まっており、今後、責任の所在が問われることになりそうです。