去年、 警察に拘束されていた黒人男性が死亡した事件の裁判で、本格的な審理が今週から始まりました。
去年5月、ミネソタ州ミネアポリス近郊で、ジョージ・フロイドさんが、元警察官のデレク・ショービン被告に9分以上にわたり首を膝で押さえつけられ、その後死亡しました。被告は殺人の罪などに問われています。
審理の初日となった先月29日月曜日、緊急通報を受けた通信司令官が1人目の証人として出廷し、通報を受けて確認した防犯カメラのライブ映像に違和感をおぼえ、上司に報告したと証言しました。当時の音声が法廷で再生されました。「強制的に拘束する必要があったのか、警察官らが男性の上に乗っています。 」。通信司令官は、「画面がフリーズしているかと思いました。本能的に何かがおかしいと感じました。 」と証言しました。
30日火曜日には、非番で事件現場に居合わせた救急隊員が証人として出廷、フロイドさんの体調を診させてほしいと申し出て、ショービン被告に拒まれたと証言しました。この救急隊員は事件当日、緊急通報をしています。当時の緊急通報のお音声が法廷で再生されました。「警察官が脈もとらず、救命措置もしないのを目の当たりにしました。私自身、救急隊員の1人です。」
ショービン被告の弁護士は、事件当時、取り囲んでいた人々やこの救急隊員による妨害で、被告が、フロイドさんの急な体調悪化に気づけなかった可能性を示唆しました。これに対し、救急隊員は「私なら誰に何を言われても自分の職務を遂行する自身があります。死にそうな男性がいて、私は、力の限りの医療的措置ができたのに、それが拒まれました。」
31日水曜日には、事件当日、フロイドさんが救急搬送された後のショービン被告のボディカメラ映像が初めて公になりました。そショービン被告は「男を制御する必要があった。大柄だったから。それに薬物を摂取しているようだった。」と会話していました。
また、事件前にフロイドさんが利用したコンビニエンスストアの店員が証人として出廷しました。店員は、フロイドさんがたばこの購入に、偽の20ドル札を使用したのに気づいて店長に報告し、他の店員が警察に通報したと証言しました。店員は、たった20ドルをめぐって起きた事件への罪悪感を語りました。 事件が起きたときの心境を検察に聞かれると「信じられない。罪悪感がある。僕が偽札を受け取らなければこんな事態にならなかったから。」と証言しました。
1日木曜日には、事件当日、フロイドさんを搬送した救急隊員が証人として出廷し、事件現場に到着したときの状況を証言しました。救急隊員の一人は「呼吸がなく 動かなくなっていました。(検察: フロイドさんに反応がなかったと? )私の位置からはそう見えました。」と証言しました。フロイドさんの容体を直接確認した救急隊員は、その時のフロイドさんの容体を検察に聞かれ、「死んでいると思いました。」と証言しました。検察は、証言により、事件現場ですでにフロイドさんが死亡していたと証明したい考えです。ショービン被告は、無罪を主張していて、裁判は、4週間続くと見られています。